Keystone Partners 本邦ローン戦略公開ミーティング要旨
日時: 11月24日(火) 14:00 ? 15:30
場所: HC 5階会議室
マネジャ: 堤智章氏(代表取締役)、高見幸宏氏(マネージングパートナー)
HC: 橋本、横山、前田
[会社情報]
・ 2009年5月設立。「企業再生」をキーワードに、銀行の管理区分で問題先となった企業に対し、ファイナンス提供とオペレーション改善を行う。機能低下で金融機関が実行できなくなった真の「コーポレートファイナンス」を行うことが会社の目標。
・ 代表取締役の堤氏は三菱東京UFJ銀行(元三和銀行)出身で再生金融ビジネス、ローントレーディング、不良債権のバルクセール等を担当。もう一人の代表取締役小山氏は住友信託銀行出身でJPモルガンを経て、メリルリンチにて不動産投資チームを立ち上げ、2004年にUFJ銀行とメリルリンチの合弁不良債権ファンドであるジェネシスキャピタルの代表取締役に就任。2名は、ジェネシスキャピタルにおける企業再生案件投資において協働し、IRR35%の実績を残している。
・ 役職員は総勢9名だが、今後20名程度まで増員する予定。
[本邦ローン戦略情報]
・ 銀行融資のリファイナンスが困難な債務者区分要注意先以下の企業を対象に投融資を行い、IRR20%を目指す。
・ 金融機関の貸付債権を割安取得するセカンダリー債権が全体の50%、再生企業に対し新しい資金を高利回りで提供する高イールド・ファイナンスが30%、種類株式や劣後ローンなどのメザニン・ファイナンスが20%程度を占める。債権投資により得られる金利収入が主な収益源泉で、これに債権回収/担保回収やメザニン出資によるキャピタルゲインが上乗せされる。それぞれの収益源泉としては、セカンダリー債権はインカムゲイン中心、高イールドはインカムゲインのみ、メザニンはキャピタルゲイン中心である。
・ ローン供与後、再生完了した案件に関しては、主として銀行がリファイナンスに応じることで当戦略の出口となる。一方、資本供与の後、再生完了した案件は、事業会社やPEファンド、また産業革新機構や企業再生支援機構が出口となりうる。特に、企業再生支援機構は満たさなければならない条件が厳しく、再生企業が企業再生支援機構からの支援に至る手前で、その厳しい条件を満たすまでの企業再生を担う当社の役割がより増すものと考えている。
・ 短期間での投資出口を実現するのが特徴で、平均的な案件保有期間は2年程度。2回程度決算を行うと、銀行での債務者区分が正常に戻る。再生のシナリオを投資開始時点で描き、実行する。
・ 2010-12年、特に2010年下期から2011年にかけ大きく投資を行い、2012-2014年で回収するイメージであるが、セカンダリー債権や高イールド・ファイナンスからのインカム収入が常時あるため、初年度からプラスの収益を獲得することを想定している。
・ 投資対象は未上場で時価総額100億円以下の中堅・中小企業が中心となる。景気後退・停滞期の現況下において、オーナー企業等の中堅企業・中小企業は経営課題を抱えている企業が多く、当社が協働できる余地は大きい。
・ 債権の割引購入によって、DSCR(デット・サービス・カバレッジ・レシオ)1.2倍~1.3倍で投資を開始。これは格付ではおよそシングルA格に相当する基準である。
・ 配当は四半期ごとの予定。
・ 月次でLP投資家からの要請に基づく情報開示が可能。
・ 現在の環境は、銀行はBIS規制によって中核的自己資本への規制を受ける可能性があり、例えばあるメガバンクの自己資本比率は10%だが、中核的自己資本だと5%に落ちる。こうした理由で問題債権が処理しきれず放置されており、銀行は増資しようとしている。増資とともに引き当てを行い、管理区分債権が増えると見ている。
・ また、引当済みの債権については、前回のバブル崩壊時には竹中プランによってバルクで大量に出てきたため、機会を捕らえることさえできれば、誰でもよいリターンを出せた。現在は当時に比較すると相対的に銀行の体力もあるので、急いでバランスシートから不良債権をはずす必要もないため、ある程度放置されている。銀行もバルクで一気に割安放出する気はなく、個別にそれらの処理を行える機能が必要となっている。
・ 管理区分債権は主に3段階あり、①赤字計上による業績低迷、②不良資産・過剰債務による実質債務超過状態、③資金繰り破綻である。初期は財務リストラだけで解決できる場合が多いが、後半ではハンズオンによるオペレーション改善が必要。
・ ハンズオンでのオペレーション改善は主にディレクトフォースに登録している各業界の経験者と協力して行う。ディレクトフォースとは各業界の元幹部・OBが所属する組織であり、日銀検査役出身で当社社外アドバイザリーボードの石原氏が委員長を務める。
・ ジェネシスキャピタルでは全部で約100案件に投資したが、99件は再生し元本回収できている。1件のみ破綻した案件があったが、これもファンドの了解を得た上での破綻申請であり、予想を超えたものではない。ジェネシスキャピタルでは投資利回りIRR35%を達成した。
[Q&A]
Q1: ハイイールドは損失を出したという話をよく聞くが、大丈夫なのか。
A1: 通常アメリカのジャンク債をさして言う場合が多いと思うが、我々のハイイールドは新たに運転資金が必要なときに出すDIPファイナンスやブリッジファイナンスを指し、優先弁済を受けることができるものである。米国のジャンク債のように市場に出回っているものでもないので、時価のぶれに悩まされることもない。これはメザニン・ファイナンスよりも簡単に実行できるもので使い勝手がよい。メザニンは株数などに関連して定款の変更が必要な場合が多く、半年に1件程度の投資を見込んでいる。
Q2: 最近の銀行の増資をどう見ているか。ファンドの案件ソーシング環境に及ぼす影響はあるか。
A2: これは完全にTier1自己資本対策で、増資完了と共に資産も縮小していくはずである。Tier1規制後は増資できないので、それまでに増資しようとしている。9月末決算は貸し倒れが少なく予想以上によかったという声もあるが、これはそれだけしか貸し倒れ費用を計上できなかったという体力不足の証拠。実態はもっと悪いだろう。
Q3: パイプラインにはどのようなものがあるのか。
A3: 様々な案件が来ているが、車の部品や携帯電話の部品など急激に売上が落ちたものが多くなっている。現在、既に、来年以降からの投資開始を見据え、投資パイプライン強化の一環で、企業再生に関するアドバイザリー案件を推進してきている。
以上
留意事項
弊社の投資先、もしくは投資候補として注目度の高いマネジャに関する公開ミーティングを通じたご理解を今後の資産運用にお役立ていただくこと、および弊社へのご理解を深めていただくことによる投資一任契約の締結の勧誘を目的としており、特定の金融商品の募集・勧誘を行うものではありません。
場所: HC 5階会議室
マネジャ: 堤智章氏(代表取締役)、高見幸宏氏(マネージングパートナー)
HC: 橋本、横山、前田
[会社情報]
・ 2009年5月設立。「企業再生」をキーワードに、銀行の管理区分で問題先となった企業に対し、ファイナンス提供とオペレーション改善を行う。機能低下で金融機関が実行できなくなった真の「コーポレートファイナンス」を行うことが会社の目標。
・ 代表取締役の堤氏は三菱東京UFJ銀行(元三和銀行)出身で再生金融ビジネス、ローントレーディング、不良債権のバルクセール等を担当。もう一人の代表取締役小山氏は住友信託銀行出身でJPモルガンを経て、メリルリンチにて不動産投資チームを立ち上げ、2004年にUFJ銀行とメリルリンチの合弁不良債権ファンドであるジェネシスキャピタルの代表取締役に就任。2名は、ジェネシスキャピタルにおける企業再生案件投資において協働し、IRR35%の実績を残している。
・ 役職員は総勢9名だが、今後20名程度まで増員する予定。
[本邦ローン戦略情報]
・ 銀行融資のリファイナンスが困難な債務者区分要注意先以下の企業を対象に投融資を行い、IRR20%を目指す。
・ 金融機関の貸付債権を割安取得するセカンダリー債権が全体の50%、再生企業に対し新しい資金を高利回りで提供する高イールド・ファイナンスが30%、種類株式や劣後ローンなどのメザニン・ファイナンスが20%程度を占める。債権投資により得られる金利収入が主な収益源泉で、これに債権回収/担保回収やメザニン出資によるキャピタルゲインが上乗せされる。それぞれの収益源泉としては、セカンダリー債権はインカムゲイン中心、高イールドはインカムゲインのみ、メザニンはキャピタルゲイン中心である。
・ ローン供与後、再生完了した案件に関しては、主として銀行がリファイナンスに応じることで当戦略の出口となる。一方、資本供与の後、再生完了した案件は、事業会社やPEファンド、また産業革新機構や企業再生支援機構が出口となりうる。特に、企業再生支援機構は満たさなければならない条件が厳しく、再生企業が企業再生支援機構からの支援に至る手前で、その厳しい条件を満たすまでの企業再生を担う当社の役割がより増すものと考えている。
・ 短期間での投資出口を実現するのが特徴で、平均的な案件保有期間は2年程度。2回程度決算を行うと、銀行での債務者区分が正常に戻る。再生のシナリオを投資開始時点で描き、実行する。
・ 2010-12年、特に2010年下期から2011年にかけ大きく投資を行い、2012-2014年で回収するイメージであるが、セカンダリー債権や高イールド・ファイナンスからのインカム収入が常時あるため、初年度からプラスの収益を獲得することを想定している。
・ 投資対象は未上場で時価総額100億円以下の中堅・中小企業が中心となる。景気後退・停滞期の現況下において、オーナー企業等の中堅企業・中小企業は経営課題を抱えている企業が多く、当社が協働できる余地は大きい。
・ 債権の割引購入によって、DSCR(デット・サービス・カバレッジ・レシオ)1.2倍~1.3倍で投資を開始。これは格付ではおよそシングルA格に相当する基準である。
・ 配当は四半期ごとの予定。
・ 月次でLP投資家からの要請に基づく情報開示が可能。
・ 現在の環境は、銀行はBIS規制によって中核的自己資本への規制を受ける可能性があり、例えばあるメガバンクの自己資本比率は10%だが、中核的自己資本だと5%に落ちる。こうした理由で問題債権が処理しきれず放置されており、銀行は増資しようとしている。増資とともに引き当てを行い、管理区分債権が増えると見ている。
・ また、引当済みの債権については、前回のバブル崩壊時には竹中プランによってバルクで大量に出てきたため、機会を捕らえることさえできれば、誰でもよいリターンを出せた。現在は当時に比較すると相対的に銀行の体力もあるので、急いでバランスシートから不良債権をはずす必要もないため、ある程度放置されている。銀行もバルクで一気に割安放出する気はなく、個別にそれらの処理を行える機能が必要となっている。
・ 管理区分債権は主に3段階あり、①赤字計上による業績低迷、②不良資産・過剰債務による実質債務超過状態、③資金繰り破綻である。初期は財務リストラだけで解決できる場合が多いが、後半ではハンズオンによるオペレーション改善が必要。
・ ハンズオンでのオペレーション改善は主にディレクトフォースに登録している各業界の経験者と協力して行う。ディレクトフォースとは各業界の元幹部・OBが所属する組織であり、日銀検査役出身で当社社外アドバイザリーボードの石原氏が委員長を務める。
・ ジェネシスキャピタルでは全部で約100案件に投資したが、99件は再生し元本回収できている。1件のみ破綻した案件があったが、これもファンドの了解を得た上での破綻申請であり、予想を超えたものではない。ジェネシスキャピタルでは投資利回りIRR35%を達成した。
[Q&A]
Q1: ハイイールドは損失を出したという話をよく聞くが、大丈夫なのか。
A1: 通常アメリカのジャンク債をさして言う場合が多いと思うが、我々のハイイールドは新たに運転資金が必要なときに出すDIPファイナンスやブリッジファイナンスを指し、優先弁済を受けることができるものである。米国のジャンク債のように市場に出回っているものでもないので、時価のぶれに悩まされることもない。これはメザニン・ファイナンスよりも簡単に実行できるもので使い勝手がよい。メザニンは株数などに関連して定款の変更が必要な場合が多く、半年に1件程度の投資を見込んでいる。
Q2: 最近の銀行の増資をどう見ているか。ファンドの案件ソーシング環境に及ぼす影響はあるか。
A2: これは完全にTier1自己資本対策で、増資完了と共に資産も縮小していくはずである。Tier1規制後は増資できないので、それまでに増資しようとしている。9月末決算は貸し倒れが少なく予想以上によかったという声もあるが、これはそれだけしか貸し倒れ費用を計上できなかったという体力不足の証拠。実態はもっと悪いだろう。
Q3: パイプラインにはどのようなものがあるのか。
A3: 様々な案件が来ているが、車の部品や携帯電話の部品など急激に売上が落ちたものが多くなっている。現在、既に、来年以降からの投資開始を見据え、投資パイプライン強化の一環で、企業再生に関するアドバイザリー案件を推進してきている。
以上
留意事項
弊社の投資先、もしくは投資候補として注目度の高いマネジャに関する公開ミーティングを通じたご理解を今後の資産運用にお役立ていただくこと、および弊社へのご理解を深めていただくことによる投資一任契約の締結の勧誘を目的としており、特定の金融商品の募集・勧誘を行うものではありません。
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