エンダウメント・モデル(Endowment Model)
2017/11/16更新アメリカの大学等の財団は寄付金等を原資にして設立された基金であり、英語でエンダウメントと呼ぶが、この財団における投資のガバナンス構造のこと。投資は、いかに合理性を追求したところで、不確実な未来に対する賭けの要素を払拭することはできない。投資のガバナンスの最大の難問は、運用担当者の判断責任が問われる限り、責任回避に走り投資の付加価値の積極的な追求は放棄される傾向があり、運用者の責任が問われないなら、組織として運用を任し得ないというところにある。この難問に対して、エンダウメント・モデルは、付加価値追求の責任を明確にしたものである。ここでは、一般的形態として、資産配分を統括する最高責任者を頂点にし、資産ごとに戦略配分を担当する複数の責任者がいて、その戦略を実現するのに一番相応しい投資運用業者の選任を行うというように、責任の委譲関係が明瞭である。これらの運用担当者は、身分的には財団の職員であっても、意識としては独立した投資のプロフェッショナルとして生きている人であって、成果が伴わなければ職を失うのが前提となっている。専門家だから責任を負う、責任を負うから成果につながるという好循環を実現できる可能性がある。ところが、このモデルを実現するには、人材確保という極めて困難な課題があり、そのために運営経費が著しく嵩むという問題がある。