オブジェクトファイナンス

2018/09/19更新
通常の金融は企業に対するものだから、コーポレートファイナンス(corporate finance)と呼ばれる。それに対して、企業の資金調達目的、即ちオブジェクト(object)を対象とした金融がオブジェクトファイナンス(object finance)である。調達目的の代表は設備等の資産の取得であるが、その資産取得目的を独立させて、当該資産だけにかかわる資金供給を行うオブジェクトファイナンスは、アセットファイナンス(asset finance)と呼ばれ、また、設備の建設等の企図(プロジェクト project)を対象としたオブジェクトファイナンスは、プロジェクトファイナンス(project finance)と呼ばれる。広義には、リースもアセットファイナンスの一種である。
コーポレートファイナンスにおいては、調達資金の使途は企業の経営裁量に委ねられるから、そこにガバナンスのリスクを発生させるのに対して、オジェクトファイナンスにおいては、資金使途が強く拘束されているので、ガバナンスのリスクを回避できる。また、コーポレートファイナンスにおいては、企業全体の大きな弁済能力の裏付けを得られるのに対して、オジェクトファイナンスにおいては、特定資産や特定プロジェクトのリスクを直接に負担することになるが、リスクを狭く特定できる利点もあるし、企業の業況よっては、信用リスクの遮断効果が得られる点も重要である。LCCに対する航空機のオペレーティングリースなどは、明らかに信用リスクの遮断効果を狙ったものであろう。

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