Griffen様がお持ちの投資哲学と運用の特色についてお聞かせください。
私の投資哲学は2点あります。1:長期間にわたる投資テーマを見つけるために集中的に調査し、それらのアイデアをポートフォリオに最大限生かすことです。リスクを最小限に抑えるために、自身が熟知していない分野には投資しません。
2:投資アイデアの基礎は、主にファンダメンタル調査によって形成されます。私は次なる投資妙味のある分野を見出すことに多くの時間を使っています。企業の経営陣や業界のスペシャリストとの頻回の意見交換、インターネットでの調査も重要です。これらの調査により、業界や特定企業の将来の成長性を予測します。
十分に投資アイデアが蓄積された後、確信度の高いものをリスクとリターンの観点から検証し、ポートフォリオに組み入れます。
これらのプロセスに必要なシュミレーションツールは沢山揃っています。
最終的な結果は上げ相場であれ、下げ相場であれ、ポートフォリオのパフォーマンスに現れます。
グローバルに投資機会があるなかで、敢えて日本株のプロフェッショナルを目指された背景やきっかけについて教えてください。
サウスキャロライナ大学にてMBA取得後、この業界に入りました。MBAプログラムの一環として、日本で1年半学び日本語も話せるようになりました。
私がMBAを卒業した1986年は、ちょうど日本で資産運用業が解禁された年でもありましたので、自身のキャリアを日本で始めることは自然な流れでした。
1986年から現在に至るまで、多くの上げ相場・下げ相場がありましたが、私は今も日本株のアクティブ運用を続けています。
今注目している投資機会について教えて頂けますか。
日本企業が取り組んでいる多くの構造的傾向に注目しています。例えば、高齢化が進む中で医療の効率化が医療費抑制のために求められていますが、多くの医療関連の企業がこの効率化に取り組んでいます。
ゲームソフトは比較的安価な娯楽のため、不況の恩恵を受けるでしょうし、電気通信は固定回線はもちろんFTTH(Fiber To The Home)の拡張による成長が見込まれ、興味深い分野です。
今まで日本企業がグローバルに活躍していなかった食品や飲料分野で、グローバルに台頭していく可能性のある企業も多くなってきました。
環境保護への取り組みは、今やグローバルでの課題ですが、日本企業はこの分野に非常に強みがあります。
ネットブックは新興国での教育システムを効率化する可能性を秘めています。
これらの投資アイデアはまだ少しではありますが、現在のポートフォリオに反映させています。
運用の仕事に携わろうと思われたきっかけについてお聞かせください。
MBAでは国際金融学を専攻しましたので、投資ビジネスに身を投じることが当たり前のように思われました。その当時、日本語を話せる金融プロフェッショナルに対する求人は非常に多かったので、日本で仕事を始めるのが最適と思えました。
投資に関するお奨めの書籍を1冊ご紹介頂けますでしょうか。
資産運用を学びたいと思っている人には、チャールズ・マッケイ著「Extraordinary Popular Delusions and the Madness of Crowds」(邦訳:狂気とバブル―なぜ人は集団になると愚行に走るのか)をお勧めします。投資に関することのみが書かれた本ではないのですが、集団心理によって、人がいかに恐ろしく愚かなことをするかという歴史を紐解いています。
そのような一つの例がチューリップ・バブルです。
かつてオランダでその熱狂は、チューリップの球根を金よりも価値あるものにしてしまいました!
投資を成功に導くために重要なことの一つは、“群集がそれぞれの時点で何を考えているか”を理解することです。バブル発生の最初の段階からその頂点、さらに必然的な崩壊へと向かう過程で、人間の心理がどのように変化していくかについて、この本は貴重な教訓を教えてくれます。(この本は150年程前に書かれたものなので)私はこの本に数章を追加して、いつの日か最新版を作りたいと思っています。
主に業務に関する情報収集の為に、毎日チェックされている媒体(新聞・雑誌・webサイト等)を教えてください。
日経新聞ほか様々な日本の定期刊行物、フィナンシャル・タイムズを読んでいます。またブルームバーグ経由で東洋経済、AP通信、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナルなどを見ています。
インタビュー後記
世界の中の高齢化大国であり、アジアに最も近い先進経済圏である日本。日本の強さには大きなテーマがあり、世界の資金フローを如何に引き寄せていくか、が課題であり目標でしょうか。インタビューは以上になります。
リスク・手数料などの重要事項に関するご説明