本書は、現代経済学の多岐にわたる理論モデルの中から主要と思われるテーマをピックアップし、数式で描かれる経済理論の社会的な意味を丁寧に解釈することで経済学的な直感を養うことを目的として書かれており、厳選されたテーマは経済理論発展の物語を感じさせるよう丁寧に並べられ、非常に完成度の高い教科書であると感じます。
300ページほどの紙面に対し取り扱うテーマは幅広く、第I部のミクロ経済学では、伝統的な価格理論、市場の失敗(ゲーム理論)、不確実性(保険契約)を取扱い、第II部のマクロ経済学では、セイの法則(需要が供給を創る)に基づく物価の理論、有効需要の考え(供給が需要を創る)に基づいた失業の理論、経済成長理論の理論モデルを紹介し、続く第III部の応用編では、モノの消費以外の行為から満足感を得るような、伝統的な経済学の枠組みを超えた経済人のモデルを考え、最後に、1980年代以降の日本経済を、経済学界で何が起こっていたのか、著者の見たことや思っていること等を交えながら紹介していきます。
本書のような数式と経済学的な意味との行間を補うことに成功した和書は少なく、以前は、数式を解釈できるまでひたすら自分で考え抜くしか選択肢がありませんでしたので、この手の本が前からあれば、と思わずにはいられませんでした。
各分野で取り扱うテーマが絞られており、議論の踏込みもそれほど深くないため、経済学の入門レベルの学習を終えた方々、たとえば「厚めの本で事例を使って一通り学んだが、掛け算・割り算以上のことはしなかった」という方や「機械的に問題を解いたことはあるが、意味はよく分かっていない」といった経験を持つ方にとっては、経済学をより感覚的に理解できるようになるために、読んで損しない本となるかと思われます。
300ページほどの紙面に対し取り扱うテーマは幅広く、第I部のミクロ経済学では、伝統的な価格理論、市場の失敗(ゲーム理論)、不確実性(保険契約)を取扱い、第II部のマクロ経済学では、セイの法則(需要が供給を創る)に基づく物価の理論、有効需要の考え(供給が需要を創る)に基づいた失業の理論、経済成長理論の理論モデルを紹介し、続く第III部の応用編では、モノの消費以外の行為から満足感を得るような、伝統的な経済学の枠組みを超えた経済人のモデルを考え、最後に、1980年代以降の日本経済を、経済学界で何が起こっていたのか、著者の見たことや思っていること等を交えながら紹介していきます。
本書のような数式と経済学的な意味との行間を補うことに成功した和書は少なく、以前は、数式を解釈できるまでひたすら自分で考え抜くしか選択肢がありませんでしたので、この手の本が前からあれば、と思わずにはいられませんでした。
各分野で取り扱うテーマが絞られており、議論の踏込みもそれほど深くないため、経済学の入門レベルの学習を終えた方々、たとえば「厚めの本で事例を使って一通り学んだが、掛け算・割り算以上のことはしなかった」という方や「機械的に問題を解いたことはあるが、意味はよく分かっていない」といった経験を持つ方にとっては、経済学をより感覚的に理解できるようになるために、読んで損しない本となるかと思われます。
この本を紹介した人
和田 裕
HCアセットマネジメント株式会社
一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。
2016年4月にHCアセットマネジメント株式会社に入社し、現在はポートフォリオマネージャーやアナリストのサポートに従事。