2010/11/10開催 HC資産運用セミナーvol.035 セミナーレポート
HCセミナー
《 セミナーのまとめ 》
パブリックな市場機能を前提にしたリスク管理の限界
市場型のリスク管理は、パブリックな市場での売却によるリスク管理(「嫌なら買うな、売れ」)が基本であって、その有効性は、市場の機能に依存します。市場が、一時的にもせよ、機能不全(売れない状態)に陥る可能性が大きくなるとき、つまり、市場型リスク管理の限界が認識されるとき、非市場型のリスク管理によるプライベートな投資の魅力が増します。
市場機能を支える要件
市場機能を支える基本要件は、流動性(低コストでの売買可能性)と情報の対称性の二つです。現在の高度化した市場では、おそらくは高度化しすぎたが故に、この二つの基本要件が、常時成立するとは限らなくなりました。背景には、機関化による投資行動の同質化が進行したことと、投資対象の属性の複雑化があります。市場機能万能論は、急激に、過去のものになろうとしています。
流動性のプレミアム
市場型リスク管理を行うためには、パブリックな市場で頻繁かつ低コストで取引される証券を中心にして、ポートフォリオを構成する必要があります。しかし、一般に、そのような証券は、流動性の低い(もしくは、ない)証券よりも割高です。このような流動性のプレミアムを払っているにもかかわらず、売れない場合があるとしたら、無駄です。そもそも、長期債務に裏付けられた資産の運用について、資産の全体に市場型リスク管理を適用しなければならないかどうかも疑問です。流動性を前提にしないプライベートなリスク管理の導入で、流動性のプレミアムを節約できる可能性は、大きいと考えられます。
流動性の意味の再考
流動性とは、現金化の可能性でしょうが、現金化は売却に限らず、むしろ、利息配当金と元本の回収によるのが本来の姿です。通常は、利息配当金等が予定額入れば、年金であれ、財団であれ、金融機関であれ、資産運用の目的は実現します。いわゆる非流動的資産でも、定期配当があり、元本価値の確保が図られる限り、資産運用の本来の目的としての流動性がある、といえるはずなのです。
プライベートな関係性の中での情報の対称性
建前はともかく、現実には、証券の発行体サイドと投資家サイドとの間で、情報の完全な対称性が成り立たない場合は、多いのです。一方で、プライベートな投資では、投資対象との間のプライベートな関係性に立脚したリスク管理が基本です。「売れない」というよりも、「売らない」という前提で、投資対象への積極的関与によって、リスクを管理します。その結果、プライベートな関係性の中だからこその、情報の対称性が実現するのです。
パブリックな市場の時価が常に妥当だとは限らない
時価の妥当性は、効率市場仮説を前提にし、情報の対称性に基づき、立場の異なる不特定多数の投資家が、頻繁かつ無コストに近い状態で取引する結果としてのみ、有効なのです。この理論的要請は、現在の資本市場では、完全には成り立ち得ません。だからといって、プライベートな関係性の中での資産査定の妥当性を担保することの困難性についても、論を待ちません。
パブリックとプライベートの境目
パブリックとプライベートとの間に、明確な境目があるわけではありません。パブリック企業へのプライベートな投資(PIPE、集中投資、アクティビズム・・・)もあり得ます。パブリック企業によるプライベートな投資(投資会社、コングロマリット・・・)は、むしろ、普通なことです。表面的な資産区分は、常に、資産運用の発展の阻害要因です。プライベートな投資は、本質的なリスク管理の方法論として、創造的に考えるべきことです。
プライベートな投資対象の多様性
プライベートな投資対象は、プライベート・エクイティに限りません。不動産などのアセットファイナンスから生まれる実物資産、インフラストラクチャ、貸出債権、など多様なものがあり得ます。
市場型のリスク管理は、パブリックな市場での売却によるリスク管理(「嫌なら買うな、売れ」)が基本であって、その有効性は、市場の機能に依存します。市場が、一時的にもせよ、機能不全(売れない状態)に陥る可能性が大きくなるとき、つまり、市場型リスク管理の限界が認識されるとき、非市場型のリスク管理によるプライベートな投資の魅力が増します。
市場機能を支える要件
市場機能を支える基本要件は、流動性(低コストでの売買可能性)と情報の対称性の二つです。現在の高度化した市場では、おそらくは高度化しすぎたが故に、この二つの基本要件が、常時成立するとは限らなくなりました。背景には、機関化による投資行動の同質化が進行したことと、投資対象の属性の複雑化があります。市場機能万能論は、急激に、過去のものになろうとしています。
流動性のプレミアム
市場型リスク管理を行うためには、パブリックな市場で頻繁かつ低コストで取引される証券を中心にして、ポートフォリオを構成する必要があります。しかし、一般に、そのような証券は、流動性の低い(もしくは、ない)証券よりも割高です。このような流動性のプレミアムを払っているにもかかわらず、売れない場合があるとしたら、無駄です。そもそも、長期債務に裏付けられた資産の運用について、資産の全体に市場型リスク管理を適用しなければならないかどうかも疑問です。流動性を前提にしないプライベートなリスク管理の導入で、流動性のプレミアムを節約できる可能性は、大きいと考えられます。
流動性の意味の再考
流動性とは、現金化の可能性でしょうが、現金化は売却に限らず、むしろ、利息配当金と元本の回収によるのが本来の姿です。通常は、利息配当金等が予定額入れば、年金であれ、財団であれ、金融機関であれ、資産運用の目的は実現します。いわゆる非流動的資産でも、定期配当があり、元本価値の確保が図られる限り、資産運用の本来の目的としての流動性がある、といえるはずなのです。
プライベートな関係性の中での情報の対称性
建前はともかく、現実には、証券の発行体サイドと投資家サイドとの間で、情報の完全な対称性が成り立たない場合は、多いのです。一方で、プライベートな投資では、投資対象との間のプライベートな関係性に立脚したリスク管理が基本です。「売れない」というよりも、「売らない」という前提で、投資対象への積極的関与によって、リスクを管理します。その結果、プライベートな関係性の中だからこその、情報の対称性が実現するのです。
パブリックな市場の時価が常に妥当だとは限らない
時価の妥当性は、効率市場仮説を前提にし、情報の対称性に基づき、立場の異なる不特定多数の投資家が、頻繁かつ無コストに近い状態で取引する結果としてのみ、有効なのです。この理論的要請は、現在の資本市場では、完全には成り立ち得ません。だからといって、プライベートな関係性の中での資産査定の妥当性を担保することの困難性についても、論を待ちません。
パブリックとプライベートの境目
パブリックとプライベートとの間に、明確な境目があるわけではありません。パブリック企業へのプライベートな投資(PIPE、集中投資、アクティビズム・・・)もあり得ます。パブリック企業によるプライベートな投資(投資会社、コングロマリット・・・)は、むしろ、普通なことです。表面的な資産区分は、常に、資産運用の発展の阻害要因です。プライベートな投資は、本質的なリスク管理の方法論として、創造的に考えるべきことです。
プライベートな投資対象の多様性
プライベートな投資対象は、プライベート・エクイティに限りません。不動産などのアセットファイナンスから生まれる実物資産、インフラストラクチャ、貸出債権、など多様なものがあり得ます。
次回、2010年 第12回HC資産運用セミナーは『「いい運用会社」とは』です。
是非とも皆様のご参加をお待ちしております。
なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関するアンケート」の結果に関しましては、
「HCセミナー・アンケートレポート」にて公表予定です。
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