20171221 金融庁を超えてしまった金融庁 金融庁が11月10日に公表した2017事務年度の金融行政方針には、なんと「金融庁の所管にとらわれず」という異例な記述があります。金融庁として異例というよりも、霞が関の官僚機構全体としてみても所管を超えることは前代未聞であり、その非常識ともいえる大胆さには驚愕を禁じ得ません。さても、金融庁を超えてしまった金融庁の真意は何か。 金融行政方針
20171214 金融庁のいう新たなコンプライアンスとは何か 金融庁は11月10日に2017事務年度の金融行政方針を公表しましたが、そのなかで「新たなコンプライアンス分野への対応」という項目をたてて、「コンプライアンスをリスク管理の一環として」位置づける動きに言及しています。企業の法令違反が直ちに経営危機につながることを考えれば、これは当然のことですが、金融庁がいうコンプライアンスは単なる法令遵守を超えた新たなものとして提示されているのです。さて、どこが新しいのか。 リスクアペタイトフレームワーク
20171207 投資判断を合議で決することは不可能である 投資判断は、いかに合理性を追求しても、不確実な未来に賭ける要素を払拭し得ないものです。年金基金等の機関投資家は、組織の意思決定機関をもつから機関投資家と呼ばれるのですが、さて、賭けを機関の合議で決めることができるものでしょうか。そもそも、一般に、集団で論じて具体的な結論を得ることができるのか、合議による決定とは何か。 投資のプロフェッショナル
20171130 賢人の独裁と凡人の集団統治、どちらの害が少ないか 政治を論じようというのではありません。年金基金等の社会的責任を負う機関投資家のガバナンスを論じようというのです。投資の成果は個人の能力と経験に大きく依存しているので、一番優れている人に権限を集中すればいいようですが、他方で、社会的責務の重大性を考えれば、合議組織による意思決定が望ましいとも思われ、さて、どちらが有効か、あるいは害が少ないか。 投資のプロフェッショナル
20171116 責任なきところ投資成果なし 投資は、自己財産のことならば、自己責任ですから、自分で好きに決めて勝手にやればいいことです。損をしても、たまに儲けても、自分で決めたことには納得できます。ところが、他人の財産を、職務によって、また組織として、運用するとなると、責任の構造は根本的に変わります。自己責任なら簡単に決断できることを、組織としての責任のもとで、いかにして意志決定なされ得るのか。 投資のプロフェッショナル
20171109 新・三井住友銀行で一番売れている投資信託 現在、三井住友銀行で一番売れている投資信託は、「SMBC・アムンディ プロテクト&スイッチファンド」というものです。三年前に同行で一番売れていた投資信託と比較するとき、そのあまりの変化に驚きます。この三年間、金融庁が強力に推進してきた投資信託改革ですが、この新商品、さても、その顕著な成果といえるのか。 投資信託 金利生活
20171102 金融なぞ所詮は虚業なのだから 融資を受ければ、利息の支払いという負の価値が生まれます。その負の価値が金融の実態です。融資を受けた企業は資金を事業に投下して正の価値を生み、その正の価値が金融の負の価値を上回るからこそ、金融は成立するにすぎません。実業の影にあるものとして、虚業といわれる所以です。さて、金融は、所詮は虚業ならば、極力目立たないように心掛け、必要最小限の役回りに徹するべきではないか。 金融の脱構築
20171026 金融のフィデューシャリーを目指す働き方改革 フィデューシャリーは、英米法の専門家だけが知る特殊な言葉だったのですが、三年前に金融庁の施策を表現するものとして採用されたことから、今では金融界で知らぬもののない流行語になりました。これは専らに顧客の利益のために働く人を意味していて、弁護士や医師を思い浮かべればいいのですが、それだけに、金融機関に働く人をフィデューシャリーと呼ぶことの違和感は強烈です。強烈な違和感をもって有名となったフィデューシャリー、さて、金融行政の狙いは何か。 働き方改革
20171019 金融のプロフェッショナルを目指す働き方改革 金融庁がいう顧客本位を徹底していくと、金融機関本位が消滅して、金融機関に働くプロフェッショナル本位が現れてきます。なぜなら、金融とは、顧客と、顧客を担当する金融のプロフェッショナルとの間に、共通価値を創造することだからです。そこに創造された価値は、結果的に金融機関の利益となるのです。金融機関は、ついに、主役の地位を顧客とプロフェッショナルに譲り渡す、これが顧客本位の本質です。 働き方改革
20171012 金融における顧客本位な働き方改革 金融庁は、金融機関に対して顧客本位な業務運営を求めているのですが、顧客本位は、金融機関本位の否定として、金融機関に働く人本位をも意味するのではないでしょうか。顧客本位のもとで、顧客の利益のために働くことは、金融機関のなかで自立した立場を確保するのでなければ、貫徹し得ないと考えられるからです。これぞ真の働き方改革ですが、さて、いかにして可能なのか。 働き方改革