20181206 日産自動車のゴーン氏が虚偽記載を指示したはずはない 日産自動車の前会長であるゴーン氏は、自己の報酬について有価証券報告書に虚偽の記載をするように指示したとして、東京地方検察庁に逮捕されたわけですが、事案の詳細が不明ななかにおいて確実にいえることは、記載すべき報酬額の算定において、ゴーン氏側と検察側とで見解に大きな相違があるということだけです。見解の相違で逮捕というのは異常ではないでしょうか。 コーポレートガバナンス
20181129 企業年金に企業の品位品格が現れる 2018年6月1日に改正施行された「コーポレートガバナンス・コード」では、初めて企業年金への言及がなされましたが、その主旨からして、企業年金が企業価値の向上に貢献すべきことを前提にしたうえで、経営者に対して、より優れた取り組みを促すものと考えられます。しかし、企業側の目立った反応がないということは、企業価値の向上における企業年金の機能が充分に理解されていないからでしょう。さて、なぜ企業年金が重要なのか。 年金基金
20181122 相手に何かを要求をするときは相手の利益を先にいえ 飛行機に乗れば、必ずシートベルトを締めろと指示されますが、商業において顧客に命令形の表現を使うことは厳に戒められることですから、安全のためにという顧客の利益を先にいうことになっています。この相手の利益優先という原則は、全ての商業、あるいは全ての人間関係に通じるものですが、実際には忠実に守られることの少ないものです。例えば、組織の長が所属員に勤勉や創意工夫を要求するのは普通として、相手の利益をいうことは稀のようですが。 金融行政方針
20181115 78歳で病院の世話になったことのない麻生太郎先生の立派な見識 麻生太郎財務大臣の発言は、表現が直截的にすぎて乱暴な印象を与えるせいか、政治的には物議を醸しやすいわけですが、経済的な側面から内容を検討する限り、理に適っている場合が多いようです。例えば、健康保険のあり方について医療費負担の公平性に言及した最近の発言なども、一部に批判があったにしても、日本の持続可能な未来社会の建設にとって重要な示唆を与える立派な見識の表明なのです。 働き方改革
20181108 金融庁は金融育成庁として何を育成するのか 金融庁は、新しい行政方針のなかで、金融育成庁への動きを加速させるとしています。加速という意味は、既に金融機関の監督を中心としてきた金融庁の行政目的が抜本的に転換されていて、金融機能の高度化によって経済の持続的成長と国民資産の安定的形成を実現することが使命とされたなかで、今後は、経済活動全体のなかに多様な形態で存在する金融機能を幅広く取り上げ、規制するよりも、育成する方向を強く打ち出したものと考えてよいでしょう。さて、何が重点的に育成されるべきなのか。 金融行政方針
20181101 スルガ銀行は金融庁の行政処分で命運尽きたか 金融庁は、10月5日に、スルガ銀行に対する行政処分を発表しましたが、予想された通り、非常に厳しい内容のものでした。また、これより前の9月7日に公表されている第三者委員会の調査報告書と比較すると、視点や事象の評価において、かなり異なっていて、今後の取締役等の責任追及にも少なからざる影響を与えるものと思われます。さて、金融庁の見立てはどうなっているのか。 スルガ銀行(2018)
20181025 スルガ銀行の不正は社外取締役の働きで防げたか スルガ銀行の組織的不正を調査した第三者委員会の報告書では、社外取締役は、取締役会に十分な情報が提供されていなかった以上、主体的に情報収集をしていなかったとしても、知り得ないことに責任を負わないとされています。しかし、知れば責任を問われ、知らなければ責任を問われない社外取締役は、知ろうと努力するはずもないのではないか。ならば、一体、何のための社外取締役なのか。 スルガ銀行(2018)
20181018 仮想通貨による資金調達とは記念切手の発行みたいなものか 仮想通貨を発行して資金を調達すること、いわゆるICOですが、そこでは、詐欺的なものでない限り、何か価値のあるものが発行されるのでなければなりません。さて、その価値とは、郵便切手の額面金額の価値というよりも、記念切手には額面以上の価値があるという意味での価値ではないのか。ならば、切手蒐集家のような価値を支える愛好者の存在が不可欠ではないのか。 仮想通貨
20181011 投資はチャンステイクだ リスクが不確実性だという意味は、損失を被る可能性である以前に、利益を得る機会だということです。確かに投資はリスクテイク、即ちリスクをとることですが、リスクテイクするのは利益を得る機会に賭けるためですから、リスクテイクではなく、チャンステイクと呼ばれるべきです。こう呼び換えれば、リスクテイクにおけるリスクと、リスク管理におけるリスクとの混同をなくすことができ、投資の本質を明らかにすることができます。 投資哲学
20181004 スルガ銀行の無知ゆえに免責された社外取締役は無用ではないか スルガ銀行の組織的不正に関する第三者委員会の調査報告書は、取締役会が全く機能していなかった実態を明らかにしていますが、はたして、機能不全の背後にある事情は同行固有のものなのか。仮に、同行の状況が程度において異常だとしても、取締役会の構造的欠陥は日本の全ての企業に共通しているのではないのか。そして、取締役に機能不全に陥らせた責任はないのか。 スルガ銀行(2018)