Western Asset グローバルソブリン戦略 公開ミーティング要旨

マネジャ・ミーティングレポート⑬
Western Asset グローバルソブリン戦略 公開ミーティング要旨

日時: 6 月19 日(金) 14 時-16 時
場所: HC 5 階会議室
マネジャ: 土井氏(投資運用部)、吉沢氏(クライアント・サービス&マーケティング部)
HC: 橋本、吉澤、柳井

[会社情報]

・ 1971 年に設立された世界最大級の債券マネジャ。1986 年にレッグメイソンの傘下に入り、2005 年にシティグループの運用部門を吸収した。
・ 2009 年3 月現在、運用総額は4,734 億ドル(約47 兆円)。
・ 債券のアクティブ運用に特化しており、トップダウンの投資判断、特にセクター配分に強みを持つ。
・ パサデナ(ロサンゼルス郊外)に本拠地を持ち、世界7 カ国に8 拠点を持つ。東京オフィスの運用額は510 億ドル(5 兆373 億円)で米国、ロンドンに次ぐ運用拠点になっている。
・ 運用部門において、ポートフォリオ・マネージャーが運用に専念できるようにポートフォリオ・オペレーションがおかれ数字の報告やドキュメンテーションなど運用にかかわる様々な業務を補佐している。
・ 米国投資家と米国外投資家の比率は7:3。米国外投資家のうち43%が日本の投資家。
・ 当該戦略の運用者である土井氏は、アジア・太平洋(日本、シンガポール、豪州)運用部門統括者で、CIO スティーブン・A・ウォルシュに直接レポートする8 人の部門統括者のうちの1 人。

[グローバル・ソブリンQ 戦略情報]

・ 主たる戦略はG10 諸国の国別配分と通貨の相対比較戦略で自社開発のモデルと運用マネージャーのジャッジメンタルを組み合わせたポータブルα戦略。
・ 当該戦略の運用チームは、10 年以上同じチームで運用している。
・ 目標リターンは、標準的にシティグループ世界国債インデックス+1-4%で投資家のリスク許容度に応じたテーラーメイドが可能。通貨配分、国別配分、デュレーション、イールドカーブのそれぞれが独立した付加価値源泉となっており、主に国別配分と通貨配分でリスクを配分。
・ 月次の投資戦略会議では自社開発の定量モデルを用いまたモデルには組みこまれていない市場のテーマについてはチームがモデル外で議論し市場の理解に努める。
・ 自社開発の定量モデルは運用担当者のコピーである(運用担当者の思考を具現化させたツール)であるため、運用チーム自身でモデルが今の市場環境下で働きやすいか、どのような点を注意すべきかを理解しており、必要な場合にすばやく修正しやすい強みを持つ。
・ 投資対象はG10 の国債先物、為替フォワードであるため流動性は極めて高い。ただし債券先物のないスウェーデンは現物国債で取引。

[Q&A]

Q1: 運用サービスの意識が高いという説明があったが具体的にはどのようなことか。
A1: ポートフォリオ・マネージャが運用に特化できるために部門内にポートフォリオ・オペレーションをおきサポートを行っている。

Q2: 現在、クオンツが利かないと言われているが、このような市場が継続した場合はどうするのか。
A2: 弊社のモデルは最近の金融危機下でも高い説明能力を保っている。ただし現在が金融危機下にあるかどうかいった市場テーマについてはモデルに組み込まれていないためポートフォリオ・マネージャーがモデルの外で議論しモデルを補佐している。

Q3: どのくらいの頻度でモデルの改訂を行うのか。
A3: 毎月月初3 日間程度、投資戦略会議を行いチームで話し合って行っている。その他、毎週リサーチ会議を行い検証する。保有銘柄の回転率は年間で150-200%程度。

Q4: 潜在成長率はそれほど動く指標ではないが、なぜ通貨配分モデルのファクターになっているのか。
A4: 確かに頻繁に動く指標ではない。しかし潜在成長率は長期的な通貨価値を決める重要なファクターの一つであるためファクターウェイトを調整しながらモニターしている。

Q5: 経常赤字はどうか。また、財政赤字はどうか。
A5: 経常赤字も財政赤字も時々重要な市場テーマとして注目される。ただし過去の検証ではこれらのテーマが必ずしもある通貨ないし国債の相対比較に明確に反映されたとは断定できていない。そのためにこれらの指標を普遍的なモデルに組み込まずポートフォリオ・マネージャーがモデルの外で扱うファクターとしている。

Q6: パフォーマンスの出方を聞きたい。
A6: 金利の部分は、2006 年以外は好調であった。通貨の部分は2003 年がフラットだったと思うが、それ以外は右肩上がりであった。

Q7: モデルを改訂するときや運用者の判断を加えるときは上昇相場に追随する方向へ修正するのか下落を抑える方向へ修正するのか。
A7: 下落を抑える方向に修正を加える。説明力が低下しているファクターに対するウェイトを低下させるなどして細かく対応している。

Q8: この戦略の強みは何か。
A8: 運用チームが強みである。モデルは運用チームの考えを具現化したものである。その運用チームの構成は国籍も様々でありクオンツ、クレジットといった多様なバックグラウンドを併せ持っている。そのため、何時もいろんな視点から問題意識を持って市場理解のために議論し続けている。

Q9: 100 年に1 度の不況と言われているが、次に予想外の出来事に対する備えはできているのか。チーム力だけで対応できると考えているのか。
A9: 万全策などない。ただ常にいろいろなことに対処できるよう問題意識を持っている。いかにバランスよく問題を考えられるかが大事だと考えている。

Q10: 過去の統計に依るモデル運用には疑問がある。
A10: ファンドマネジャをやるにあたってどの程度市場の知識をもっていればよいかを考えたとしたら市場全体の3-4%でも自分たちが得意とする領域を持ち、さらにその領域を理解するために徹底的に議論・調査を続ければ優秀なファンドマネジャになれると思っている。

Q11: 債券で運用するに当たって、債券は持ちきれば最終的に100 で戻ってくる。価格変動があるにしても、変動は収斂していくのではないかと考えると、金利収入のみによる運用でよいのではないかと考えるのだがアクティブ運用をどのように考えているか。
A11: 当該戦略は国別配分及び通貨市場の相対比較を収益の源泉としており持ちきりがたの運用ではない。むしろ相対比較から起こりうる価格変動を州英気の源泉にしている。

以上

留意事項
弊社の投資先、もしくは投資候補として注目度の高いマネジャに関する公開ミーティングを通じたご理解を今後の資産運用にお役立ていただくこと、および弊社へのご理解を深めていただくことによる投資一任契約の締結の勧誘を目的としており、特定の金融商品の募集・勧誘を行うものではありません。

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