8/21開催 HC資産運用セミナーvol.008 セミナーレポート
HCセミナー
今回のセミナーでは、新しい資本市場の中で、どんな資産配分を考えていけばよいのか、という重要かつ本質的なテーマについて検討を行いました。
◆今回のセミナーのまとめ◆
6つのキーワードで、今回のセミナーの内容をまとめてみました。
◆事業価値とキャピタル・ストラクチャ
企業などの事業価値は、その事業が生み出す将来キャッシュフローの現在価値です。つまり、バランスシートの左側、即ち、資産サイドが持っている将来収益の生産力が、事業価値を規定します。バランスシートの右側、即ち、キャピタル・ストラクチャ(資本構成)は、事業価値からは、中立です。
◆リスクの配賦とキャピタル・ストラクチャにおける優先順位
通常、バランスシートの右側には、長短債務や資本など様々な科目が並びます。その構成をキャピタル・ストラクチャといい、キャピタル・ストラクチャ上の地位は、事業キャッシュフローを投資家に配分するときの優先順位を意味します。当然に、優先順位が高いほど低リスク・低リターンとなって、優先順位が低いほど高リスク・高リターンとなります。
◆資産種類とキャピタル・ストラクチャ
資産種類とは、キャピタル・ストラクチャ上の地位の別名です。代表的なものが、キャピタル・ストラクチャの最下位にある「株式」、最上位にある「融資(債権)」、その中間にある「社債」です。しかし、今日では、キャピタル・ストラクチャを、相当程度、自由に切ることができますので、それだけ、資産の種類も多様になっています。しかも、資産サイドも、アセット・ファイナンス(流動化等の資産を使った資金調達)の発展に伴って分割が進んでいて、そのアセット・ファイナンスの仕組みにも多様なキャピタル・ストラクチャを導入するので、資産種類の多様化は、ほとんど無限といってもいいほどに進行しているのです。
◆銘柄選択とキャピタル・ストラクチャ選択
キャピタル・ストラクチャが多様になれば、銘柄選択と同時に、キャピタル・ストラクチャのどこに投資するのかという判断が重要になります。そもそも、株式、社債というように資産選択を先に決めて、株式や社債の銘柄選択をするという伝統的な方法自体を見直す必要があります。銘柄選択(事業価値の選択)が先にあって、そのキャピタル・ストラクチャのどこに投資するのかという判断は、後に来るのが自然かもしれません。
◆財務ストレスと期間の利益
本来、キャピタル・ストラクチャは、事業価値に影響を与えません。しかし、債務には利払いと元本償還の期限があります。債務を履行できないときは、債務者は期間の利益を失ってしまいます。つまり、債権者は、抵当権等を行使して、即時に回収できることになります。こうなると、継続(ゴーイング・コンサーン)を前提とした事業価値は、一気に清算価値に変わってしまいます。債務比率の高いキャピタル・ストラクチャは、債務不履行(および、その可能性)に伴う事業価値への影響がある点に注意が必要です。
◆資本市場仮説再考
資本市場が全体として効率的だとしても、それは、全キャピタル・ストラクチャの集積が効率的ということではないでしょうか。必ずしも、株式というようなストラクチャの一部において、効率性が実現しているとは限らないのではないでしょうか。今日の多様化した資本市場の下においては、伝統的な資産配分の考え方や、インデクス運用について、本質的な見直しが、必要なのだと思います。
◆事業価値とキャピタル・ストラクチャ
企業などの事業価値は、その事業が生み出す将来キャッシュフローの現在価値です。つまり、バランスシートの左側、即ち、資産サイドが持っている将来収益の生産力が、事業価値を規定します。バランスシートの右側、即ち、キャピタル・ストラクチャ(資本構成)は、事業価値からは、中立です。
◆リスクの配賦とキャピタル・ストラクチャにおける優先順位
通常、バランスシートの右側には、長短債務や資本など様々な科目が並びます。その構成をキャピタル・ストラクチャといい、キャピタル・ストラクチャ上の地位は、事業キャッシュフローを投資家に配分するときの優先順位を意味します。当然に、優先順位が高いほど低リスク・低リターンとなって、優先順位が低いほど高リスク・高リターンとなります。
◆資産種類とキャピタル・ストラクチャ
資産種類とは、キャピタル・ストラクチャ上の地位の別名です。代表的なものが、キャピタル・ストラクチャの最下位にある「株式」、最上位にある「融資(債権)」、その中間にある「社債」です。しかし、今日では、キャピタル・ストラクチャを、相当程度、自由に切ることができますので、それだけ、資産の種類も多様になっています。しかも、資産サイドも、アセット・ファイナンス(流動化等の資産を使った資金調達)の発展に伴って分割が進んでいて、そのアセット・ファイナンスの仕組みにも多様なキャピタル・ストラクチャを導入するので、資産種類の多様化は、ほとんど無限といってもいいほどに進行しているのです。
◆銘柄選択とキャピタル・ストラクチャ選択
キャピタル・ストラクチャが多様になれば、銘柄選択と同時に、キャピタル・ストラクチャのどこに投資するのかという判断が重要になります。そもそも、株式、社債というように資産選択を先に決めて、株式や社債の銘柄選択をするという伝統的な方法自体を見直す必要があります。銘柄選択(事業価値の選択)が先にあって、そのキャピタル・ストラクチャのどこに投資するのかという判断は、後に来るのが自然かもしれません。
◆財務ストレスと期間の利益
本来、キャピタル・ストラクチャは、事業価値に影響を与えません。しかし、債務には利払いと元本償還の期限があります。債務を履行できないときは、債務者は期間の利益を失ってしまいます。つまり、債権者は、抵当権等を行使して、即時に回収できることになります。こうなると、継続(ゴーイング・コンサーン)を前提とした事業価値は、一気に清算価値に変わってしまいます。債務比率の高いキャピタル・ストラクチャは、債務不履行(および、その可能性)に伴う事業価値への影響がある点に注意が必要です。
◆資本市場仮説再考
資本市場が全体として効率的だとしても、それは、全キャピタル・ストラクチャの集積が効率的ということではないでしょうか。必ずしも、株式というようなストラクチャの一部において、効率性が実現しているとは限らないのではないでしょうか。今日の多様化した資本市場の下においては、伝統的な資産配分の考え方や、インデクス運用について、本質的な見直しが、必要なのだと思います。
◆アンケートのご紹介◆ ?アンケートの一部を抜粋して、ご紹介致します。?
Q: 今回のセミナーに参加された動機をお聞かせ下さい。
A1: 投資領域の構造をレビューしたかった為。
A2: 弊社の見ている資産とテーマが近い為、興味を持った。
Q: 今後お聞きになりたいテーマがございましたらお聞かせ下さい。
A1: ディストレスト投資について、テーマを絞って話して頂けたらと思います。
A2: ヘッジファンドに投資することの有用性
(市場が効率的になるなかで、高いフィーを払ってまで投資する意味があるのか?)
Q: 本セミナー全体について何かご意見がございましたらお聞かせ下さい。
A: 大変興味深く拝聴させて頂きました。特に、現在の金融市場で起きている事象に対してマクロ的かつ、批判的視点で発せられるコメントは大変勉強になりました。
A1: 投資領域の構造をレビューしたかった為。
A2: 弊社の見ている資産とテーマが近い為、興味を持った。
Q: 今後お聞きになりたいテーマがございましたらお聞かせ下さい。
A1: ディストレスト投資について、テーマを絞って話して頂けたらと思います。
A2: ヘッジファンドに投資することの有用性
(市場が効率的になるなかで、高いフィーを払ってまで投資する意味があるのか?)
Q: 本セミナー全体について何かご意見がございましたらお聞かせ下さい。
A: 大変興味深く拝聴させて頂きました。特に、現在の金融市場で起きている事象に対してマクロ的かつ、批判的視点で発せられるコメントは大変勉強になりました。
今回のセミナーには、年金基金から21名・金融法人から7名・その他6名の計34名の方々にご参加頂きました。
次回、第9回HC資産運用セミナー「日本の年金資産運用の歴史?過去20年の変革と未来への展望?」は、 9月18日(木)です。
是非とも皆様のご参加をお待ちしております!
※当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。
是非とも皆様のご参加をお待ちしております!
※当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。
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