7/27開催 HC資産運用 緊急特別セミナー セミナーレポート
HCセミナー
◆セミナーのまとめ◆
今回のセミナーのポイントを以下にまとめました。
◆金利リスクの枠の中での債券運用の多様化 概要
・機関投資家は債務性を帯びた資産を運用しています。
債務が金利と期間によって規定されている以上は、資産運用においても、金利と期間という債券を構成するリスクの管理が、基本になります。
・債務コストは、期間と、それに対応した金利で規定されます。
債務コストと同じ期間と金利で、債券を中心にした投資収益機会が存在するはずです。しかし、そのような投資機会は、コストと収益が一致するのみで付加価値を生まない以上、経済的には無意味です。
・資産運用の目的は債務コストを上回ることであり、そのような機会は必ず存在します。
債務コストを上回る投資機会が存在しないならば、債務負担ということの経済合理性がなくなります。債務コストを上回るためには、債務構造と異なるリスクをとるしかありません。債券を中心にした投資対象の中で期間のずれなどのリスクをとるということです。
・資産運用のリスクは、債務構造との差です。
債務コストを上回る付加価値を大きくしようとすれば、債務構造との差を大きくしなければならず、リスクが大きくなります。しかし、通常の機関投資家の運用の場合、債務コストを大きく上回るような付加価値を追求することは一般的ではありません。債券を中心にした運用と適切なリスク管理の枠組みの中で、機関投資家の課題は十分に実現できるはずです。
・債券を中心にした運用の中でのリスク分散が重要な課題です。
金利リスクという狭い枠組みの中でも、多様なリスクへ分散することが可能です。途中償還条項、為替ヘッジ付外国債券などが代表です。
・債務構造が変動するリスクにも十分な配慮が必要です。
投資環境の変化は、債務の構造そのものを、程度の差こそあれ何がしかは、変化させます。投資サイドの損失が、債務サイドの変動を誘発することで、累積的に膨らむリスクこそが、今日の金融環境における本質的なリスクです。
◆非金利リスクを債券運用に効率的に取り込む方法 概要
・債券の外に出ることで、資産運用の付加価値を大きくできる可能性があります。
資産運用の付加価値を高めようとするならば、金利関連のリスクと異なるリスクを取り込むことが必要です。即ち、資産配分というレベルで、信用リスク、株式、外貨建て証券などの債券以外のリスクを取込む方法です。
・リスク分散が重要な課題です。
債券の外から多様なリスクを導入することで、付加価値を高くするだけではなく、より効率的な運用が可能になる可能性があります。
・「国債」のリスク
銀行等の金融機関では、金利上昇に伴う国債価格の下落リスクは、本質的なリスクです。国債と連動しないリスクへの投資は、リスクヘッジと付加価値追及の二面において、金融機関の資産運用に有意義です。
・「債券代替」ということの再考
企業年金等の長期的な投資家にとっては、「債券代替」という名目で行われてきたヘッジファンド投資等が、少しも債券代替としての機能しなかった昨年の経験を踏まえ、債券代替ではない債券運用の延長を再検討する必要があります。
・キャピタルストラクチャの多様化による多様な投資機会の創出
信用供給のメカニズムが変われば、様々な代替的資金調達の方法が工夫されてきます。劣後の仕組みや株式転換権を組み合わせる、いわゆるメザニンが代表例です。ほかにもまだ、質屋金融的な実物資産担保融資(アセット・ベースト・レンディング)など、色々な方法があります。投資の立場からいえば、新しい投資対象が、どんどん生まれているということです。
・「仕組債」の問題点
仕組債は、債券という器に債券以外のありとあらゆるリスクを盛り込む手法です。割高なコストや仕組みの不透明性など、問題も多いわけですが、逆にいえば、透明性と適正なコスト構造をもつならば、それなりの投資意義がないわけではありません。実際、物価指数連動債などは、立派な仕組債です。
次回、2009年 第8回HC資産運用セミナーは
『事業価値とキャピタル・ストラクチャ?資本市場の構造変化とファンド資本主義?』です。
なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関するアンケート」の結果に関しましては、「HCセミナー・アンケートレポート」にて公表予定です。
◆金利リスクの枠の中での債券運用の多様化 概要
・機関投資家は債務性を帯びた資産を運用しています。
債務が金利と期間によって規定されている以上は、資産運用においても、金利と期間という債券を構成するリスクの管理が、基本になります。
・債務コストは、期間と、それに対応した金利で規定されます。
債務コストと同じ期間と金利で、債券を中心にした投資収益機会が存在するはずです。しかし、そのような投資機会は、コストと収益が一致するのみで付加価値を生まない以上、経済的には無意味です。
・資産運用の目的は債務コストを上回ることであり、そのような機会は必ず存在します。
債務コストを上回る投資機会が存在しないならば、債務負担ということの経済合理性がなくなります。債務コストを上回るためには、債務構造と異なるリスクをとるしかありません。債券を中心にした投資対象の中で期間のずれなどのリスクをとるということです。
・資産運用のリスクは、債務構造との差です。
債務コストを上回る付加価値を大きくしようとすれば、債務構造との差を大きくしなければならず、リスクが大きくなります。しかし、通常の機関投資家の運用の場合、債務コストを大きく上回るような付加価値を追求することは一般的ではありません。債券を中心にした運用と適切なリスク管理の枠組みの中で、機関投資家の課題は十分に実現できるはずです。
・債券を中心にした運用の中でのリスク分散が重要な課題です。
金利リスクという狭い枠組みの中でも、多様なリスクへ分散することが可能です。途中償還条項、為替ヘッジ付外国債券などが代表です。
・債務構造が変動するリスクにも十分な配慮が必要です。
投資環境の変化は、債務の構造そのものを、程度の差こそあれ何がしかは、変化させます。投資サイドの損失が、債務サイドの変動を誘発することで、累積的に膨らむリスクこそが、今日の金融環境における本質的なリスクです。
◆非金利リスクを債券運用に効率的に取り込む方法 概要
・債券の外に出ることで、資産運用の付加価値を大きくできる可能性があります。
資産運用の付加価値を高めようとするならば、金利関連のリスクと異なるリスクを取り込むことが必要です。即ち、資産配分というレベルで、信用リスク、株式、外貨建て証券などの債券以外のリスクを取込む方法です。
・リスク分散が重要な課題です。
債券の外から多様なリスクを導入することで、付加価値を高くするだけではなく、より効率的な運用が可能になる可能性があります。
・「国債」のリスク
銀行等の金融機関では、金利上昇に伴う国債価格の下落リスクは、本質的なリスクです。国債と連動しないリスクへの投資は、リスクヘッジと付加価値追及の二面において、金融機関の資産運用に有意義です。
・「債券代替」ということの再考
企業年金等の長期的な投資家にとっては、「債券代替」という名目で行われてきたヘッジファンド投資等が、少しも債券代替としての機能しなかった昨年の経験を踏まえ、債券代替ではない債券運用の延長を再検討する必要があります。
・キャピタルストラクチャの多様化による多様な投資機会の創出
信用供給のメカニズムが変われば、様々な代替的資金調達の方法が工夫されてきます。劣後の仕組みや株式転換権を組み合わせる、いわゆるメザニンが代表例です。ほかにもまだ、質屋金融的な実物資産担保融資(アセット・ベースト・レンディング)など、色々な方法があります。投資の立場からいえば、新しい投資対象が、どんどん生まれているということです。
・「仕組債」の問題点
仕組債は、債券という器に債券以外のありとあらゆるリスクを盛り込む手法です。割高なコストや仕組みの不透明性など、問題も多いわけですが、逆にいえば、透明性と適正なコスト構造をもつならば、それなりの投資意義がないわけではありません。実際、物価指数連動債などは、立派な仕組債です。
次回、2009年 第8回HC資産運用セミナーは
『事業価値とキャピタル・ストラクチャ?資本市場の構造変化とファンド資本主義?』です。
なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関するアンケート」の結果に関しましては、「HCセミナー・アンケートレポート」にて公表予定です。
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