捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体

捨てられる銀行4 消えた銀行員 地域金融変革運動体

著者 橋本 卓典
出版社 講談社
発行日 2020/9/16
 コロナ禍である今こそ、改革に向けた資金ニーズに金融は応えなければなりません。ところが、この20年でリスクを取れる銀行、そして銀行員は、消えました。
 ただし、本書のタイトルの「消えた」にはもう一つの意味が込められています。伝統的金融に安住することを止めて変革に歩みだし、銀行員の枠組みから「消えた」銀行員として。

 地域金融変革運動体とは、地域や地域金融に思いを持って行動する同志のつながりを総称したもので、真の名を「ヘンタイ」の会。
 地域の問題を本気で考え行動している変人・ヘンタイこそが変革をもたらすという確信から、京都信用金庫の増田寿幸氏が呼び掛けたことに端を発するもので、彼らの力をネットワーク化し、所属組織の壁を取り払って率直にものが言える場として成立させたものです。

 定年後に銀行員となった技術者、当事者としても経営再建の経験のある再生請負人など、本書では参加者の多種多様な実例が紹介されています。彼らの行動の原点は、金融で何ができるかではなく、地域にとって必要なことは何か、そのために何ができるかにあります。志を同じくするからこそ、参加者相互にネットワークからの知によって、何ができるかという解の幅は広がることでしょう。
 組織とは何か、自身の役割とは何かを改めて考えさせられると思います。地域のために何ができるか、日々奮闘している人におすすめしたい本です。

この本を紹介した人

杉本 理華

HCアセットマネジメント株式会社

2015年にHCアセットマネジメント株式会社に新卒で入社。主として個人金融に関わる業務に従事。中央大学商学部卒業。