リスクアペタイトフレームワーク(Risk Appetite Framework)

2017/08/10更新
事業目的の遂行のために、積極的にリスクを求めるアペタイト、即ち、食欲を感じる、食指を動かす、欲求するというリスク志向性を核としたリスクテイク戦略のこと。アペタイトの対象として戦略的リスクテイクするものは、①ネット事業キャッシュフローの変動制をもたらす不確実性、即ち、投資価値の変動性、特に、価値の毀損の可能性、②事業性評価の対象、積極的関係性構築(エンゲイジメント)によるディリスクと共通価値へ向けたリスクシェア③事業の社会的必需性、産業連関的構造化。アペタイトの対象ではないが付随してくるリスクを制御(マネッジ、コントロール)するものは、①戦略的リスクテイクに不可避に付随するリスクであって、意図せざるもの、不要なものとして、制御され、最小化されるべきもの②ガバナンスのリスク等、個別的に、積極的関係性構築(エンゲイジメント)によって制御されるもの③価格変動リスク等、全体的(総合的)に、分散や資本引当によって制御されるもの。決してアペタイトの対象にしてはいけない非本源的リスクについては、①金融機関の社会的機能からの逸脱を回避すること②顧客の利益と矛盾する金融機関の追及を絶対に阻止すること③リスクカルチャー、組織文化、経営哲学の地平である。

2016/06/27更新
金融庁は、2015年9月の「金融行政方針」で、リスクアペタイトフレームワークには、注を付して、「自社のビジネスモデルの個別性を踏まえたうえで、事業計画達成のために進んで受け入れるべきリスクの種類と総量を「リスクアペタイト」として表現し、これを資本配分や収益最大化を含むリスクテイク方針全般に関する社内の共通言語として用いる経営管理の枠組み」としている。新しい「動的な監督」のもとでは、顧客との共通価値の創造という実質面(フレームワークの中身の充実)に、より大きな比重が置かれ、その実現のためのリスクの取り方や、取ったリスクに見合う経営資源の投入のあり方などについて、建設的な議論がなされていくと思われる。

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