Fortress本邦有担保ローン戦略 公開ミーティング要旨
日時: 6月15日(月) 15時-17時
場所: HC 5階会議室
マネジャ: 久保達哉氏(マネージング・ディレクター)
HC: 橋本、戸田、柳井
【会社情報】
・1998年設立のオルタナティブ運用会社。役職員800名超。運用総額$35bn(08年6月末現在)。
・プライベートエクイティ、ヘッジファンド合わせて31ファンド運用。主たる投資家は機関投資家、FoF、財団、個人富裕層。投資家の米国外比率22%
【本邦有担保ローン戦略情報】
・本邦有担保ローンは普段は市中に出てくることはなく、内外金融法人間の取引で完了していた。
・今回は、BIS規制の強化と共に、サブプライムを契機とした信用創造機能の低下、リーマンブラザーズの破綻、投資銀行の消滅を背景として、需給不均衡が拡大。証券化事業の実質消滅で、投資銀行が抱えたローンの在庫処理が加速し、有担保ローンの投資機会が一般投資家に回ってきた。かつて積極投資していたファンドは、米国に目が向いており、東京にまで来ていない。
・取得するローンは、元々都市銀行がバブル期前後に実施した事業会社ないしオーナー社長向け有担保ローン。一部、条件緩和等で、正常債権から要管理債権に区分変更されたものを、証券化事業全盛期に投資銀行が買い集めた。本戦略の最初の取得案件は、破綻した米国投資銀行の清算処理に際し取得した100億円のローン債権。遅滞無く元利弁済されている債権で想定利回り26.5%の水準で取得。
・主たる債権回収方法としては下記2通りを想定:
〔債権回収〕 条件緩和で担保割れしない水準まで元本減免。正常債権化し、金融機関の借り換えを促進する方法。
〔担保回収〕 担保の売却で資金を回収する方法。
・担保回収の場合、市中でニーズの高いレンジは数億円程度であることから、大口ローン債権は回避し、中小口ローン債権のみに投資対象を限定。
・当該案件以外の注目投資対象は、外資系の証券化事業撤退に伴う在庫整理。ディストレスト案件としては、今後大量償還を迎える本邦CMBSの投資機会をみている。
・投資妙味の高い案件を厳選し、IRR20%超で5-7年での回収を目標とする。
【Q&A】
Q1:担保でなくローン債権を回収する場合の想定事例を教えてください。
A1:例えば額面1億円のローンとすると、フォートレスの購入価格は1,700万円であり、不動産の担保価値が6,000万円ほどである。したがってそのローンをメガ・地銀・信金といった金融機関に5,000万円で売却しても、正常債権であるので金融機関は喜んで購入するし、フォートレスの投資としてもプラスのリターンで資金回収したことになる。また、取得価格に対するインカム利回りも勘案し考える。
Q2:誰かが損しているはずだが、大損は破綻した投資銀行で次は最初に購入した金融機関か。
A2:そうである。さらには投資銀行の債権者が最終的に損をしていることになろう。
Q3:投資期間決定の背景は。
A3:①証券化事業からの撤退処理が見込まれる。②また、ノンリコースローンの処理がこれから始まるはずであり、2011年の9月期決算ぐらいまではその処理によりマーケットの上値を抑えられよう。②更に今後CMBSの満期3.5兆円のリファイナンスが想定され、追い込まれた不動産会社から案件が安い値段で出てくるだろう。
Q4:CMBSの投資は破綻債権の回収戦略か。
A4:CMBSは処理に時間が取られるケースが多い。資金回収を何年も掛けてしようとは思っていないが、低価格であれば投資する価値はあると考えている。日本のCMBSは米国よりクオリティが高いといわれているが、現状は100から30まで下がっている。
Q5:ニューヨーク本社から案件を買えといわれれば割高であっても買うのか。
A5:何でも買うわけではなく、案件とタイミングを見ながら意思決定する。ただしニューヨークの見方はグローバルな基準で動いているところが強みである。
Q6:日系の金融機関は同様な投資をしているのか。
A6:極めて少数の銀行ぐらいである。他の日本の金融機関はノンリコースローンの処理で忙しい。
Q7: かつて銀行の不良債権処理は相対取引が多かったが。
A7:入札といっても参加者は1-2社であり、相対取引のような状況である。競合他社は10年間でほぼ消えた。他社は過去の投資の問題にかかりきりである。
Q8: 米国投資銀行案件の債権の回収期間は。
A8:ファンド投資期間との兼ね合いもあるが、平均2-4年であろう。
Q9:担保は不動産のみか。
A9:現在の環境下では不動産担保付貸出債権が安全でよい。
Q10:米国投資銀行案件のインカム収益の内訳は。
A10:キャッシュフローの74%が利息で、残部が元金である。
Q11:600件の物件のモニターはどうするのか。
A11:サービサーと組んでいる。ただし重要な決定はフォートレスが行う。
Q12:購入後のリスクは、不動産価値の想定以上の下落か。
A12:そうである。例えば関東大震災が発生するなどすればリスクは顕在化しよう。
Q13:もともとローン実行時での担保価値はあったのか。
A13:ローンのオリジナルは不動産バブルの80-90年代であり、担保価値は融資額を上回っていた。ただし中には90年代後半の物件もある。
Q14:ローンの金利は変動か。
A14:固定もあるし変動もある。
Q15:不動産価格の見積もり時期は。
A15:最終の見積もりは2月末である。明日売れる価格ということで、不動産会社にヒアリングして決定した。賃料・家賃についてもストレスを掛けて算定している。
Q16:銀行の強制売却は今後も続くのか。
A16:将来は読みづらいが、ファンドの投資は今後1.5-2年程度を想定。100円のものが20円程度で買える環境が1-2年続いてもおかしくない。
Q17:不動産の値段をつけるときの基準は?
A17:現在のCAPレートが5%なのであれば、少なくとも7%程度で割り引いて算定している。
以上
留意事項
弊社の投資先、もしくは投資候補として注目度の高いマネジャに関する公開ミーティングを通じたご理解を今後の資産運用にお役立ていただくこと、および弊社へのご理解を深めていただくことによる投資一任契約の締結の勧誘を目的としており、特定の金融商品の募集・勧誘を行うものではありません。
場所: HC 5階会議室
マネジャ: 久保達哉氏(マネージング・ディレクター)
HC: 橋本、戸田、柳井
【会社情報】
・1998年設立のオルタナティブ運用会社。役職員800名超。運用総額$35bn(08年6月末現在)。
・プライベートエクイティ、ヘッジファンド合わせて31ファンド運用。主たる投資家は機関投資家、FoF、財団、個人富裕層。投資家の米国外比率22%
【本邦有担保ローン戦略情報】
・本邦有担保ローンは普段は市中に出てくることはなく、内外金融法人間の取引で完了していた。
・今回は、BIS規制の強化と共に、サブプライムを契機とした信用創造機能の低下、リーマンブラザーズの破綻、投資銀行の消滅を背景として、需給不均衡が拡大。証券化事業の実質消滅で、投資銀行が抱えたローンの在庫処理が加速し、有担保ローンの投資機会が一般投資家に回ってきた。かつて積極投資していたファンドは、米国に目が向いており、東京にまで来ていない。
・取得するローンは、元々都市銀行がバブル期前後に実施した事業会社ないしオーナー社長向け有担保ローン。一部、条件緩和等で、正常債権から要管理債権に区分変更されたものを、証券化事業全盛期に投資銀行が買い集めた。本戦略の最初の取得案件は、破綻した米国投資銀行の清算処理に際し取得した100億円のローン債権。遅滞無く元利弁済されている債権で想定利回り26.5%の水準で取得。
・主たる債権回収方法としては下記2通りを想定:
〔債権回収〕 条件緩和で担保割れしない水準まで元本減免。正常債権化し、金融機関の借り換えを促進する方法。
〔担保回収〕 担保の売却で資金を回収する方法。
・担保回収の場合、市中でニーズの高いレンジは数億円程度であることから、大口ローン債権は回避し、中小口ローン債権のみに投資対象を限定。
・当該案件以外の注目投資対象は、外資系の証券化事業撤退に伴う在庫整理。ディストレスト案件としては、今後大量償還を迎える本邦CMBSの投資機会をみている。
・投資妙味の高い案件を厳選し、IRR20%超で5-7年での回収を目標とする。
【Q&A】
Q1:担保でなくローン債権を回収する場合の想定事例を教えてください。
A1:例えば額面1億円のローンとすると、フォートレスの購入価格は1,700万円であり、不動産の担保価値が6,000万円ほどである。したがってそのローンをメガ・地銀・信金といった金融機関に5,000万円で売却しても、正常債権であるので金融機関は喜んで購入するし、フォートレスの投資としてもプラスのリターンで資金回収したことになる。また、取得価格に対するインカム利回りも勘案し考える。
Q2:誰かが損しているはずだが、大損は破綻した投資銀行で次は最初に購入した金融機関か。
A2:そうである。さらには投資銀行の債権者が最終的に損をしていることになろう。
Q3:投資期間決定の背景は。
A3:①証券化事業からの撤退処理が見込まれる。②また、ノンリコースローンの処理がこれから始まるはずであり、2011年の9月期決算ぐらいまではその処理によりマーケットの上値を抑えられよう。②更に今後CMBSの満期3.5兆円のリファイナンスが想定され、追い込まれた不動産会社から案件が安い値段で出てくるだろう。
Q4:CMBSの投資は破綻債権の回収戦略か。
A4:CMBSは処理に時間が取られるケースが多い。資金回収を何年も掛けてしようとは思っていないが、低価格であれば投資する価値はあると考えている。日本のCMBSは米国よりクオリティが高いといわれているが、現状は100から30まで下がっている。
Q5:ニューヨーク本社から案件を買えといわれれば割高であっても買うのか。
A5:何でも買うわけではなく、案件とタイミングを見ながら意思決定する。ただしニューヨークの見方はグローバルな基準で動いているところが強みである。
Q6:日系の金融機関は同様な投資をしているのか。
A6:極めて少数の銀行ぐらいである。他の日本の金融機関はノンリコースローンの処理で忙しい。
Q7: かつて銀行の不良債権処理は相対取引が多かったが。
A7:入札といっても参加者は1-2社であり、相対取引のような状況である。競合他社は10年間でほぼ消えた。他社は過去の投資の問題にかかりきりである。
Q8: 米国投資銀行案件の債権の回収期間は。
A8:ファンド投資期間との兼ね合いもあるが、平均2-4年であろう。
Q9:担保は不動産のみか。
A9:現在の環境下では不動産担保付貸出債権が安全でよい。
Q10:米国投資銀行案件のインカム収益の内訳は。
A10:キャッシュフローの74%が利息で、残部が元金である。
Q11:600件の物件のモニターはどうするのか。
A11:サービサーと組んでいる。ただし重要な決定はフォートレスが行う。
Q12:購入後のリスクは、不動産価値の想定以上の下落か。
A12:そうである。例えば関東大震災が発生するなどすればリスクは顕在化しよう。
Q13:もともとローン実行時での担保価値はあったのか。
A13:ローンのオリジナルは不動産バブルの80-90年代であり、担保価値は融資額を上回っていた。ただし中には90年代後半の物件もある。
Q14:ローンの金利は変動か。
A14:固定もあるし変動もある。
Q15:不動産価格の見積もり時期は。
A15:最終の見積もりは2月末である。明日売れる価格ということで、不動産会社にヒアリングして決定した。賃料・家賃についてもストレスを掛けて算定している。
Q16:銀行の強制売却は今後も続くのか。
A16:将来は読みづらいが、ファンドの投資は今後1.5-2年程度を想定。100円のものが20円程度で買える環境が1-2年続いてもおかしくない。
Q17:不動産の値段をつけるときの基準は?
A17:現在のCAPレートが5%なのであれば、少なくとも7%程度で割り引いて算定している。
以上
留意事項
弊社の投資先、もしくは投資候補として注目度の高いマネジャに関する公開ミーティングを通じたご理解を今後の資産運用にお役立ていただくこと、および弊社へのご理解を深めていただくことによる投資一任契約の締結の勧誘を目的としており、特定の金融商品の募集・勧誘を行うものではありません。
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