20180201 悪魔の経済計算と計算不能な価値の多様性による成長戦略 科学技術は無限に進化し、新領域を創造するでしょうが、同時に、多くの既存の領域では技術的に成熟していきます。その成熟のなかで、更なる技術の高度化により製品の品質や性能を改良しようとしても、それに要する限界費用は逓増していく一方で、改良の限界効果は逓減していかざるを得ず、どこかで費用を価格に転嫁することが困難になるはずです。このとき技術革新は意味を変えなくてはなりません。さて、成熟領域での新たな技術革新は、どうあるべきか。 成長戦略
20180125 素人のガバナンスと玄人のマネジメント 企業のガバナンス改革で重要な役割を演じるとされている社外取締役ですが、部外者として事業内容に精通していないものを経営の頂点の判断に関与させることの意味は何か、いわば素人にすぎないものに何が貢献できるというのか、逆にいえば、なぜ社内の玄人の経営者だけの意思決定ではいけないのか。さて、素人のガバナンスと玄人のマネジメント、その役割分担はどうあるべきか。 コーポレートガバナンス
20180118 地域金融機関の淘汰の原理と退出の作法 金融庁が昨年の11月10日に公表した2017事務年度金融行政方針においては、地域金融機関に関して、「地域の企業・経済に貢献していない金融機関の退出は市場メカニズムの発揮と考えられる」との極めて厳しい見解が表明されています。ついに、金融行政は、市場メカニズムの発揮により淘汰される地域金融機関について、円滑な退出を促す方向に舵を切ったのか。 金融行政方針
20180111 必要な保険と不必要な保険会社 保険に社会的必要性のあることは疑い得ないことですが、だからといって、現に今ある保険会社にも社会的必要性があることにはなりません。これからの日本社会において真に必要とされる保険機能は、最適な業者が最善の方法で最少の費用のもとで提供すればよく、それが既存の保険会社である必要は全くないのであって、むしろ、新規参入により生じる真の競争原理のもとで旧勢力が淘汰されることは社会の進歩にほかなりません。 保険
20171221 金融庁を超えてしまった金融庁 金融庁が11月10日に公表した2017事務年度の金融行政方針には、なんと「金融庁の所管にとらわれず」という異例な記述があります。金融庁として異例というよりも、霞が関の官僚機構全体としてみても所管を超えることは前代未聞であり、その非常識ともいえる大胆さには驚愕を禁じ得ません。さても、金融庁を超えてしまった金融庁の真意は何か。 金融行政方針
20171214 金融庁のいう新たなコンプライアンスとは何か 金融庁は11月10日に2017事務年度の金融行政方針を公表しましたが、そのなかで「新たなコンプライアンス分野への対応」という項目をたてて、「コンプライアンスをリスク管理の一環として」位置づける動きに言及しています。企業の法令違反が直ちに経営危機につながることを考えれば、これは当然のことですが、金融庁がいうコンプライアンスは単なる法令遵守を超えた新たなものとして提示されているのです。さて、どこが新しいのか。 リスクアペタイトフレームワーク
20171207 投資判断を合議で決することは不可能である 投資判断は、いかに合理性を追求しても、不確実な未来に賭ける要素を払拭し得ないものです。年金基金等の機関投資家は、組織の意思決定機関をもつから機関投資家と呼ばれるのですが、さて、賭けを機関の合議で決めることができるものでしょうか。そもそも、一般に、集団で論じて具体的な結論を得ることができるのか、合議による決定とは何か。 投資のプロフェッショナル
20171130 賢人の独裁と凡人の集団統治、どちらの害が少ないか 政治を論じようというのではありません。年金基金等の社会的責任を負う機関投資家のガバナンスを論じようというのです。投資の成果は個人の能力と経験に大きく依存しているので、一番優れている人に権限を集中すればいいようですが、他方で、社会的責務の重大性を考えれば、合議組織による意思決定が望ましいとも思われ、さて、どちらが有効か、あるいは害が少ないか。 投資のプロフェッショナル
20171116 責任なきところ投資成果なし 投資は、自己財産のことならば、自己責任ですから、自分で好きに決めて勝手にやればいいことです。損をしても、たまに儲けても、自分で決めたことには納得できます。ところが、他人の財産を、職務によって、また組織として、運用するとなると、責任の構造は根本的に変わります。自己責任なら簡単に決断できることを、組織としての責任のもとで、いかにして意志決定なされ得るのか。 投資のプロフェッショナル
20171109 新・三井住友銀行で一番売れている投資信託 現在、三井住友銀行で一番売れている投資信託は、「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド」というものです。三年前に同行で一番売れていた投資信託と比較するとき、そのあまりの変化に驚きます。この三年間、金融庁が強力に推進してきた投資信託改革ですが、この新商品、さても、その顕著な成果といえるのか。 投資信託 金利生活