社外取締役
2018/01/25更新企業の業務執行に関与しない取締役のことで、独立した有識者や経営者などから選任される。企業のガバナンス改革で重要な役割を演じるとされている。企業内部の業務執行の生きた動態については、社外取締役は外部の素人なので、真に理解することはできないが、逆に、外部者だからこそ、企業固有の文化に染まることなく、中立的な常識人として、偏らない判断ができる。企業の経営上の業務執行は内部の専門家である経営者に委ねられるのだが、このマネジメントの玄人に対して、社外取締役は、マネジメントの素人として、素人であるが故に常識的な見地からする牽制機能を果たすのである。社外取締役の機能は、いわば素人のガバナンスである。素人のガバナンスにおいては、業務執行部門の専門家の知見の尊重を前提として、牽制機能を適正に果たすため、少なくとも三つのことが期待されている。即ち、第一は、手続きの瑕疵の有無を判断すること、第二は、執行部門が策定した計画の論理的整合性と妥当性を、幅広く、また、高い視点から、総合的に再評価すること、第三は、専門家である執行部門は素人に説明するために説明方法や資料に工夫する義務が生じることで、経営の透明性を高めることである。素人のガバナンスは玄人のマネジメントの専門的知見を尊重し、玄人のマネジメントは素人のガバナンスの常識感覚、規範意識、他領域での経験等を尊重する、その相互尊重が優れた企業経営につながるのである。