Q1. 貴社の投資哲学および投資プロセスについて教えてください。
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日本企業には、競争力のある商品やサービスを提供していますが、それが株式市場で十分に評価されていない企業や、新たな経営手法を導入することでさらに成長余地がある企業などがあります。我々は、投資先企業選定に際し、①経営者、②事業の競争力、③バリューアップ余地の3点を重視します。①経営者については、変革と進歩を厭わない、Growth Mind (成長・改革意欲)、Open(外部意見への開かれた姿勢)、Dicipline(公開企業として規律を持った経営スタンス)が経営者の判断基準となります。それぞれの頭文字をとって社内でGODな経営者かどうかについて、様々な角度から議論を行います。次に、②事業の競争力などを評価します。定量的な評価視点としては、ROIC(投下資本利益率)やROE(自己資本利益率)などを重視し、定性的な評価視点としては、市場支配力、ブランド力、研究開発力、生産性・事業効率改善への取り組み姿勢などを重視します。これらの定性面・定量面の評価によって、根源的な事業競争力を見極めます。③バリューアップ余地については、収益水準の改善などの事業価値そのものを向上できるかどうか、または、価値と価格のギャップを解消できるかどうかについて、どのような価値向上仮説をたてられるかどうかについて、徹底的な議論を行います。
これらの①経営者、②事業の競争力、③バリューアップ余地の判断を行うため、事前に「ディープリサーチ」(「広範囲かつ深いリサーチ活動」)に取り組みます。このリサーチには、それぞれのチームメンバーのノウハウやネットワークが大いに活かされています。具体的なリサーチ活動の一例としては、投資先企業担当者との電話取材、直接面談、施設見学等があり、またそれ以外にも同業企業、業界団体、調査機関、関連行政機関、顧客企業、セルサイドアナリスト、マスコミ等の周辺調査などがあります。
投資した後には、経営陣との深い議論を通じて、投資先企業との信頼関係を構築し、投資先企業の強みを加速させ中長期的な成長を促すと共に、企業の隠れた価値を実現させる事を目指したバリューアップ提案を行います。
Q2. 今どこに投資機会を見出していらっしゃいますか。なぜ日本株戦略の中でもバリューアップ手法に魅力があると考えていらっしゃいますか。
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次に日本の資本市場面の特性として、世界的に見ても、短期的・投機的な投資家が多いということが挙げられます。結果として、例えば短期的な悪いニュースが出ると、株価が一方向に大きく動き、本来の価値以上の大幅な下落をする傾向があります。こうした値動きに対して、我々のような中長期的な視点で投資を行う投資家が少ないので、大きな投資機会があります。
さらに、2014年2月に日本版スチュワードシップコードが導入されました。これは、日本の機関投資家に対して、投資先企業やその事業環境に関する深い理解に基づく建設的な「目的を持った対話」(エンゲージメント)などを行うことを求めるものです。日本の株式市場の在り方が大きく変わろうとしている今であるからこそ、こうしたエンゲージメントを通じて、企業価値向上や持続的成長を促すことにより中長期的な投資リターン拡大を図る余地は大きいと考えられます。我々は、あすかバリューアップ戦略を通じて、従来よりこうしたエンゲージメント活動を行ってきており、この分野においては一日の長があると考えています。
Q3. なぜこの業界で働こうと思われたのでしょうか。
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Q4. ポートフォリオ・マネジャーとしての信念をお聞かせください。常に心がけていること、あるいは、しないと決めていらっしゃることはありますか。
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また、完璧な人間などいない、完璧な企業研究はできないという信念のもと、合議の場では平等な立場で意見を戦わせていろいろな視点で投資先企業を考えたり、敢えて提案者に反対の立場に自分を置いて考えてみたり、と徹底的な集合知と孤独な決断の両立を行うことを心掛けています。また、一投資先のパフォーマンスへのインパクトが大きくなるので、銀行やPEでの経験を活かし、経営者の人物評価を重視したり、経営者以外の人材評価・経営者以外の人が経営者をどう見ているかを聞いたりして、会社のガバナンス・企業風土をよく見ています。
さらに、常に状況は変わる、ということも、信念として持っています。「行く川の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず」の例えではないですが、変化する企業・経営者・経営環境の中で、何が買いの根拠だったのか、その根拠は変化していないのか常に問うたり、常にポジションが全て現金だと考えなおし、現在の投資が最適なのかを問いかけたりしています。
Q5. 最近刷新された新チーム体制の特色をお聞かせください。
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また、AAMとACAで合わせて6名のメンバーがこの戦略に従事し、15-20社をカバーしているので、個々の投資先と深い関係を構築することができています。
インタビューは以上になります。
リスク・手数料などの重要事項に関するご説明