10/15開催 HC資産運用セミナーvol.022 セミナーレポート
HCセミナー
◆セミナーのまとめ①◆
◆「長期」とは、漠然たる長さではなく、「短期」(定期的に効果測定される期間)の積み上げ
企業経営においては、長期の視点で、設備投資等の成長戦略が立てられています。長期戦略の進捗は、定期決算により、短期的に評価・確認されます。進捗を評価・確認することは、企業外部の利害関係者にとって必要なのは当然ですが、より多く、企業経営そのものにとっても、経営管理上、必要不可欠なことです。資産運用についても、長期的な成果の達成状況の進捗確認を定期(短期)的に行うことは、長期的な成果の達成を目指すこととは、矛盾し得ないはずです。
◆「長期」の具体的長さは、環境によっても変化する
企業経営における「長期」は、ある程度の根拠を持って見通せる範囲でなければならない以上、5年を大きく超えることは、考えにくいと思われます。不確実性が著しく大きいような場合には、3年程度ということもあるでしょう。資産運用においても、「長期」とは、3~5年程度ではないでしょうか。
◆「長期」とは、将来についての長期の視点
企業の長期経営計画は、定期的な進捗評価と、環境の変化に応じて、変更されます。長期間変更しないから長期なのではなくて、長期的ビジョンの下で、いま変更するから長期なのです。資産運用も同じです。ぶれない投資のビジョンを堅持しながら、事実としての成果と環境に対応するからこそ、長期運用なのです。
◆「長期的ビジョン」としての大きなテーマ
将来ビジョンなき資産運用はあり得ません。資産運用は、将来への賭けとしての基本性格を、決して、免れません。ビジョンは予測です。しかし、一般的な合理性・妥当性のある予測は可能です。例えば、エマージングの成長などです。
◆ベンチマークとしての金利
金利は、常に、期間との関係で定義されます。具体的な投資期間に応じて基準金利(信用リスクが一番小さいもの)が対応する以上、その金利が最低限の目標を画するという意味で、ベンチマークになります。信用リスク等の追加リスクをとることで、基準金利を上回ることが、当然至極に資産運用の目的となります。
企業経営においては、長期の視点で、設備投資等の成長戦略が立てられています。長期戦略の進捗は、定期決算により、短期的に評価・確認されます。進捗を評価・確認することは、企業外部の利害関係者にとって必要なのは当然ですが、より多く、企業経営そのものにとっても、経営管理上、必要不可欠なことです。資産運用についても、長期的な成果の達成状況の進捗確認を定期(短期)的に行うことは、長期的な成果の達成を目指すこととは、矛盾し得ないはずです。
◆「長期」の具体的長さは、環境によっても変化する
企業経営における「長期」は、ある程度の根拠を持って見通せる範囲でなければならない以上、5年を大きく超えることは、考えにくいと思われます。不確実性が著しく大きいような場合には、3年程度ということもあるでしょう。資産運用においても、「長期」とは、3~5年程度ではないでしょうか。
◆「長期」とは、将来についての長期の視点
企業の長期経営計画は、定期的な進捗評価と、環境の変化に応じて、変更されます。長期間変更しないから長期なのではなくて、長期的ビジョンの下で、いま変更するから長期なのです。資産運用も同じです。ぶれない投資のビジョンを堅持しながら、事実としての成果と環境に対応するからこそ、長期運用なのです。
◆「長期的ビジョン」としての大きなテーマ
将来ビジョンなき資産運用はあり得ません。資産運用は、将来への賭けとしての基本性格を、決して、免れません。ビジョンは予測です。しかし、一般的な合理性・妥当性のある予測は可能です。例えば、エマージングの成長などです。
◆ベンチマークとしての金利
金利は、常に、期間との関係で定義されます。具体的な投資期間に応じて基準金利(信用リスクが一番小さいもの)が対応する以上、その金利が最低限の目標を画するという意味で、ベンチマークになります。信用リスク等の追加リスクをとることで、基準金利を上回ることが、当然至極に資産運用の目的となります。
◆セミナーのまとめ②◆
◆目標の達成確率を高めることがリスク管理の目的
基準金利は、最低限の収益率であり、その達成確率は、100%に一番近いはずです(定義により)。この金利に対して、目標収益率を、より高く設定するほど、その達成確率は低下し、同時に、損失確率は増加します。これがリスクです。この達成確率と損失確率としてのリスクを制御することが、真のリスク管理です。
◆リスク管理としてのインカム志向
総合収益(トータル・リターン)は、元本から生じるインカム(利息配当金)と、元本価値の変動の合計値です。リスクのほぼ全ては、元本価値の不確実な変動から生まれます。従って、インカムの比重を高くする、望ましくは、全ての収益がインカムから生まれるならば、リスクが一番小さくなる(目標達成確率が一番大きくなる)はずです。同時に、元本の下落幅をインカムの範囲内に抑えることができれば、損失確率としてのリスク(マイナスになる可能性)も最小化できるはずです。
◆インカムが同じでも環境が変われば時価は変化します。
利回り5%の10年国債を100億円保有していると、毎年5億円の利息が入ります。いま、金利が低下して3%になったとすると、国債の時価は上昇します。時価が上昇したからといって毎年5億円の利息額は変わりません。環境が変われば時価は変わりますが、資産としての本来的なインカムを稼ぎ出す力は変わらない場合も多くあります。このような時価変動は、長期的な収益性とは関係のないランダムな変動、価値を生まないリスクである場合も多いと思われます。できれば、避けたいリスクです。
◆本源的なインカムを稼ぎ出す力が上昇すれば、時価は上昇します。
企業の本来的な収益力が改善し、結果として配当が増えるならば、株価は上昇するでしょう。配当しないで内部留保した投資が、成果を生めば、将来配当の期待が上昇することを通じて、株価は上昇します。ビルを改修しテナント政策に工夫をこらせば、テナント料収入は増え、ビル価格は上昇するでしょう。もちろん、逆も真であり、企業の収益力が低下し、期待配当が低下すれば、株価は下落するでしょう。このような、時価変動は、ランダムというよりは、本質的なものであり、場合によっては、積極的にとるべきリスクです。
◆資産運用の課題は、資産の持つ本来的なインカムを稼ぎ出す力を高めることです。
インカムを稼ぎ出す力が増せば、結果として、時価は上昇します。資産運用とは、資産の配分を工夫し、また各資産の中での収益性改善努力を通じて、資産から生まれるインカムの期待収入額を増やすことです。
基準金利は、最低限の収益率であり、その達成確率は、100%に一番近いはずです(定義により)。この金利に対して、目標収益率を、より高く設定するほど、その達成確率は低下し、同時に、損失確率は増加します。これがリスクです。この達成確率と損失確率としてのリスクを制御することが、真のリスク管理です。
◆リスク管理としてのインカム志向
総合収益(トータル・リターン)は、元本から生じるインカム(利息配当金)と、元本価値の変動の合計値です。リスクのほぼ全ては、元本価値の不確実な変動から生まれます。従って、インカムの比重を高くする、望ましくは、全ての収益がインカムから生まれるならば、リスクが一番小さくなる(目標達成確率が一番大きくなる)はずです。同時に、元本の下落幅をインカムの範囲内に抑えることができれば、損失確率としてのリスク(マイナスになる可能性)も最小化できるはずです。
◆インカムが同じでも環境が変われば時価は変化します。
利回り5%の10年国債を100億円保有していると、毎年5億円の利息が入ります。いま、金利が低下して3%になったとすると、国債の時価は上昇します。時価が上昇したからといって毎年5億円の利息額は変わりません。環境が変われば時価は変わりますが、資産としての本来的なインカムを稼ぎ出す力は変わらない場合も多くあります。このような時価変動は、長期的な収益性とは関係のないランダムな変動、価値を生まないリスクである場合も多いと思われます。できれば、避けたいリスクです。
◆本源的なインカムを稼ぎ出す力が上昇すれば、時価は上昇します。
企業の本来的な収益力が改善し、結果として配当が増えるならば、株価は上昇するでしょう。配当しないで内部留保した投資が、成果を生めば、将来配当の期待が上昇することを通じて、株価は上昇します。ビルを改修しテナント政策に工夫をこらせば、テナント料収入は増え、ビル価格は上昇するでしょう。もちろん、逆も真であり、企業の収益力が低下し、期待配当が低下すれば、株価は下落するでしょう。このような、時価変動は、ランダムというよりは、本質的なものであり、場合によっては、積極的にとるべきリスクです。
◆資産運用の課題は、資産の持つ本来的なインカムを稼ぎ出す力を高めることです。
インカムを稼ぎ出す力が増せば、結果として、時価は上昇します。資産運用とは、資産の配分を工夫し、また各資産の中での収益性改善努力を通じて、資産から生まれるインカムの期待収入額を増やすことです。
◆セミナーのまとめ③◆
◆インカムの源泉の分散としてのリスク分散
インカムの源泉をできるだけ広く多様なものに分散し、インカム受け取りの優先順位(キャピタル・ストラクチャ)を工夫し、結果として、元本全体の時価変動を、個々の資産種類ごとの価格変動の相殺によって、最小化すること、これがリスク分散です。
◆インカムの質
インカムの質を規定するのは、インカムの源泉となる本源的な事業キャッシュフローの質です。その事業キャッシュフローへの参画の優先権(キャピタル・ストラクチャ)を適切に選択することが、資産運用の基本スキルです。また、事業キャッシュフローの質は、実業の、実需経済の、ひいては社会の必要性に立脚するかどうかが、決め手だと思われます。
◆インカムの質と関係のない価格変動がもたらす機会(オポチュニティ)
ランダムな時価変動や特殊事由によって、インカムを稼ぎ出す力と関係なく、価格が下落するときは、「割安(バリュー)」と呼べるオポチュニティ(投資機会)が生まれるときです。そのとき、オポチュニティのほうへ資産を動かすことが、「リバランシング」ではないでしょうか。
◆インカム・マネジメントとオポチュニティ・マネジメントの組み合わせとしての資産選択戦略
質が高く、源泉が分散されたインカムのポートフォリオの基準にして、一定範囲でのオポチュニティへの傾斜を掛けることが、資産運用の基本です。
インカムの源泉をできるだけ広く多様なものに分散し、インカム受け取りの優先順位(キャピタル・ストラクチャ)を工夫し、結果として、元本全体の時価変動を、個々の資産種類ごとの価格変動の相殺によって、最小化すること、これがリスク分散です。
◆インカムの質
インカムの質を規定するのは、インカムの源泉となる本源的な事業キャッシュフローの質です。その事業キャッシュフローへの参画の優先権(キャピタル・ストラクチャ)を適切に選択することが、資産運用の基本スキルです。また、事業キャッシュフローの質は、実業の、実需経済の、ひいては社会の必要性に立脚するかどうかが、決め手だと思われます。
◆インカムの質と関係のない価格変動がもたらす機会(オポチュニティ)
ランダムな時価変動や特殊事由によって、インカムを稼ぎ出す力と関係なく、価格が下落するときは、「割安(バリュー)」と呼べるオポチュニティ(投資機会)が生まれるときです。そのとき、オポチュニティのほうへ資産を動かすことが、「リバランシング」ではないでしょうか。
◆インカム・マネジメントとオポチュニティ・マネジメントの組み合わせとしての資産選択戦略
質が高く、源泉が分散されたインカムのポートフォリオの基準にして、一定範囲でのオポチュニティへの傾斜を掛けることが、資産運用の基本です。
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