貸さぬも親切
2017/01/19更新かつて、城南信用金庫の理事長を務め、全国の信用金庫の発展に大きな功績のあった小原鐵五郎の名言である。これは、顧客からの融資の申し入れに対して、その顧客の真の利益を考えたとき、資金使途等からみて、貸さないほうが顧客に対して親切である場合があることを言っている。
これは、今の金融庁の森長官の理念に通じるものである。小原鐵五郎のいう親切について、顧客の真の利益の立場にたつという意味で、同様の理念を表明している。それは、単なる「顧客本位の業務運営」ではなくて、「顧客本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」という表現で、明示的に行政方針に記載されているのをみてもわかる。フィデューシャリー・デューティーというのは、専らに顧客の真の利益のためにという意味であって、それを徹底していけば、顧客の真の利益に反すると思われるときには、顧客の求めに応じない場合も出てくるし、逆に顧客が求めていないものでも、それが、顧客の知識不足や、思い違いに起因するのであれば、適切な説明によって顧客の真の利益に気付かせることも必要になるということである。