Orbis世界株式戦略 公開マネジャ・ミーティング要旨

日時: 2月23日(月) 13時-14時30分
場所: HC 5階会議室
マネジャ: Craig Bodenstab, Head of Global Trading, Head of Institutional and HNW Clients
(トレーディング部門および機関投資家・富裕層顧客対応部門の統括責任者)
HC: 橋本、横山、前田、吉澤、柳井

[会社情報]
・ Orbisは南アフリカ出身のAllan Greyによって1989年に設立された世界株式特化の独立系運用会社。
・ Allan Greyは資産運用ビジネスを南アフリカに根付かせるためにハーバード大学へ留学してMBAを取得、その後Fidelityを経て1974年に南アフリカにAllan Grey Limitedを設立した。Orbisの運用哲学はAllan Grey社から引き継がれたものである。
・ 役職員は236名、投資プロフェッショナルは55名で、6カ国に拠点を構える。日本での拠点設立も将来の視野に入れている。
・ 顧客は財団・大学基金・年金が60-70%と中心で、30%は富裕層。2008年12月末現在運用総額は$14bn。役職員の自己資金も運用しており、どの顧客の資金よりも役職員による投資額のほうが大きい。
・ ここ数年顧客対応の限界からすべての戦略について新規投資家の受け入れを停止していたが、顧客担当や事務の体制を充実させ2008年10月に日本株式戦略のみをオープンした。他の戦略も体制の余裕をみて随時オープンしていく予定。

[世界株式戦略情報]
・ 世界株式ファンドは1990年から運用している。
・ 運用哲学は極めてシンプルで「本源的価値よりも安い株価で投資して、本源的価値に達した時点で売却する」というもの。ベンチマークや市場における平均予測値は一切気にしない。
・ リスクは資産が減少することであり、ベンチマークから乖離することではないとOrbisでは定義している。
・ 本源的価値からの下方乖離幅を”Margin of Safety”と呼んでおり、投資の際に最も重視する指標。我々の認識が正しければいつか株価はこの水準に戻るはずと考える。本源的価値とこの乖離幅を常にモニターし、より魅力的な投資機会があれば機動的に乗り換えていくこともある。また、乖離幅が縮小に向かうためのトリガーと乖離幅が拡大し続けるリスク要因となるものをあらかじめ想定し、常時モニターする。
・ 多くの市場参加者は株価3000円の企業に対して適正価格は3100円だの2900円だのと議論しているが、我々は適正価格6000円だという主張を平気で貫く。適正価格の算出にこれだけ差が出るのは、我々が事業の本源的価値を5年以上先の予想に基づいて算出する一方、多くの市場参加者はわずか四半期先しか見ていないからである。
・ PEが買収するときのような方法で企業の本源的価値を算定しており、業況が良いときだけもしくは悪いときだけの結果に基づいて判断しない。流動性のある上場株式に投資しているが、PEの投資手法に近いと考えている。
・ 日本の銘柄を多く保有しているが、日本には株主価値を軽視する経営者が多いためであり、良好なビジネスを行っている割に割安な銘柄が多くなっている。日本全体についてのマクロビューがあって、トップダウン的に配分しているわけではない。

[Q&A]
Q1:保険会社の場合、潜在価値(自己資本+危険準備金等)の本源的価値を測定するということだが、BSの特定項目だけを見ているのか?
A1:もちろんPLやキャッシュフロー計算書も見るし、その項目も使用する。少なくとも5年以上の収益・費用を差し戻して計算するため、現状のBSだけではなく、PLやキャッシュフロー計算書、その他の書類もすべて見た上で、妥当と思われる仮定を置いて将来の収益・費用を計算し、それを現在価値に割り戻したものが本源的価値となる。

Q2:セクターごとに異なる指標を用いてモニターすると思うが、それはどのように決定するのか。
A2:セクターごとに見る指標というのは、特に決めていない。個々の企業によって見るべきものは異なるため。当該企業を買収するとしたときに妥当な価格を多角的に判断する。

以上

留意事項
弊社の投資先、もしくは投資候補として注目度の高いマネジャに関する公開ミーティングを通じたご理解を今後の資産運用にお役立ていただくこと、および弊社へのご理解を深めていただくことによる投資一任契約の締結の勧誘を目的としており、特定の金融商品の募集・勧誘を行うものではありません。

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