20170126 金融はロボットにやらせるべきか 顧客本位ということは、顧客の利益の視点で、その需要が生まれてきた背景にまで遡って、目的に対する合理性のもとで、最適な商品やサービスを提案して供給することです。だとすると、真の顧客本位を貫くためには、処理しなければならない情報量が多くなり、目的合理性と最適性の推計も高度に複雑になるでしょうから、人工知能の導入が必要になるかもしれません。さて、ロボットのほうが人よりも顧客本位になるのか。 フィンテック
20170119 顧客満足に反してこその金融 金融庁は、顧客本位ということを、金融機関に求めているのですが、背景の事情を理解しない一般の人からすれば、行政の施策にするまでもなく、商業の常識だということになるでしょう。しかし、金融庁は、顧客本位をもって、単なる顧客満足としているわけではなく、金融も含めて、世の商売では、顧客満足の名のもとに、顧客本位に反したことが行われがちであることを問題視しているのです。 フィデューシャリー・デューティー
20170112 顧客満足は顧客本位ではない 顧客本位は、間違いなく、顧客満足につながります。しかし、顧客満足は、必ずしも、顧客本位とは限りません。消費においては、顧客の満足は、商品やサービスの実質的な機能よりも、機能を超えたところにある抽象的なもの、ふわふわとした夢や幻想のようなものに依存するからです。しかし、金融をはじめとして、いくつかの社会的に重要な機能については、実質的な内容の充実、即ち、顧客本位に基づく顧客満足を実現することが必要なのです。 フィデューシャリー・デューティー
20170105 金融再編を予感させる年明け 金融機能の再編は、金融機関の再編に帰結するほかありません。例えば、貯蓄と決済という二つの機能を統合した預金は、一方で、金融の外に決済機能が拡大し、他方で、金利のない預金の貯蓄性が消滅するなかで、その存在意義が疑問に付されているわけですが、さて、預金を解体すれば、銀行の解体も不可避とならないでしょうか。 金融行政方針
20161222 金融機関監督庁から金融機能強化庁へ 森信親長官のもと、金融庁は、急激かつ大胆な革命的ともいえる自己改造を進めています。そのなかで、顕著なことは、金融サービスの利用者の視点、即ち、国民の視点に徹する姿勢です。つまり、金融機関の視点がなくなったのです。ならば、もはや、金融庁の役割は、金融機関を監督することではなくて、国民の利益の視点で、金融機能を強化することになったのではないか。 金融行政方針
20161215 スルメ金融からイカ金融へ 企業は、生きたイカのように、元気に泳ぐ生き物です。それに対して、財務諸表等の数値に表現される企業は、過去の泳ぎの一姿態にすぎず、死んで干乾びたスルメです。金融庁は、銀行等の企業融資において、スルメの成分の静態解析に基づく判断を改めて、イカの動態を評価する方向への転換を強く求めています。さて、スルメ金融からイカ金融への脱皮は、可能なのか。 金融行政方針
20161208 神話の創造による成長戦略 死期の迫った農夫は、のらくら息子たちに、自分の葡萄畑に宝物を隠してある、といって死んだ、息子たちは、畑を隅から隅まで掘り返したが、宝物は見つからなかった、その代わりに、葡萄がよく実った。これは、イソップの「農夫と息子たち」という有名な寓話です。人間にとって苦労こそが宝物だという寓意はともかくも、この話、農夫の嘘を息子たちが信じないとなりたちません。なぜ、息子たちは信じたのか、実は、そこに深い哲学があるのです。 コーポレートガバナンス
20161201 投資運用業者の質の「見える化」 金融庁は、10月21日に、2016事務年度の金融行政方針を公表しましたが、そのなかで、投資運用業者のモニタリングを効果的に行うために、ベンチマークを策定するとしています。モニタリングの究極の目的は、運用の質を高めることになるはずですから、ベンチマークは運用の質を測定するものでなければならないはずです。さて、そのような便利なものができたら、顧客の運用会社選択は、激変するのではないでしょうか。 金融行政方針
20161124 長生きしすぎた昭和金融、ついに死す 金融庁は、10月21日に、2016事務年度の金融行政方針を公表しましたが、そのなかで、金融仲介機能を中心とした日本型の金融構造を、資本市場機能を中心としたものに転換する方針を、一段と明確にしています。昭和の末期になされるべくして、なされ得なかった金融構造改革、ようやっと、今、そのときを迎えたのか。昭和も遠くなりにけり、なおも生き延びてきた昭和金融、ついに死亡宣告か。 金融行政方針
20161117 森信親長官らしい金融再編論 金融庁の森信親長官は、地方銀行の統合を主導されているともいわれているようですが、確かに、長官が強力に推進される施策のもとでは、金融機関の再編が起きる可能性はあるでしょう。しかし、それは、10月21日に公表された2016事務年度の金融行政方針をみる限り、決して金融庁が主導するものではなくて、顧客の選別の結果として、自然に実現されていくもののようです。 金融行政方針