2010/10/13開催 HC資産運用セミナーvol.034 セミナーレポート
HCセミナー
《 セミナーのまとめ 》
資産とはキャッシュフローを生むもの
資産の前提となるのは、キャッシュフローを生み出す事業の仕組みです。有価証券や不動産などという具体的な資産は、その生み出された事業キャッシュフローの分配を受け取る権利のことです。投資は、「事業」への投資であって、「証券」への投資は、投資の便法です。
資産はキャッシュフローを受取る法律上の権利
例えば、不動産自体が投資対象なのではなくて、不動産が生み出す賃料収入が投資対象なのです。不動産の所有は、賃料収入を受け取る権利についての、法律上の対抗要件にすぎません。ですから、土地(上に何もない更地)は、投資対象ではないことになります。同様に、債券(債権)は、利息と元本償還金を受け取る権利、株式は、配当と清算時の残余財産を受け取る権利です。
キャピタルストラクチャ(資本構成)
キャピタルストラクチャというのは、キャッシュフローを受け取る権利の優先劣後関係のことです。資産の名称は、キャピタルストラクチャ上の地位を表示します。債権と呼ばれるものは最上位(優先)、株式とよばれるものは最下位(劣後)です。
キャッシュフローを稼ぎ出す力が上昇すれば、価値(=価格)は上昇する
企業の本来的な収益力が改善し、結果として配当が増えるならば、株価は上昇するでしょう。ビルを改修しテナント政策に工夫をこらせば、賃料収入は増え、ビル価格は上昇するでしょう。価格の上昇は、価値の上昇の結果であり、価値の上昇は、キャッシュフローを稼ぎ出す力の上昇の結果です。
資産運用の課題は、資産の持つ本来的なキャッシュフロー創出力を高めること
資産運用とは、資産の配分を工夫し、また各資産の中での収益性改善努力を通じて、資産から生まれるキャッシュフローの期待収入額を増やすことです。これが、投資の基本です。基本中の基本です。
キャッシュフローの量と質(安定性)
キャッシュフロー創出力には、二つの側面があります。キャッシュフローの量と質(安定性)です。質は予測可能性のことです。合理的に将来キャッシュフローを推計できる程度が、高ければ高いほど、資産の価値は高いのです。
創出力を高める三つの方法
原理的に、キャッシュフロー創出力を高めるには、三つの方向があります。第一に、事業の適時適切な選択と配分、第二に、事業キャッシュフローの質と量を高めるための積極的な関与、第三に、キャッシュフロー分配の権利に関する優先順位(キャピタルストラクチャ)の最適な選択、この三つです。
事業の選択
伝統的な考え方では、事業の選択は、銘柄選択(および、一部資産配分)の問題となります。ある事業に投資するという判断が先にあり、その後で、その事業のキャピタルストラクチャ選択(例えば、株式か社債か)がくるのか、伝統的資産選択(株式か社債か)が先にあって、その後で、どの事業に投資するのかという伝統的銘柄選択がくるのか、どちらが素直でしょうか。事業選択を捨象した「インデクス運用」は、どうしたら正当化されるでしょうか。
投資対象への積極的な関与
伝統的な考え方では、投資対象への積極的関与は、バリューアップ(不動産、プライベートエクイティ、アクティビズムなどにみられるもの)の問題となります。資本市場での売買を通じたリスク管理と、プライベートな関係性の中でのリスク管理と、どちらが有効でしょうか(11月10日の月例セミナ「非流動資産への投資の魅力」のテーマです)。
キャピタルストラクチャの選択
伝統的な考え方では、キャピタルストラクチャの選択は、資産配分の一部の問題です。最も劣後している株式に投資できる条件を徹底的に見極めないで、なぜ、株式投資ができるのでしょうか。
ポートフォリオ構築の方法論
資産配分の問題以前に、資産定義と資産選択という基本問題が先行しなければ、おかしなことになります。キャッシュフロー創出力を高めるという視点は、この基本的論点を整理するために、提供したものです。大雑把にいえば、キャッシュフローの、質の視点で資産定義し、量の視点で資産選択する、ということになるのではないでしょうか。
管理体制のあり方
伝統的な四資産配分(といわゆる「オルタナティブ」)を用いた管理体制には、その枠の中での改善余地よりも、枠自体を変えることによる改善余地のほうが、もはや大きいのではないでしょうか。
資産の前提となるのは、キャッシュフローを生み出す事業の仕組みです。有価証券や不動産などという具体的な資産は、その生み出された事業キャッシュフローの分配を受け取る権利のことです。投資は、「事業」への投資であって、「証券」への投資は、投資の便法です。
資産はキャッシュフローを受取る法律上の権利
例えば、不動産自体が投資対象なのではなくて、不動産が生み出す賃料収入が投資対象なのです。不動産の所有は、賃料収入を受け取る権利についての、法律上の対抗要件にすぎません。ですから、土地(上に何もない更地)は、投資対象ではないことになります。同様に、債券(債権)は、利息と元本償還金を受け取る権利、株式は、配当と清算時の残余財産を受け取る権利です。
キャピタルストラクチャ(資本構成)
キャピタルストラクチャというのは、キャッシュフローを受け取る権利の優先劣後関係のことです。資産の名称は、キャピタルストラクチャ上の地位を表示します。債権と呼ばれるものは最上位(優先)、株式とよばれるものは最下位(劣後)です。
キャッシュフローを稼ぎ出す力が上昇すれば、価値(=価格)は上昇する
企業の本来的な収益力が改善し、結果として配当が増えるならば、株価は上昇するでしょう。ビルを改修しテナント政策に工夫をこらせば、賃料収入は増え、ビル価格は上昇するでしょう。価格の上昇は、価値の上昇の結果であり、価値の上昇は、キャッシュフローを稼ぎ出す力の上昇の結果です。
資産運用の課題は、資産の持つ本来的なキャッシュフロー創出力を高めること
資産運用とは、資産の配分を工夫し、また各資産の中での収益性改善努力を通じて、資産から生まれるキャッシュフローの期待収入額を増やすことです。これが、投資の基本です。基本中の基本です。
キャッシュフローの量と質(安定性)
キャッシュフロー創出力には、二つの側面があります。キャッシュフローの量と質(安定性)です。質は予測可能性のことです。合理的に将来キャッシュフローを推計できる程度が、高ければ高いほど、資産の価値は高いのです。
創出力を高める三つの方法
原理的に、キャッシュフロー創出力を高めるには、三つの方向があります。第一に、事業の適時適切な選択と配分、第二に、事業キャッシュフローの質と量を高めるための積極的な関与、第三に、キャッシュフロー分配の権利に関する優先順位(キャピタルストラクチャ)の最適な選択、この三つです。
事業の選択
伝統的な考え方では、事業の選択は、銘柄選択(および、一部資産配分)の問題となります。ある事業に投資するという判断が先にあり、その後で、その事業のキャピタルストラクチャ選択(例えば、株式か社債か)がくるのか、伝統的資産選択(株式か社債か)が先にあって、その後で、どの事業に投資するのかという伝統的銘柄選択がくるのか、どちらが素直でしょうか。事業選択を捨象した「インデクス運用」は、どうしたら正当化されるでしょうか。
投資対象への積極的な関与
伝統的な考え方では、投資対象への積極的関与は、バリューアップ(不動産、プライベートエクイティ、アクティビズムなどにみられるもの)の問題となります。資本市場での売買を通じたリスク管理と、プライベートな関係性の中でのリスク管理と、どちらが有効でしょうか(11月10日の月例セミナ「非流動資産への投資の魅力」のテーマです)。
キャピタルストラクチャの選択
伝統的な考え方では、キャピタルストラクチャの選択は、資産配分の一部の問題です。最も劣後している株式に投資できる条件を徹底的に見極めないで、なぜ、株式投資ができるのでしょうか。
ポートフォリオ構築の方法論
資産配分の問題以前に、資産定義と資産選択という基本問題が先行しなければ、おかしなことになります。キャッシュフロー創出力を高めるという視点は、この基本的論点を整理するために、提供したものです。大雑把にいえば、キャッシュフローの、質の視点で資産定義し、量の視点で資産選択する、ということになるのではないでしょうか。
管理体制のあり方
伝統的な四資産配分(といわゆる「オルタナティブ」)を用いた管理体制には、その枠の中での改善余地よりも、枠自体を変えることによる改善余地のほうが、もはや大きいのではないでしょうか。
次回、2010年 第11回HC資産運用セミナーは『非流動資産への投資の魅力』です。
是非とも皆様のご参加をお待ちしております。
なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関するアンケート」の結果に関しましては、
「HCセミナー・アンケートレポート」にて公表予定です。
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