プロシクリカリティ(Procyclicality)

2017/08/09更新
下がると更に余計に下がり、上がると更に余計に上がるような事態をいう。市場原理では、価格が下がると、需要が増えて買いが入るから、価格は反転するという均衡回復力を前提にしているが、プロシクリカリティは不均衡の累積過程であるから、市場機能の不全を意味する。世界的にほぼ統一されている金融機関の資本規制の仕組みは、資本市場における累積的かつ急激な価格崩壊をもたらす可能性を高めており、2008年の金融危機の重要な要因となったのである。金融だけでなく、実体経済においても、プロシクリカリティは大問題である。各企業、各金融機関が、個別に正しく振る舞うと全体の帰結が必ずしも正しくなくなるというのは、実に悩ましい問題であり、この危機への対策は、政府の関与以外は考えられない。市場あるいは経済活動が機能不全のときだけ介入する。それが政府の機能である。

2016/07/19更新
金融商品価格の下落による評価損の発生が、それらを保有している金融機関の資本の控除項目になってしまうので、資本規制上保有できるリスク資産が減少して金融商品の売却が加速し、それが更なる価格下落につながる累積的な連鎖のようなもの。整備された自由市場の中で、各企業、各金融機関が正しく経営され、正しく行動する結果として、その集積的効果が非常に大きな損失を生む、即ち少しも正しくない効果を生む、というのは、皮肉というか、解き得ない難問であり、プロシクリカリティを、逆方向へ転換するためには、政府の積極的な機能が必要とされる

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