First State エマージング株式戦略 公開ミーティング要旨
日時: 5 月19 日(火) 14:00-16:00
場所: HC 5 階会議室
マネジャ: Allan Nesbit 氏(Deputy Head)、小林肇氏(日本事業担当ジェネラルマネジャー)
HC: 柳井、横山、前田
1. 会社情報
・ First State は豪州Clonial First State Global Asset Management の豪州以外でのブランド。 Colonial FirstState はオーストラリア・コモンウェルス銀行の資産運用部門で100%子会社。
・ オフィスはエジンバラ、香港、ジャカルタ、ロンドン、シンガポールにあり、従業員は英国189名、アジア110 名。投資プロフェッショナルは69名。
・ 運用資産は215億ドル。(Colonial First State 全体では889億ドル。)
・ 運用資産のうち168億ドル(約8割)がエマージング・アジア株式運用。
・ 顧客は英国・大陸欧州で7割。他は中東・アジア・北米。機関投資家6割、個人投資家4割。
・ エマージング・アジア株式は小型株を含めたオールキャップ運用を行っていたが、2005年からハードクローズ。現在は大型株・中型株だけに投資するLeaders戦略が限定的にオープン。
2. チーム情報
・ チームの出身はエジンバラのStewart Ivory社で、1988年に入社してアジア株式戦略を立ち上げたAngusTulloch 氏が戦略の創始者。エマージング株式は1992年に運用開始。(2000年にColonial First State がStewart Ivory を買収。)
・ チームの中心はエジンバラで、香港・シンガポールにも拠点有り。
・ チームメンバーは19名で、ベテランから若手まで幅広く分散し、離職率は低い。担当地域はローテーションで変更する。自由に意見を言える空気を尊重。
・ シドニーの本社はチームの運用・採用に完全な自治権を与えている。運用資産のキャパシティもチームで決めている。
・ 賞与は3年間の運用成績が反映され、ボーナスプールのうち一部は寄付される。
3. 戦略情報
・ エマージング諸国の内需成長がテーマの長期運用戦略。内需に影響を及ぼす、人口分布・可処分所得の動き・中間層の拡大状況に注目している。
・ 質が高く成長力のあるフランチャイズ企業に3-5年で投資する。事業からのキャッシュフローで投資をまかなえることが重要で、生活必需品セクターのオーバーウェイトが特徴。
・ 絶対リターン志向で、インデックスは気にしない。リスクは「インデックスからの乖離」ではなく、「絶対値での下落」。市場下落時に強い特性がある。
・ エネルギーセクターや素材セクターはコモディティ価格高騰時に資金を浪費してしまう質の低い企業が多いため、あまり投資しない。また石油会社は政治の影響が強すぎる場合が多いため好まない。
・ スクリーニングで調査対象企業を1200-1500まで絞り、このうち1000程度は企業訪問する。「経営の質」「フランチャイズ力」「財務」を重視。
・ アイデア採用の最終決定はPM が決める。コンセンサス運用は行わない。
・ 新しい銘柄ははじめに0.5%組みいれ、投資機会や確信度の高まりによって2-4%まで配分を高める。通常5%が上限。
・ 銘柄数は50程度。
・ 売買回転率は50%。
質疑応答
Q1: 若手がチームにいることの魅力はなにか。
A1: ベテランが当たり前だと思って見落としがちなところに気づく柔軟な考え方を持っている。世代の分散だけでなく、国籍も分散されており、同様の効果がある。
Q2: 中間層が拡大している国における成功事例を教えて頂きたい。
A2: ブラジルでよい例がある。ブラジルはビールの消費が相当伸びており、ビールメーカーが大きく成長した。サンパウロだけで2100万人の人口を抱えるなど効率的な製造・配送システムが必要だった中で、その効率性はキャッシュリッチで非効率な経営に安住する欧米の会社を抜き去ることとなった。近年、その会社は米国やベルギーのビール会社を買収しており、その効率経営を持ち込んでいる。中間層の拡大が内需拡大をもたらした例であるだけでなく、今後のM&A には買い手にエマージング諸国が顔を見せてくるという点でも良い例である。
Q3: 調査担当国のローテーションはどれぐらいの頻度でやっているのか?
A3: 個人の成長度合いによって、担当期間は異なる。ただ、もともと担当しない国の銘柄調査への関わりは多い。例えば、ブラジルの鉄鉱石会社にとって中国の需要は大切なポイントであるため、中国担当とブラジル担当が共同で企業訪問を行ったりといったことである。
Q4: 半導体などのIT セクターは先進国への輸出が多いと思われ、エマージング諸国の内需成長テーマに合わないのでは?
A4: その通りだが、IT セクターは07年から株価が大きく下落していた。本来あるべき価値からみてあまりにも大きく下げたため、生き残りが確実な強い企業に限って投資をしている。
Q5: 今のポートフォリオは値上がり益追求と配当重視、どちらなのか?
A5: 結果としては今は配当重視のポートフォリオ。配当を出せるということは現金を生み出せるということである。調査の結果組入れた銘柄でポートの特性は変わる。
Q6: 為替のヘッジはするのか?エマージング通貨は時々大幅な通貨下落に見舞われるが、通貨の変動についてどう対応しているのか教えてほしい。
A6: 為替ヘッジはしない。ボトムアップ調査の企業分析に為替変動の影響も考慮されている。企業訪問により為替の影響について肌で感じ取れることは多い。
Q7: クライアントサービスについて教えてほしい。
A7: 日本人対応はシドニーから行っているが、エジンバラにも日本語のできる人材を置いており、運用の現場から直接サポートできる体制を敷いている。
以上
留意事項
弊社の投資先、もしくは投資候補として注目度の高いマネジャに関する公開ミーティングを通じたご理解を今後の資産運用にお役立ていただくこと、および弊社へのご理解を深めていただくことによる投資一任契約の締結の勧誘を目的としており、特定の金融商品の募集・勧誘を行うものではありません。
場所: HC 5 階会議室
マネジャ: Allan Nesbit 氏(Deputy Head)、小林肇氏(日本事業担当ジェネラルマネジャー)
HC: 柳井、横山、前田
1. 会社情報
・ First State は豪州Clonial First State Global Asset Management の豪州以外でのブランド。 Colonial FirstState はオーストラリア・コモンウェルス銀行の資産運用部門で100%子会社。
・ オフィスはエジンバラ、香港、ジャカルタ、ロンドン、シンガポールにあり、従業員は英国189名、アジア110 名。投資プロフェッショナルは69名。
・ 運用資産は215億ドル。(Colonial First State 全体では889億ドル。)
・ 運用資産のうち168億ドル(約8割)がエマージング・アジア株式運用。
・ 顧客は英国・大陸欧州で7割。他は中東・アジア・北米。機関投資家6割、個人投資家4割。
・ エマージング・アジア株式は小型株を含めたオールキャップ運用を行っていたが、2005年からハードクローズ。現在は大型株・中型株だけに投資するLeaders戦略が限定的にオープン。
2. チーム情報
・ チームの出身はエジンバラのStewart Ivory社で、1988年に入社してアジア株式戦略を立ち上げたAngusTulloch 氏が戦略の創始者。エマージング株式は1992年に運用開始。(2000年にColonial First State がStewart Ivory を買収。)
・ チームの中心はエジンバラで、香港・シンガポールにも拠点有り。
・ チームメンバーは19名で、ベテランから若手まで幅広く分散し、離職率は低い。担当地域はローテーションで変更する。自由に意見を言える空気を尊重。
・ シドニーの本社はチームの運用・採用に完全な自治権を与えている。運用資産のキャパシティもチームで決めている。
・ 賞与は3年間の運用成績が反映され、ボーナスプールのうち一部は寄付される。
3. 戦略情報
・ エマージング諸国の内需成長がテーマの長期運用戦略。内需に影響を及ぼす、人口分布・可処分所得の動き・中間層の拡大状況に注目している。
・ 質が高く成長力のあるフランチャイズ企業に3-5年で投資する。事業からのキャッシュフローで投資をまかなえることが重要で、生活必需品セクターのオーバーウェイトが特徴。
・ 絶対リターン志向で、インデックスは気にしない。リスクは「インデックスからの乖離」ではなく、「絶対値での下落」。市場下落時に強い特性がある。
・ エネルギーセクターや素材セクターはコモディティ価格高騰時に資金を浪費してしまう質の低い企業が多いため、あまり投資しない。また石油会社は政治の影響が強すぎる場合が多いため好まない。
・ スクリーニングで調査対象企業を1200-1500まで絞り、このうち1000程度は企業訪問する。「経営の質」「フランチャイズ力」「財務」を重視。
・ アイデア採用の最終決定はPM が決める。コンセンサス運用は行わない。
・ 新しい銘柄ははじめに0.5%組みいれ、投資機会や確信度の高まりによって2-4%まで配分を高める。通常5%が上限。
・ 銘柄数は50程度。
・ 売買回転率は50%。
質疑応答
Q1: 若手がチームにいることの魅力はなにか。
A1: ベテランが当たり前だと思って見落としがちなところに気づく柔軟な考え方を持っている。世代の分散だけでなく、国籍も分散されており、同様の効果がある。
Q2: 中間層が拡大している国における成功事例を教えて頂きたい。
A2: ブラジルでよい例がある。ブラジルはビールの消費が相当伸びており、ビールメーカーが大きく成長した。サンパウロだけで2100万人の人口を抱えるなど効率的な製造・配送システムが必要だった中で、その効率性はキャッシュリッチで非効率な経営に安住する欧米の会社を抜き去ることとなった。近年、その会社は米国やベルギーのビール会社を買収しており、その効率経営を持ち込んでいる。中間層の拡大が内需拡大をもたらした例であるだけでなく、今後のM&A には買い手にエマージング諸国が顔を見せてくるという点でも良い例である。
Q3: 調査担当国のローテーションはどれぐらいの頻度でやっているのか?
A3: 個人の成長度合いによって、担当期間は異なる。ただ、もともと担当しない国の銘柄調査への関わりは多い。例えば、ブラジルの鉄鉱石会社にとって中国の需要は大切なポイントであるため、中国担当とブラジル担当が共同で企業訪問を行ったりといったことである。
Q4: 半導体などのIT セクターは先進国への輸出が多いと思われ、エマージング諸国の内需成長テーマに合わないのでは?
A4: その通りだが、IT セクターは07年から株価が大きく下落していた。本来あるべき価値からみてあまりにも大きく下げたため、生き残りが確実な強い企業に限って投資をしている。
Q5: 今のポートフォリオは値上がり益追求と配当重視、どちらなのか?
A5: 結果としては今は配当重視のポートフォリオ。配当を出せるということは現金を生み出せるということである。調査の結果組入れた銘柄でポートの特性は変わる。
Q6: 為替のヘッジはするのか?エマージング通貨は時々大幅な通貨下落に見舞われるが、通貨の変動についてどう対応しているのか教えてほしい。
A6: 為替ヘッジはしない。ボトムアップ調査の企業分析に為替変動の影響も考慮されている。企業訪問により為替の影響について肌で感じ取れることは多い。
Q7: クライアントサービスについて教えてほしい。
A7: 日本人対応はシドニーから行っているが、エジンバラにも日本語のできる人材を置いており、運用の現場から直接サポートできる体制を敷いている。
以上
留意事項
弊社の投資先、もしくは投資候補として注目度の高いマネジャに関する公開ミーティングを通じたご理解を今後の資産運用にお役立ていただくこと、および弊社へのご理解を深めていただくことによる投資一任契約の締結の勧誘を目的としており、特定の金融商品の募集・勧誘を行うものではありません。
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