Q1. 御社の投資哲学および投資プロセスについて教えてください。
運用プロセスで目指しているのは、非効率に価格形成されたインカム流列を特定することで、ハイイールド市場においてはあらゆる格付や残存の債券を対象としています。非効率を見分けるには、特有のリスクを正確に理解して、どの程度のインカムが延滞リスクに見合うのかを査定しなくてはなりません。運用哲学の中で、米国社債市場で長期的に優れた実績を出し続けるためのカギは、インカム収入を享受しつつ元本を保全することと謳っています。財務体質が改善している会社に注目して、個社の実態に基づく信用審査を実施するのです。債券に投資しているわけですから、収益の主たる源泉はインカムであって、債券価格の上昇ではないことを肝に銘じています。
こうした考え方は、ハイイールド債券の歴史をご覧いただければ違和感ないと思うのですが、実際にインカム収入と値上がり益との貢献を分析すれば、インカムが重要なことは言うまでもありません。
Q2. 足元のどこに投資機会を見出していらっしゃいますか。なぜ米国ハイイールド債券が良いのでしょうか?
米国ハイイールド債券市場の市場環境は安定しており、延滞率は低水準で推移すると見込まれています。私たちは、ハイイールド債券は既に既に適正な価格水準まで買い進まれていて、今後更なるスプレッドの縮小は難しいとみています。また、旺盛な投資家需要を背景に、ハイイールド債券の新規発行は活発であり、大半が流通市場を中心に売買が行われています。このような環境においては、買い手よりも売り手の方が有利に取引できるのです。投資家の多くは、米量的金融緩和の縮小による米国債利回りの上昇を心配していますが、これまでに米FRBから発表された内容や2014年中に発表されるであろう金融政策に係る方針は、既に市場は織込み済みでしょうから、比較的穏やかなものに留まるはずです。仮に国債利回りが急騰したとしても、ハイイールド債は投資適格債等の他の債券よりも対国債スプレッドが縮小する傾向がありますし、高いインカムがパフォーマンスを下支えするため、懸念するほど大きく収益は悪化しないでしょう。
また、米国ハイイールド債券は、リスクリターン対比で見ても魅力的な投資対象です。利回りは米国債の約2倍の5.2%であるにもかかわらず、デュレーションはその半分の3.6年にすぎません。
以上のことから、2014年のハイイールド債券の期待収益はここ数年のような二桁になることはないものの、魅力的なリスク調整後収益を期待できるでしょう。
Q3. 足元の市場環境で何が最大のリスクだと思いますか?
今日の米国ハイイールド債券市場における最大のリスクとしては、米FRBが債券購入額を縮小し将来の金融政策の方向性を明確化する中で、市場の混乱をきたすことがあった場合に、投資家心理が一時的に悪化し、売り優勢の相場となってしまうことです。Q4. 信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか?
ハイイールド市場において生じている非効率を特定することが、長期的に優れた運用成果を実現すると信じています。非効率を見分けるには、ボトムアップ重視の運用プロセスにより、特有のリスクを正確に理解して、どの程度のインカムが延滞リスクに見合うのかを吟味するわけです。Q5. お客様の資産を保全する最善策とは何でしょうか?
お客様の資産を保全するということは、長期的に優れた収益を獲得することです。ハイイールド債においては、インカム収入を享受しつつ元本を保全することがポイントですね。当ファンドは、トップダウンによるマクロ戦略とボトムアップによる個別銘柄分析を組み合わせることで、経済全体の動きを把握しながら、財務体質が改善傾向にある企業に注目し、個社の査定・評価・リスク管理に焦点をあてることで優良な企業を厳選します。ポートフォリオを構築する際は、流動性と収益性の両立を追求するために、バーベル型のデュレーション管理を意識しています。
この運用哲学の実現のために、トレーダー、アナリスト、ポートフォリオ・マネジャーおよびストラテジスト全員が意思決定に参画し、相互にサポートしあえる体制を整え、強固かつ規律ある再現性をもつ運用プロセスを構築しています。
Q6. 投資でおすすめの本はありますか?また、その理由をお聞かせください。
(1) Misunderstanding Financial Crisis, Why We Don’t See Them Coming by Gary B Gorton.金融システムの複雑さやマクロ経済モデルの欠点について、有益な見解がたくさん記されています 。
(2) Predictably Irrational, The Hidden Forces That Shape Our Decisions by Dan Ariely.
私たちが人生において意思決定する際に、「常に合理的な選択をしている」と考えがちですが、「本当にそうなの?」という示唆を与えてくれます。
(3) Fooled by Randomness, The Hidden Role of Chance in Life and in the Markets by Nassim Taleb.
「論理的に思考を重ねた結果と考えたものが、実は、確率的に無作為に決定された結果かもしれない」という可能性を提示していて、大変興味深いです。
Q7. 日時チェックしている情報は何がありますか?
米国金融市場に関するニュースは、The Wall Street Journal、The Financial Times、ブルームバーグニュース、ロイターなどの様々な情報ソースから日々チェックしています。より詳細な経済情報は、地区連銀のウェブサイトを閲覧しています。また、ZeroHedge.comは、通常とは異なる視点から数多くの興味深い意見や理論を提供してくれるのでお勧めですよ。インタビューは以上になります。
リスク・手数料などの重要事項に関するご説明