2010/03/10開催 HC資産運用セミナーvol.027 セミナーレポート
HCセミナー
◆セミナーのまとめ◆
◆与信リスクの二つの管理方法
よく知られているように、与信リスク管理には二つの方法があります。入口管理と出口管理です。入口とは、与信実行時の審査に重点を置くもので、出口とは、回収に重点を置くものです。社債投資では、発行体の信用リスクの変化に対して、売却という出口で対応しますが、融資では、原則として売却しない前提ですので、入口の審査を厳格に行うことで対応します。
◆融資の変容
融資では、原則として売却しない前提でリスク管理する、というのがこれまでの常識です。しかし、近年、急激に融資は変容してきました。即ち、融資の実行(オリジネーション)と融資のリスクをとることとが、分離されてきます。いまでは、融資を実行したものが、融資を売却すること、あるいはデリバティブを使って与信リスクをヘッジすること、などが普通になっています。
◆融資の証券化におけるモラル・ハザード
証券化スキームに融資を売却することは、今日、ごく普通のことです。融資実行者が売却を前提にしているとすると、信用リスク管理の基本である審査に厳格を欠くようになる可能性を否定できません。一方、証券化された融資を証券として投資する投資家は、一般的には、格付等を基準として購入し、格下等の事由による売却によって、信用リスク管理をしています。融資は債権者と債務者の私的取引であり、融資実行者は審査を通じて債務者にかかわる情報を得ています。しかし、その融資の流動化によって作られる証券の投資家は、そのような情報を得ていません。ここに情報の非対称性があり、モラル・ハザードの可能性があります。もしも、融資実行者が乱脈な融資をし、一定の格付要件をクリアするように巧妙に流動化して証券を創出すると、そのような証券への投資家は、極めて危険な立場におかれます。これが、サブプライム問題の核心です。
◆銀行の資本規制がつくる投資機会
理論的には、いかに信用リスクに格差があっても、予想損失が金利で補償されるように、金利水準が定められている限り、統計的総合収益は、同じです。ところが、予想損失を事前に引き当てる銀行の資本規制の下では、信用リスクが高くなると、資本コストがかかる分だけ、金利を引き上げざるを得ません。この金利の上昇分、資本規制を受けない投資家にとって、有利な投資機会が得られます。
◆キャピタル・ストラクチャの多様化と投資の機会
融資にしても社債にしても、債権一般についての特色は、一つの企業が優先順位の先後関係を持った複数の債務を負担しているという点です。通常の金利秩序の下では、劣後しているものが高金利になります。しかし、高度に複雑な優先劣後関係の下で、常時、理論的金利秩序が保たれるわけではありませんし、いかに格付手法が洗練化されても、理論的優先劣後関係が、正確に格付に反映するとは限りません。常に、何らかの非効率が存在します。そこが投資の機会です。
◆時価評価のわな
社債でも融資でも信用関連の金融商品は、全て業者間の相対取引です。需給バランスが崩れ、しかも取引業者である証券会社の在庫を持つ力が大きく低下している局面では、気配としての時価の妥当性に大きな疑念が生じます。必ずしも実態を反映しない時価で評価することによる見かけ上の損失が、ロス・カットなどの売りを誘発し、さらに需給が崩れるというプロシクリカリティの可能性が、常に存在しています。
◆多様な投資機会の創出
信用供給のメカニズムが変われば、様々な代替的資金調達の方法が工夫されてきます。劣後の仕組みや株式転換権を組み合わせる、いわゆるメザニンが代表例です。ほかにもまだ、質屋金融的な実物資産担保融資(アセット・ベースト・レンディング)など、色々な方法があります。投資の立場からいえば、新しい投資対象が、どんどん生まれているということです。
よく知られているように、与信リスク管理には二つの方法があります。入口管理と出口管理です。入口とは、与信実行時の審査に重点を置くもので、出口とは、回収に重点を置くものです。社債投資では、発行体の信用リスクの変化に対して、売却という出口で対応しますが、融資では、原則として売却しない前提ですので、入口の審査を厳格に行うことで対応します。
◆融資の変容
融資では、原則として売却しない前提でリスク管理する、というのがこれまでの常識です。しかし、近年、急激に融資は変容してきました。即ち、融資の実行(オリジネーション)と融資のリスクをとることとが、分離されてきます。いまでは、融資を実行したものが、融資を売却すること、あるいはデリバティブを使って与信リスクをヘッジすること、などが普通になっています。
◆融資の証券化におけるモラル・ハザード
証券化スキームに融資を売却することは、今日、ごく普通のことです。融資実行者が売却を前提にしているとすると、信用リスク管理の基本である審査に厳格を欠くようになる可能性を否定できません。一方、証券化された融資を証券として投資する投資家は、一般的には、格付等を基準として購入し、格下等の事由による売却によって、信用リスク管理をしています。融資は債権者と債務者の私的取引であり、融資実行者は審査を通じて債務者にかかわる情報を得ています。しかし、その融資の流動化によって作られる証券の投資家は、そのような情報を得ていません。ここに情報の非対称性があり、モラル・ハザードの可能性があります。もしも、融資実行者が乱脈な融資をし、一定の格付要件をクリアするように巧妙に流動化して証券を創出すると、そのような証券への投資家は、極めて危険な立場におかれます。これが、サブプライム問題の核心です。
◆銀行の資本規制がつくる投資機会
理論的には、いかに信用リスクに格差があっても、予想損失が金利で補償されるように、金利水準が定められている限り、統計的総合収益は、同じです。ところが、予想損失を事前に引き当てる銀行の資本規制の下では、信用リスクが高くなると、資本コストがかかる分だけ、金利を引き上げざるを得ません。この金利の上昇分、資本規制を受けない投資家にとって、有利な投資機会が得られます。
◆キャピタル・ストラクチャの多様化と投資の機会
融資にしても社債にしても、債権一般についての特色は、一つの企業が優先順位の先後関係を持った複数の債務を負担しているという点です。通常の金利秩序の下では、劣後しているものが高金利になります。しかし、高度に複雑な優先劣後関係の下で、常時、理論的金利秩序が保たれるわけではありませんし、いかに格付手法が洗練化されても、理論的優先劣後関係が、正確に格付に反映するとは限りません。常に、何らかの非効率が存在します。そこが投資の機会です。
◆時価評価のわな
社債でも融資でも信用関連の金融商品は、全て業者間の相対取引です。需給バランスが崩れ、しかも取引業者である証券会社の在庫を持つ力が大きく低下している局面では、気配としての時価の妥当性に大きな疑念が生じます。必ずしも実態を反映しない時価で評価することによる見かけ上の損失が、ロス・カットなどの売りを誘発し、さらに需給が崩れるというプロシクリカリティの可能性が、常に存在しています。
◆多様な投資機会の創出
信用供給のメカニズムが変われば、様々な代替的資金調達の方法が工夫されてきます。劣後の仕組みや株式転換権を組み合わせる、いわゆるメザニンが代表例です。ほかにもまだ、質屋金融的な実物資産担保融資(アセット・ベースト・レンディング)など、色々な方法があります。投資の立場からいえば、新しい投資対象が、どんどん生まれているということです。
次回、2010年 第4回HC資産運用セミナーは『事業価値とキャピタル・ストラクチャ』です。
是非とも皆様のご参加をお待ちしております。
なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関するアンケート」の結果に関しましては、
「HCセミナー・アンケートレポート」にて公表予定です。
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