運用損益別顧客比率

2018/08/22更新
金融庁が2018年6月29日に公表した「投資信託の販売会社における比較可能な共通KPIについて」のなかで定義した3つのKPI(Key Performance Indicator)のうちのひとつ。金融庁の定義は、「基準日時点の保有投資信託に係る購入時以降の累積の運用損益(手数料控除後)を算出し、運用損益別に顧客比率を示した指標」となっている。運用損益は、簡単な例でいえば、保有している投資信託の基準価格が基準日において10%上昇していて、期中の分配金がなければ、10%となるものである。この運用損益を全ての顧客について計算して、運用損益別に比率を求めたものが「運用損益別顧客比率」である。金融庁の資料には、2018年3月末を基準日とした29行の銀行の実際の値が掲載されていて、46%の顧客の運用損益がマイナスとなっていたことから反響が大きかった。しかし、基準日までに全部売却している顧客は計算対象外となっていることなど、金融庁も認めるように、定義や算出方法には多くの難点があり、今後の改善が期待されるところである。いずれにしても、金融庁がいうように、こうした数値を金融機関が自主的に公開することは、顧客と金融機関との双方において、リターンへの関心を高める上で有意義なものである。

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