ソフト・ロー(Soft Law)

2017/03/09更新
ソフト・ローとは、法令上の根拠に基づくルールではなく、自己のプリンシプル、即ち経営原則として、自律的に定めるもので、コンプライ、即ち受け容れて準拠するか、あるいは、エクスプレイン、即ち受け容れないで、その理由を説明するか、その選択は自律的な経営判断に委ねられる。2014年の「日本版スチュワードシップ・コード」や、2015年の「コーポレートガバンス・コード」が代表例である。加えて2017年には、金融庁は「顧客本位の業務運営に関する原則」というソフト・ローを策定している。ここでは、各金融機関の自律的な経営原則のもとでの切磋琢磨を通じて、顧客の選択に基づき、良い金融機関は伸び、そうでない金融機関は淘汰されるという市場原理が新たに導入されている。市場原理が働くには、「見える化」、即ち、情報の対称性が必要である。「見える化」のもとで、顧客に見えてしまう経営指標について、切磋琢磨によって改善する努力が促され、その努力のなかでは「見える化」の水準自体を高度化していく競争も生まれる。そのようにして、「見える化」は相乗的に急速に金融機関の質を高めていくことで、真の顧客本位を貫徹していくと考えられる。

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