タレブ氏の名著『ブラック・スワン』は、極めて稀だが影響の計り知れない出来事(ブラック・スワン)が、いかにして人類の歴史や金融市場に大きな影響を与えるかを論じ、ブラック・スワンは予測不可能で、従来の統計モデルでは捉えきれないものとしました。本書は、ブラック・スワンを含めた不確実性や混乱、ストレスの対応策について様々な事例を用いて解説しています。不確実性や混乱、ストレスを恐れず、かかる事態からの回復・成長を目指すシステムやアイディアを持つことを「アンチフラジャイル(反脆弱)」と定義し、その概念を社会、経済、個人のレベルで考察します。
単に頑強なシステムではなく、反脆弱なシステムへの移行という点では直近の金融行政方針の転換にも類似しているように感じました。過去の統計からリスクを測定、数値化し、防御壁として厚い自己資本を課したり、厳格な融資基準を策定したりという方向にリスク管理の高度化を進めることは、一見安定しているように感じますが、ブラック・スワンには脆いままです。リスクアペタイトフレームワークを活用し、過去の延長ではなくフォワードルッキングな視点を取り入れることやリスクテイクの質的向上による、能動的にリスクテイク・リスク管理を行うような取り組みがリスクカルチャーの醸成に繋がり、結果として、真のリスク管理の高度化を実現する「アンチフラジャイル」なシステムが構築されるのではないでしょうか。
「災い転じて福となす」とあるように、投資運用においても、私生活においても、不確実性を「災い」ではなく「福」の源と捉え、そこから学び、成長していく柔軟性や適応力を持つことが重要だと感じさせられる一冊でした。
単に頑強なシステムではなく、反脆弱なシステムへの移行という点では直近の金融行政方針の転換にも類似しているように感じました。過去の統計からリスクを測定、数値化し、防御壁として厚い自己資本を課したり、厳格な融資基準を策定したりという方向にリスク管理の高度化を進めることは、一見安定しているように感じますが、ブラック・スワンには脆いままです。リスクアペタイトフレームワークを活用し、過去の延長ではなくフォワードルッキングな視点を取り入れることやリスクテイクの質的向上による、能動的にリスクテイク・リスク管理を行うような取り組みがリスクカルチャーの醸成に繋がり、結果として、真のリスク管理の高度化を実現する「アンチフラジャイル」なシステムが構築されるのではないでしょうか。
「災い転じて福となす」とあるように、投資運用においても、私生活においても、不確実性を「災い」ではなく「福」の源と捉え、そこから学び、成長していく柔軟性や適応力を持つことが重要だと感じさせられる一冊でした。
この本を紹介した人
翁 将也
HCアセットマネジメント株式会社投資運用機能所属
2021年にHCアセットマネジメント株式会社に新卒で入社。現在はポートフォリオマネージャーのサポートに従事。趣味は旅行。