20190711 野村證券が悪さをすると社会がよくなる 金融庁が5月28日に野村證券を行政処分した際には、「コンプライアンスの本質」という概念が使われました。コンプライアンスが単なる法令遵守を意味するのに対して、「コンプライアンスの本質」は法令等の主旨にまで遡る高次の規範意識なのですが、では、法令等の本質的主旨と形式的字句との関係はどうなるのか、どちらが優先されるのか。この行政処分が提起した問題は哲学的に深いようです。 金融行政方針
20190704 老後2000万円問題という喜劇の後味 「公的年金の受給に加えた生活水準を上げるための行動」という万人誰しもが考えることを提唱すると深刻な政治問題になる、老後2000万円問題とは、そういう異常というか、滑稽な事態だったのですが、事実として政治問題化したということは、公的年金のみによって最低生活水準は保障されているとする政府公式見解について、疑義を呈される余地があるということです。さて、老後2000万円問題が提起した真の問題とは何か。 金融行政方針
20190627 投資信託を売る君よ、文句があるなら独立しろ 投資信託の販売手数料が正当な役務の対価だとしたら、その役務は顧客の真の利益の視点にたった投資相談等のコンサルティングでなければなりません。そして、そのコンサルティングは、顧客が価値を認めて対価を支払っているのなら、販売業務から独立した商業として成立するはずであって、ならば、その業務に従事する人は、販売会社である金融機関を辞めて、独立開業できるはずではないでしょうか。 投資信託 金利生活
20190620 作文能力の低さが生んだ老後2000万円問題の悲喜劇 奇怪至極なことに、金融審議会の市場ワーキング・グループによる「高齢社会における資産形成・管理」と題する報告書が大きな政治問題になりました。理由はどうあれ、予想外に広く読まれたことを関係者は多とすべきですが、誤解されたにせよ、曲解されたにせよ、主旨が伝わらなかったのならば、まとめ方に適切さを欠いていたことに間違いないわけで、さて、この報告書のどこがおかしいのか。 金融行政方針
20190613 野村證券の犯罪的に巧みな営業話法 野村證券は5月28日に情報管理態勢の不備を理由に金融庁から行政処分を受けました。問題となった情報は東京証券取引所内部の非公開の論議内容に関するもので、明らかに入手経路の不正が疑われるものであったにもかかわらず、営業の前線にまで伝達されて実際に営業話法に利用されたという事案です。法律の不備から違法ではないとされた一連の行為ですが、違法すれすれの高度に犯罪的な話法は、どのように構築されたのか。 金融行政方針
20190606 行政処分を受けた野村證券よりも悪い人たち 5月24日、野村ホールディングスは主要子会社である野村證券の「不適切な情報伝達事案」に関する調査結果を公表し、その直後の28日に、金融庁は当件について両社に対する行政処分を行いました。金融庁の処分対象となったのは、あくまでも野村證券の内部における情報管理態勢の不備にすぎないのであって、重要情報の入手経緯と、その重要情報を利用した実際の取引の実態については不明です。さて、この問題の本質はどこにあるのか。 金融行政方針
20190530 会社がなくなる日のために 企業という言葉は会社と同義に使われますが、本来は、読んで字のごとく、業、即ち事業を企てることであって、その企てに参画する人が事業主体として作るのが会社なのです。故に会社の主役は事業を企てる人だったはずなのに、いつか会社が先にあって、そこに人が従属するようになってしまいました。さて、真の働き方改革において、働く人の主体性が回復され、企業が事業を企てることに戻ったとき、会社はどこに行くのか。 働き方改革
20190523 銀行員がいなくなる日のために 株式会社に勤務する人は会社員と呼ばれますが、銀行という株式会社に勤務する人だけは銀行員と呼ばれます。これは、銀行が特別なものであり、銀行員が特殊な人種と看做されてきたからでしょうが、社会の進化で銀行が不要なものになるとき、特殊な職業でなくなった銀行員はどこへ行って、どのような職業に就くべきなのでしょうか。 金融の脱構築
20190516 会社員という職業がなくなる日のために そもそも会社員という職業はあるのでしょうか。もしも職業という言葉が何らかの専門性のある業務に従事することを意味するのなら、会社員は職業ではなく、単に会社に雇われている人の従属的立場を意味するだけです。ならば、働き方改革において、働く人を主語にしていることの意義が真に理解されるとき、会社が人を雇うという会社中心主義は滅び去り、会社員はなくなり、いずれは会社自体もなくなる日が来るのではないでしょうか。 働き方改革
20190509 憧れの金利生活者になるために 投資という言葉は広義に用いられるために、一般には、産業金融の中核を担う重要な機能を思い浮かべる人よりも、投機のような危ないものを想起する人のほうが多いのかもしれません。そうしたこともあって、投資信託の普及を目指す金融庁は、投資を資産形成と呼んでいます。では資産形成の目的は何かといえば、理想的には、形成された資産が生む利息配当金収入で生活することではないでしょうか。 金利生活