ナンピン

2017/08/09更新
投資したものの価格が下落した場合、低い値段で買い増せば、平均取得コストが下がるので、価格反転のときに、利益化するのが早くなるというものだが、多数の投資可能な対象の存在を前提とする場合、一定期間の市場全体の変動を経て、他の銘柄の価格も動いているので、その全体の中で魅力度を評価しなくてはならない。プロの世界でも、このような原則に反し、減損回避目的で、ナンピンが行われることがあるが、三つの問題がある。第一に、率としての損失が小さくなっても、実金額としての損失は小さくなるとは限らず、第二に、特定の銘柄の保有額が大きくなり、リスクの集中がおきること。第三に、明らかに銘柄選択の本来あるべき合理性が損なわれてしまうこと。特に、第三の点が重要である。一方で、会計上の損益を度外視した運用が、社会的に成り立ち得ないことも事実であるが、会計上の損益管理が目的化してはならない。

2016/07/07更新
投資したものの価格が下落した場合、低い値段で買い増せば、平均取得コストが下がるので、価格反転のときに、利益化するのが早くなるというもの。減損回避を目的としてプロの世界でも行われることがあり、そこには考えさせられる問題を含んでいる。特別な投資価値を見出せない銘柄に対して、会計的損益を考慮したナンピンを行うことは、本来の投資の合理性・効率性の視点からは認め難いものがある一方で、会計上の損益を度外視した運用が、社会的に成り立ち得ないことも当然であり、いかに折り合いをつけるのかは難しい問題であるが、会計上の制約の中で、資産運用の目的を貫くことと、いつの間にか、資産運用という名の下で、会計上の損益管理が目的化することとは、全く異なることである

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