グロースパートナーズ株式会社
古川 徳厚氏インタビュー

interviewer:HCアセットマネジメント㈱
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Q1. 御社の投資哲学と追求されている収益源泉について、詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

 弊社は「ハンズオン支援型上場企業出資ファンド」と「ハンズオン支援型バイアウトファンド」の2本を運営しておりますが、基軸となる前者のファンドに関してご説明致します。
 投資哲学に関しては、10-20年などに渡る長い期間において対象企業の本質的価値が維持される企業かというのを第一の観点として考えております。具体的には対象企業の顧客が永続的にその対象企業の製品またはサービスに一定の競争優位性があり、選び続けるかという観点になります。
 収益源泉に関しては、上場企業なので時価総額の上昇が収益源泉となりますが、分解すると利益額上昇×PER上昇となります。

Q2. その収益源泉を実現するために、どのような投資プロセスを採用されているのか、ご教示いただけますでしょうか。

 各案件の投資期間は3~5年としておりますが、投資実行前に5か年の事業計画を策定し、想定の利益・PERより想定の時価総額を算出し、基準以上のリターンになることを確認した上で投資実行致します。
 投資実行後は、15-30名の中堅~トップまで1on1インタビューを実施し、対象企業の会議体にも複数参加した上で、課題・解決策を整理し、対象企業の方々とPJを複数立ち上げ、各PJごと利益改善目標を立てて推進して参ります。PERに関しては、企業の成長率が関係していると考えておりますが、対象企業によるM&Aの実行、海外展開、新規事業立上、外部企業との提携など、前述のPJによる推進により向上を目指して参ります。

Q3. ポートフォリオ・マネジャーとして最も重視されていることは何でしょうか。また、常に心がけていることや、逆にしないと決めていらっしゃることがあれば、ぜひお聞かせください。

Q3.	ポートフォリオ・マネジャーとして最も重視されていることは何でしょうか。また、常に心がけていることや、逆にしないと決めていらっしゃることがあれば、ぜひお聞かせください。
 毎年一定数の投資実行とEXITを実現することを最も重視しております。背景としては、上場企業の場合はマクロ要因によるマーケット全体の株価水準が一定の影響を個別企業の株価に及ぼすことと、部分的なEXITが実施しやすいため、リターンを中長期的な目線で安定化させることがあります。加えて、チームメンバーのモチベーションや成長機会の維持という観点で、毎年一定数の投資実行は大切と考えております。
 時価総額向上が収益源泉でありハンズオン支援型のファンドになるので、時価総額を向上していこうという思いがない対象企業への投資は実行しないと決めております。

Q4. 日本市場にはどのような投資機会があるとお考えでしょうか。

 中堅中小の上場企業は約4,000社ある上場企業の中でも約半分の2,000社が対象となる大きなマーケットと考えております。時価総額が小さいと成長のための資金調達が困難であったり、人材の層の薄さより経営改革が困難であることから外部企業による経営支援のニーズが大きいため、弊社のようなハンズオン支援型のファンドが貢献できる機会が大きいと考えております。

Q5. お客様の資産保全のためにどのような点に留意されているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

 投資のプロダクトとしては、新株予約権付転換社債、優先株式、新株予約権のような、万が一株価が上昇しない場合に対象企業より投資簿価で買戻しを頂ける商品設計での投資を原則とすることで、損失が出る案件が発生しない形での運用を心がけております。

Q6. 現在と10年前とでは、経営者の考え方や投資環境にどのような変化があったとお考えでしょうか。

 東証による市場区分の変更、コーポレートガバナンス改革、なども背景として、時価総額向上、投資家への説明の強化、などに前向きに取り組む経営者が増加していると考えておりまして、弊社のようなハンズオン支援型のファンドが貢献できる機会が大きいと考えております。

Q7. 日本企業の事業価値向上のために、企業が取り組むべきことや、金融業界としてどのような支援ができるとお考えでしょうか。

 事業価値向上にはより成長性・収益性を向上させる必要があると考えております。前者に関しては、人口の増加があまり期待できない国内市場で継続的な成長を見込むのは難しいため、M&A、海外展開、新規事業立上、などによる成長を追求する必要があると思います。後者に関しては、事業の選択と集中や、成果を創出した人材によりインセンティブを付与するなどの人事制度改革などに取り組むべきと考えております。
 金融業界としては、成長や構造改革に必要な資金の供給をより一層提供していく支援が大事と考えております。

Q8. 投資に関するおすすめの書籍を1冊ご紹介いただけますでしょうか。書籍の概要・感想・評価についてもご教示いただけますと幸いです。

Q8.	投資に関するおすすめの書籍を1冊ご紹介いただけますでしょうか。書籍の概要・感想・評価についてもご教示いただけますと幸いです。
企業変革力』(ジョン・P. コッター (著), John P. Kotter (原名), 梅津 祐良 (翻訳))
書籍の概要:企業変革を成功に導くリーダーシップには、強い意思とスキルが要求される。変革を推進する具体的な実証・実例に基づき、たどるべき8つのステップを提示、リーダーシップとリーダーの役割を論理的に明示する。
感想・評価:私が業務において最も参考にしている書籍になります。企業変革でたどるべき8つのステップが提示されており、私自身のこれまでの投資・ハンズオン支援先企業で変革に成功した企業は原則として本8ステップを辿っております。投資実行前の分析でもハンズオン支援中でも今どのステップにいるのか、どこのステップで躓いているのかを立ち止まって俯瞰的に分析し、実行に移すことで、企業変革の達成可能性を向上させてくれるフレームワークと考えております。






インタビューは以上になります。

企業プロフィール

名称:グロースパートナーズ株式会社
所在地:〒152-0035 東京都目黒区自由が丘 2-16-12 RJ3
設立:2022年7月
代表取締役:古川 徳厚
資本金:900万円
事業内容:投資・ハンズオン支援事業
サービスを提供するファンド:
(ア) GP上場企業出資投資事業有限責任組合(20億円)
(イ) GPバイアウトP投資事業有限責任組合(9億円)
(ウ) GPバイアウト投資事業有限責任組合(1億円)

戦略概要

「ハンズオン支援型上場企業出資ファンド」:小型~中堅の国内上場企業に対して、ダウンサイドプロテクトされた投資商品で上場を維持したまま投資を実行し、3-5年に渡るハンズオン経営支援により、業績・時価総額を拡大してリターンを実現する投資戦略



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