1/15開催 HC資産運用セミナーvol013 セミナーレポート

HCセミナー
今回のセミナーには、年金基金・金融法人の方々を中心に総勢45名の方々にご参加頂き、誠にありがとうございました。

◆セミナーのまとめ◆

今回は6つのキーワードで、セミナーの内容をまとめてみました。

◆企業の本源的価値
企業の価値は、企業が営む事業の本源的価値です。本源的価値は、一般的には、事業が将来的に創出するネットのキャッシュフローの現在価値です。もちろん、本源的価値は不確実な将来について、一定の仮定をおいて算出されるものですから、その企業の価値分析を行おうとする運用担当者の判断に依存することは当然です。ここに資産運用における第一のアクティブ判断があります。

◆株価と本源的価値
一株当たりの本源的価値と株価は、当然ですが、連動します。実際、非公開株の取引では、株価算定の基礎は、売手と買手が合意した本源的価値です。上場株式の場合は、不特定多数の投資家が自己の信じる本源的価値を基準にして売買することを通じて、市場の平均的な判断として形成されたものが株価です。

◆効率市場仮説と株価の妥当性
市場の効率性とは、株価が、常に、市場の平均的判断としての本源的価値を体現していることをいいます。もしも、常に市場が効率的ならば、「割安(バリュー)」や「割高」などということはありえず、株価は常に妥当である、即ち、市場が予測する本源的価値に一致していることになります。個別にはともかく、市場全体としては、アクティブ判断は付加価値を生み得ないことになります。これが、パッシブ運用の基礎になる考え方です。

◆「割安(バリュー)」な状況
仮に効率市場仮説を信じるとしても、「常に」株価が妥当であるかどうかは疑問です。市場理論は、無摩擦的かつ瞬間的な取引や、投資家の不特定多数性など、非現実的な仮定に基づくばかりでなく、経営者の行動による企業の事業構成の変動までは織り込み得ません。一定の時間の経過の中では理論の有効性は否定できませんが、一方で、短期的な需給要因や、予測できない経営行動によって、一時的に株価が本源的価値を下回る可能性も否定できません。この「一時的に株価が本源的価値を下回る」状況を、「割安(バリュー)」といいます。この割安状況の判断が、資産運用における第二のアクティブ判断です。

◆割安状況の解消への道筋(カタリスト)
割安状況は、一時的な状況ですから、いずれ本源的価値へ回帰しなければなりません。この回帰過程では、相対的に高いリターンを期待できるということが、アクティブ運用の基礎です。割安状況を作り出した要因に対する判断と、その状況が解消に向かうはずだという予測判断とは、対になったものです。この割安状況解消への道筋についての判断を「カタリスト」といい、これが、資産運用における第三のアクティブ判断となります。

◆経営への信頼
割安状況を作り出す最大の要因は、経営行動です。保有資産の非効率性、本業の収益性を損なう多角化やM&Aなどが、本来の事業価値を損なう場合です。この場合のカタリストは、改善へ向けた経営行動に帰着します。経営が正しく行動して、株価が本源的価値へ戻るという信頼がカタリストです。信頼が裏切られたときは、経営に対して積極的な行動に出ざるを得ない場合があります。これが、「アクティビズム」です。また、買収のターゲットになることも、カタリストになります。自律的改革のできない企業は、他律的改革としての買収のターゲットになり易いわけです。この経営への信頼に関する判断が、資産運用における第四のアクティブ判断になります。




次回、2009年 第2回HC資産運用セミナーは「投資対象としての「日本」の価値?グローバル資本市場における日本の位置と資産配分?です。皆様のご参加を是非ともお待ちしております!

なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関する意識調査」の結果に関しましては、?セミナーレポート【「バリュー(割安)」運用の真の意味】セミナーテーマにおける意識調査編?にて公表しています!!是非ともご覧下さい。


※当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。