Stone Harbor エマージング債券インカム戦略公開ミーティング要旨

日時: 10 月27 日(水) 15 時-17 時
場所: HC 5 階会議室
マネジャ: Thomas W. Broke 氏(CEO)、Paul Timlin 氏(Head of Non-US Business)
HC: 吉澤、Ji Woong Chung

[会社情報]
・ 元ソロモンブラザーズのエマージング債券運用チームが2006 年に設立。機関投資家向け債券運用に特化した運用会社。運用拠点はニューヨーク、営業拠点がロンドンにある。
・ 運用額は全体で約190 億ドル(約1.7 兆円)。運用額の約45%がエマージング債券。
・ 会社の株式は100%役職員が保有。フロントオフィス、バックオフィス問わず全役職員が少なからず株式を保有している。
・ 運用チームの中核メンバーはソロモン時代から19 年間協働しており、過去に退職者はいない。
・ レッグメイソンにソロモンブラザーズ(シティグループ)が買収される際に、運用拠点の移動やマーケティング方針の違いなどから独立。独立時のレッグメイソンとの契約で顧客を引き継ぐことに同意してもらっていたため、独立直後から約80 億ドルの運用資産があり、投資家も34 社いた。当時から米国の地方公共団体や公的年金、ソブリンウェルスファンド等が投資家だった。公開はしていないがIMF の資金も運用している。
・ リーマンショック後、IMF のエマージング担当アナリスト、Citigroup のエマージング債ディーラーをなど数名の運用プロフェッショナルを採用した。

[エマージング債券インカム戦略情報]
・ 米ドルベースで年率5-7%のインカム収益の獲得を目指す。米ドル建エマージング国債、現地通貨建てエマージング国債およびエマージング社債に分散投資する。社債といっても政府系企業や政府保証付きの社債で準国債と言ってもよい銘柄に限定する。国債は物価連動国債も含む。
・ デュレーションは市場並み(6-7 年)に維持するが、国別配分などはベンチマークを気にしない。
・ 20-25 カ国、80-100 銘柄程度に分散投資する。
・ CDS などのデリバティブ、レバレッジは利用しない。流動性の低いスペシャルシチュエーションやイベントドリブン関連銘柄には投資しない。流動性の高い国債および準国債(政府機関、政府系企業の債券)に投資する。
・ 投資銀行系などの大きな運用会社はトラックレコードが長いといっても同じ運用チームで運用し続けていることは稀だが、ストーンハーバーはソロモン時代から19年間、同じ運用チームで運用し続けており、全員が同じ経験を有していることも強みである。

[エマージング債券市場情報]
・ 1990 年初頭からエマージング債券投資は始まった。当初は、投資適格格付は韓国しかなかったが、現在ではインデックス構成国の多くが投資適格である。また、数カ国しかなかったインデックス構成国も20 数カ国程度まで広がってきた。
・ エマージング債券市場は格付が向上してきている上に、市場規模も拡大してきている。外貨準備高などを見てもファンダメンタルズは良く、欧州の同格付の先進国と比較しても、見劣りしないファンダメンタルズの国もあり投資対象として有効だと考えている。

[Q&A]
Q1: 格付が向上し、投資適格格付国が増えたとあったが、もしそうであればスプレッドは縮小していくはずである。今後もそのような傾向が継続するか。
A1: たしかに格付が向上したため対米国債スプレッドは縮小した。それによって、過去のように大きく収益を取れる機会はなくなった。しかし、エマージング国の多くは経済が成長しており、政策金利が10-12%という国も存在しているため、先進国の国債と比較してクーポンは高い。長期で見れば、エマージング国の格付向上、対米国債スプレッドの縮小という流れは継続すると考えている。

Q2: 他のエマージング債券マネジャとの違いはどこか。
A2: まずは、チーム。19 年間に渡って同じチームが運用してきた。他の会社で同じ長さのトラックレコードがあれば、チームの人材が2 回転もしくは3 回転しているかもしれない。もうひとつは運用のアプローチ。エマージングマネジャは大きく分けて2 タイプいる。ひとつはパッシブマネジャ。もうひとつはヘッジファンドのようなアクティブマネジャである。前者はトラッキングエラーを小さくすることに重点を置く。この場合、市場規模の大きい国(インデックスの中でも配分の大きい国)に政治不安やその他の要因で市場が下落した場合、連れ安になる。後者の場合はレバレッジの活用やその他スペシャルシチュエーションのような流動性の低い資産に投資する。ストーンハーバーはその中間に位置している。レバレッジや流動性の低い資産に投資しないが、トラッキングエラーは気にせずアクティブな国別配分を行う。インデックスの特徴を把握した上で、各国のファンダメンタルズに基づいた配分を行う点が特徴である。また、それに関しては長い運用実績による多くの市場サイクルやイベントを経験していることは利点だと考えている。

Q3: インカム戦略の目標リターンは何%か。
A3: 明確な目標リターンは設定していない。年率5-7%のインカム収益を長期で安定的に分配できるポートフォリオを維持することが目標である。ただし、2009 年の年初来のリターンや1990 年代のような40%以上のリターンは期待しないでほしい。市場環境は変化してきているし、2009 年に入ってからは2008 年のような特別な市場環境が要因の特殊な運用結果である。

以上


留意事項
弊社の投資先、もしくは投資候補として注目度の高いマネジャに関する公開ミーティングを通じたご理解を今後の資産運用にお役立ていただくこと、および弊社へのご理解を深めていただくことによる投資一任契約の締結の勧誘を目的としており、特定の金融商品の募集・勧誘を行うものではありません。

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