安全神話

2017/08/03更新
最低限の基準に安住することであり、最善が固定して動かないとの錯覚、あるいは慢心に陥ること。真の安全は、最低限の基準によってではなく、常に最善を目指して基準を引き上げていくことを指導する理念によってしか実現できない。絶対確実な安全は存在し得ないのであって、安全基準とは、技術的制約と経済的制約のもとでの相対的な合理的妥当性を有するものとして、策定されるにすぎないので、安全基準を最低限の要件にして安住することは許されない。これは、金融機関についていうならば、金融庁が熱心に説いてきたことにほかならない。金融機関は、ミニマムスタンダードとしての法令遵守にとどまることなく、顧客本位の徹底と、その結果として生まれる顧客との共通価値の創造を指導理念に掲げ、プリンシプル、即ち行動原則を確立し、そのもとで、ベストプラクティス、即ち顧客の利益の視点での最善を追求することにより、金融機関としての企業価値の増大につとめるべきである。

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