金融の市場化
2018/05/23更新金融の市場化とは、国民貯蓄の流れを抜本的に変えて、間接金融から直接金融へ主軸を移すことである。現在の日本のような貯蓄過剰となった成熟経済のもとでは、金融の課題は、産業界に対して蓄積資本の効率的な稼働を強く促すこと、別のいい方をすればガバナンス改革を強く促すことである。預金の信用構造に基づく銀行融資のなかで、そのような構造改革を促す力の発現を期待することはできないが、金融の舞台を資本市場に移し、企業は、社債や株式等の発行、あるいは資産の売却による資金調達を行うことになれば、企業の生命線である資金調達は競争原理にさらされ、ガバナンスすなわち資金調達力となるので、構造改革が自動的に強制される。こうした金融の市場化に伴って、個人貯蓄は預金から流出し、直接に、あるいは、投資信託等を経由して、企業の発行する社債や株式等または企業が売却した不動産・動産・金融債権等を金融商品化したものに投資されることになる。こうすることで、信用創造はなくなり、現状にみられるような資産と負債の非効率な両建ての膨張は一気に縮小し、企業の保有資産の稼働は劇的に向上しその発行する株式の価値も上昇していくわけである。