ストーファー様がお持ちの投資哲学、アジア貿易金融に注目された理由、そして運用の特色についてお聞かせください。
戦略面に話を移しますと、商品の流通に不可欠な短期の運転資金を提供しています。商社-生産者間の短期貿易金融ニーズを橋渡しすることで、成長の一翼を担っているつもりです。商品の生産から小売りまでのサプライチェーン全体をモニターするなかで流通の一過程に資金を提供しているのですが、そうすることで取引先の事業の成否を左右することにもなりますので、単なる資金の出し手というよりは事業パートナーに近い役割を果たしていると思うのです。チーム全体が貿易に携わった経歴を持っていることで、取引先の事業をよりよく理解できると思いますし、リスクの所在を押さえつつ適切なモニタリングができているのだと思います。最大の目標は、投資家の皆様の資産を保全することですので、投資の方法や投資対象の選択は過度と言える位に保守的かもしれません。結果、量の追求ではなく質の追求に大きく傾斜しています。
今注目している投資機会について教えてください。
1.天燃資源や素材産業における安定的な価格上昇と物量の伸びが貿易金融の需要を後押ししていること。
2.銀行の貿易金融に関する資本コストが資産圧縮をせざるを得ないなかで高まっていること。
3.銀行統合の流れが続くなか貿易金融の供給量が全体的に減少してきていること。
4.バーゼルⅡおよびバーゼルⅢの影響で、銀行は資本コスト調整後の資本利益率を追求するに当たって仕組化された小規模取引よりも無担保の大規模取引を重視するであろうこと。
5.この景気後退期において銀行が資金供給者としての役割を果たしきれていないことで、貿易金融の提供者としてノンバンクが注目を浴びつつあること。
アジアは天然資源や素材の生産および消費において世界最大規模の市場ですので、当戦略にとって大きな投資機会はしばらく続くと考えています。
ポートフォリオ・マネジャーになろうと思われたきっかけをお聞かせください。
この分野で資格要件と専門性を持ったチームは殆どありませんが、私は、ノンバンクとして機関投資家に対して貿易金融に対するアクセスの機会を提供しようとの目標を共有する熟練したチ-ムに囲まれているという点で幸運であると思います。
また、常に実際の取引と向かい合うという仕事の環境が好きです。取引先の発展に貢献できますし、ひいては経済の持続的成長にかかわることも出来るからです。
ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。
達成しようと努めているのは、貿易金融の専門家として行わなければならないこと以上でも以下でもありません。投資家に満足のいくリターン系列を提供するために、当該資産クラスを良く知る者として地道に厳格にリスクを管理していくことと考えています。
反対に、決してやらないことは、運用資産額を大きくすることを優先して投資家の期待を疎かにすることです。使命を真剣に捉えることこそ、成功のカギだったと信じています。
貿易金融を行う上で最も重要な規律は、多様な実務経験を背景に、どんな取引についても実行状況を常時モニタリングし続けることです。取引先を知ることが、リスク管理においては一番価値のあることです。
どのようにしてお客様の資産保全を図るかお聞かせください。
ポートフォリオが十分に分散されていることや、融資先の企業について最新の生の情報を得ていることを常に確かめています。それから、妥協せず、常に業務プロセスやシステムの改善にも取り組んでいます。また、新しい業態や市場環境といったものから示唆に富んだ教訓を得ています。さらに、グローバル経済の動向が保有資産にどのような影響を与えうるかを常に把握するようにしています。このようにして、正しい状況を理解しようとしています。
投資に関するお奨めの書籍とその理由を教えてください。
そのほかでは、フランソワ-セルジュ・ラビタン氏作の「ヘッジファンド・ハンドブック」を座右の銘としています。著者は学生時代の友人で、オルタナティブ投資業界全般に対して示唆に富む本だと思います。それ以外では、投資に限らないということであれば、伝記や歴史小説が好きです。
定期的にチェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。
インタビュー後記
今後とも、真に資金を必要とする会社に資金提供する機会を広く探していこうと思います。
インタビューは以上になります。
リスク・手数料などの重要事項に関するご説明