Q1. 御社の投資哲学および投資プロセスについて教えてください。
市場は非効率的だと考えています。企業調査(ボトムアップ)により、将来の企業価値の探究を行い、また、より高い収益獲得の為には、トップダウンアプローチ(マクロ、業種)が必要不可欠であると考えています。投資対象に制限はありませんが、一部の企業を除くと、大型株にはあまり投資妙味を感じません。幸いインデックスからのリスクコントロールも行いませんので、(フルインベストメント原則もない)ベストアイディアのポートフォリオの提供に努めています。個別銘柄の選定では、独自の投資アイディアに基づいた投資対象を選定し、可能な限り直接取材を試みます。将来の利益が5~10倍に拡大するポテンシャルのある小型成長企業の発掘にチャレンジしています。このような銘柄の多くは、時価総額が小さく、流動性にも乏しい為、大手の運用会社では容易に無視される傾向があります。そういう意味では我々のライバルは「個人投資家」なのかもしれませんが、彼らに対する圧倒的なアドバンテージは企業取材を行える事なのでしょう。Q2. 今どこに投資機会を見出していらっしゃいますか。なぜ貴社日本株戦略に魅力があると考えていらっしゃいますか。
外国人投資家が株式市場のおよそ半分の売買シェアを占める中、彼らの売買の多くは大型株に偏っています。彼らは「日本語」という言葉と「日本文化」という壁に阻まれ、小型成長株の分野は外国人投資家にはやや手を出しにくいエリアであると感じています。また、国内の機関投資家(運用会社)は過度にリスクに敏感な傾向が強く、チーム運用なので投資に至る意思決定が遅れる傾向があります。我々は投資対象企業の発掘を丹念に行っており、直接取材を通して、将来価値に対して安値に放置されているダイヤの原石のような企業に巡り合うこともあります。大きく株価が上昇するポテンシャルがある企業に、いかに株価が上昇する前に投資できるかが、ポートフォリオリターンに大きく貢献すると考えてます。Q3. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。
すべては20代の頃、勤務していた証券会社から命じられた、1991年のニューヨーク支店への配属でした。その時の経験がブローカーからファンドマネジャーへの転身を志したきっかけとなりました。現地のファンドマネジャー達と直に接する機会を通して、株式市場の歴史や担うべき役割を肌で感じました。「いずれ日本でもニューヨークと同じような事が起こる」と確信したとたん、自分が進むべき道が見えたような気がしました。当時の日本では(今でもややそうですが)「資産運用」という概念が非常に不明瞭で希薄でした。特に当時の日本のファンドマネジャーは株式部や支店長上がりの猛者が株価の変動にうまく乗って、特金口座内で売ったり買ったり、トレーディングを行うのが日常風景で、とてもインベストメントと言えるものではありませんでした。事前に取り決めたリスク水準の範囲内で資産の極大化を望む投資家と、その運用を担うファンドマネジャーの利害は完全に一致し、運用資産の増加に基づいて報酬を受け取るビジネス構造は、ブローカーを日常の仕事としていた私にはとても魅力的に映りました。Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。
「長きにまかれず、自分の考えでのみ行動する」を心がけています。日本の一般常識は国際的に見れば非常識な事も多く、群れることで安心感を抱いてしまうことが、自分にはとても不安に感じてしまいます。投資を行うかの意思決定は、自らが取材し、この目で確かめて決めています。投資対象企業が提供する商品、サービスに係る、様々なものを実際に自分で体験するように努めています。また、それらを同僚や、家族、友人にも紹介し、試してもらい、フィードバックを収集しています。最近では同僚に新しい増毛剤のテストを頼みました。また、「この銘柄は長期で保有するに値するかどうか」ということも極めて重要です。短期トレードは、収益獲得の必殺パターンが見えにくい為、なるべく行わないように努めています。
5年~10年で事業規模が10倍になるポテンシャルのある企業を探し、保有し続けることが良好なパフォーマンスを投資家に提供するキーになるものと信じています。
Q5. どのようにお客様の資産保全を図るかお聞かせください。
弊社では30~50銘柄の小型成長株に集中投資をしています。その為、保有銘柄の短期的なボラティリティは高く、株価の下落局面では、資産が大きく棄損することもあります。株価の下落に関しては、下記の3パターンに分けて判断を行い異なる対応を講じています。
1.個別の需給によるものか
2.企業収益に関する将来不安によるものか
3.市場全体の下落によるものか
1の需給悪による下げは企業ファンダメンタルズに変化がないと判断すれば保有継続、状況によっては買い増しを行います。
2の企業収益の不安に関しては短期的なものなら保有を持続し、長期に渡ると判断した場合は、全株売却を行います。
3の市場全体の下落の影響を受けている場合、例えばリーマンショック時の様な全体の下落に際しては株式組み入れ比率を低下させ、キャッシュポジションを積み上げます。
株価が安定的に上昇している局面では企業収益が今後も長期に渡り拡大していくと判断すれば、基本的に保有を継続します。
Q6. 投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。
すばらしき株式投資 ピーター・リンチ新ファンドマネジャー ジョン・トレイン
欲望と幻想の市場―伝説の投機王リバモア エドウィン・ルフェーブル
相場の心を読む ジョージソロス
Q7. 主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。
日経新聞の企業業績欄インタビューは以上になります。
戦略
日本株式を投資対象としたロングオンリー戦略とロングショート戦略を特定投資家(機関投資家)のみに提供しています。両戦略とも運用開始来、良好なリターン提供してきましたが、主なリターンの源泉は小型成長株に注力したロングポートフォリオで(運用スタイルは「GARP」)、銘柄選択は企業調査に基くボトムアップアプローチです。全上場銘柄を投資対象としていますが、ロングポートフォリオでは30~60銘柄程度の小型成長株へ集中投資を行っています。ポートフォリオでは短期のトレーディングは行わず、中長期のインベスメントを基本としています。
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