前回の金融最前線では鹿児島銀行のABLを用いた畜産融資を取り上げました。それは、地域の産業マップを描き、裾野が広い産業の頂点へ融資をつけることにより、域内に付加価値をおとすといった、まさに「地域に融資を行う」という考え方です。加えて素晴らしいのは、裾野が広い産業(鹿児島の場合は畜産業なわけですが)に融資を行うためにはどのようなノウハウが必要かということを科学的かつ戦略的に考えられ、ABLという手法を債務者管理の技術として用いている点です。金融機関としての本来業務を当然のように行っているという意味では原点回帰ともいえますが、グローバルな金融協調の元、銀行等金融機関の社会的役割に対する期待が変わり、資本規制等が強化されゆく環境の中、地域金融機能の原点に立ち返り、独自の経営を貫く姿勢は、ある意味“最前線”といえます。
さて、わたしたちは、日本の成長と社会に付加価値を生み出す金融本来のあり方に注目しています。ここでいう、日本の成長とは日本の産業の成長を指します。また、社会に付加価値を生み出す金融本来のあり方とは、日本の成長の潤滑油、つまり産業に対する積極的な成長資本の供給です。
日本の地域には、世界に誇るものづくりの技術が多数存在しています。また元来、日本の成長を支えてきたのも地域の中小・零細企業です。そこに、日本の成長の鍵があるはずです。
「成長なきところに投資なし」
これが、わたしたちが地域金融に注目してきた理由です。
(この辺りの議論は弊社代表・森本紀行のコラム「成長資本という理念に基づいて日本の成長を実現する会」・「成長資本と地域金融」・「成長資本と地域の産業構造」をご参照ください)
さて、このような流れで今回は南から北へ。
北海道・帯広信用金庫(以下、帯広信金)が経営として取り組むシンクタンク機能の強化と創業支援融資について紹介したいと思います。シンクタンク機能とは、まさに地域の強みを徹底的に分析するということで、帯広信金では昨年4月に地域経済振興部という専門部署を発足させました。そして、創業支援融資とは、その名のとおり創業支援に対する資金の供給を行うことなのですが、弁済の裏づけが不確かなものですから、金融機関にはあまり馴染みのない仕組みだと思います。しかし、協同組織金融機関としての社会的役割を担う信用金庫では、地域の中小・零細企業の多様な資金需要を満たす必要性から、そのような仕組みが一般的に行われているようで、帯広信金においては、業界の中でも、極めて早い段階でこれに取り組まれてきました。
これに関連し、十勝野フロマージュという中札内村にあるチーズ工房への創業支援融資の事例について、わたしたちは、地域の産業連関を意識した資金提供の先駆的実例として注目し、今回取材をお願いすることになりました。
この事例は、技術・経験・目利き力を活かした帯広信金の大変素晴らしい仕事であると実感すると共に、十勝野フロマージュ・赤部紀夫社長(以下、赤部社長)のものづくりへの情熱と帯広信用金庫・増田正二理事長(以下、増田理事長)のアイディアである“チーズ・バンク構想”に触れ、これぞ、先程述べた日本の成長と社会に付加価値を生み出す金融本来のあり方における理想的なモデルとなることを確信しました。同時にこのような事例に対し、地域産品のグローバルな販路・流通拡大、もしくは法務・税務・会計をはじめとする事業支援という点において、わたしたち金融に携わるものが民間のレベルで力を結集し、日本の経済成長の実現を目的として、何らかの形で支援ができないかと着目をし、新しいネットワーク構想が浮かびあがりました。
まずは、増田理事長と同金庫・地域経済振興部・執行役員・部長・秋元和夫氏(以下、秋元部長)のインタビューを通じ、シンクタンク機能の強化へ取り組まれた背景や経営哲学・地域経済振興部の具体的業務内容について紹介し、読者の皆様に理解を深めて頂いた後、最後に十勝野フロマージュ・赤部社長のインタビューを通じて、“チーズ・バンク構想”の紹介、そして、わたしたちから新しいネットワークの構想を提案します。
さて、わたしたちは、日本の成長と社会に付加価値を生み出す金融本来のあり方に注目しています。ここでいう、日本の成長とは日本の産業の成長を指します。また、社会に付加価値を生み出す金融本来のあり方とは、日本の成長の潤滑油、つまり産業に対する積極的な成長資本の供給です。
日本の地域には、世界に誇るものづくりの技術が多数存在しています。また元来、日本の成長を支えてきたのも地域の中小・零細企業です。そこに、日本の成長の鍵があるはずです。
「成長なきところに投資なし」
これが、わたしたちが地域金融に注目してきた理由です。
(この辺りの議論は弊社代表・森本紀行のコラム「成長資本という理念に基づいて日本の成長を実現する会」・「成長資本と地域金融」・「成長資本と地域の産業構造」をご参照ください)
さて、このような流れで今回は南から北へ。
北海道・帯広信用金庫(以下、帯広信金)が経営として取り組むシンクタンク機能の強化と創業支援融資について紹介したいと思います。シンクタンク機能とは、まさに地域の強みを徹底的に分析するということで、帯広信金では昨年4月に地域経済振興部という専門部署を発足させました。そして、創業支援融資とは、その名のとおり創業支援に対する資金の供給を行うことなのですが、弁済の裏づけが不確かなものですから、金融機関にはあまり馴染みのない仕組みだと思います。しかし、協同組織金融機関としての社会的役割を担う信用金庫では、地域の中小・零細企業の多様な資金需要を満たす必要性から、そのような仕組みが一般的に行われているようで、帯広信金においては、業界の中でも、極めて早い段階でこれに取り組まれてきました。
これに関連し、十勝野フロマージュという中札内村にあるチーズ工房への創業支援融資の事例について、わたしたちは、地域の産業連関を意識した資金提供の先駆的実例として注目し、今回取材をお願いすることになりました。
この事例は、技術・経験・目利き力を活かした帯広信金の大変素晴らしい仕事であると実感すると共に、十勝野フロマージュ・赤部紀夫社長(以下、赤部社長)のものづくりへの情熱と帯広信用金庫・増田正二理事長(以下、増田理事長)のアイディアである“チーズ・バンク構想”に触れ、これぞ、先程述べた日本の成長と社会に付加価値を生み出す金融本来のあり方における理想的なモデルとなることを確信しました。同時にこのような事例に対し、地域産品のグローバルな販路・流通拡大、もしくは法務・税務・会計をはじめとする事業支援という点において、わたしたち金融に携わるものが民間のレベルで力を結集し、日本の経済成長の実現を目的として、何らかの形で支援ができないかと着目をし、新しいネットワーク構想が浮かびあがりました。
まずは、増田理事長と同金庫・地域経済振興部・執行役員・部長・秋元和夫氏(以下、秋元部長)のインタビューを通じ、シンクタンク機能の強化へ取り組まれた背景や経営哲学・地域経済振興部の具体的業務内容について紹介し、読者の皆様に理解を深めて頂いた後、最後に十勝野フロマージュ・赤部社長のインタビューを通じて、“チーズ・バンク構想”の紹介、そして、わたしたちから新しいネットワークの構想を提案します。