2010/12/8開催 HC資産運用セミナーvol.036 セミナーレポート

HCセミナー
当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。

今回のセミナーには、総勢52名の方々にご参加頂き、誠にありがとうございました。

《 セミナーのまとめ 》

プロフェッショナリズム
運用の技術的な巧拙以前に、運用の腕前の良し悪しの判断以前に、運用組織の中にプロフェッショナル倫理が貫徹していることが、最低限の要件なのです。

運用手法の社会的必要性
運用会社が自己の運用手法として選択したものが、論理的に収益を生むべき、社会的必然性に裏打ちされたものであること、これが重要です。金融の社会的機能に対して忠実であって、社会的な必要性に裏打ちされている限り、収益の確実性は高くなります。

適正な利潤
運用手法は、資本市場の構造に照らし、適正な利益を追求する戦略でなければなりません。収益率の高さではなく、その「質」、即ち、確実性と反復継続性が、問題なのです。決して、他人の損失の下に利益をあげる戦略であってならない。そのような収益に持続可能性はあり得ません。

職人的な経験知
自己の投資手法を実践できるだけの、知識と経験の裏打ち、および市場での優位な地位が、運用者の経歴上、明らかでなければなりません。

つきと技術
運用者は、資産の本源的価値の変動と、市場要因による価格変動とを明確に区別できなくてはなりません。価値より低い価格での投資、投資対象の価値の上昇は、投資の技術に属するのでしょう。しかし、単なる価格の上昇は、多くの場合、つきにすぎないのかもしれません。

確信度の高さ
資産価値についての、自己の確立した評価基準をもたねばなりません。自己の定義する価値と、市場がつける価格との差に賭けることが資産運用の本質である以上、自己の価値観への確信度が不可欠なのです。確信度は、徹底した調査と経験からしか生まれません。同時に、顧客からの変わらぬ支持、顧客との信頼関係も重要です。

リスク(損失の可能性)の管理可能性についての認識
確信の反面として、リスクの管理可能性の判断について、厳格でなければなりません。確信度は、思い込みであってはならず、判断の偏向を排除できる、徹底した論理性と社会常識に裏打ちされない限り、危険なものとなります。社会常識、社会の必要性からの逸脱こそが、リスクであるとの、健全なる精神をもたねばならないのです。

倫理規範の組織的客観化
純粋に投資家の利益のためだけに行動する倫理規範は、組織的条件に客観化されて始めて意味をもちます。運用会社の所有構造、世代交代と事業の継承、投資家の利益との共通化(運用報酬体系と役職員報酬体系)、適切な規模、運用戦略に相応しい効率的組織、など重要な論点が多く、運用会社の評価の一番難しいところです。

経済的条件
簡単に解約しない友好的な顧客基盤と、顧客を選べるだけの名声は、不可欠です。確信度も、顧客の支持があって、はじめて貫けるものです。

難しい解約
運用会社を選ぶことで、運用が終わるのではなく、運用が始まるのです。運用委託後のモニタリングの方法が重要です。実際、採用よりも、はるかに難しいのが解約です。

解約の条件
難しい問題ですが、倫理規範と確信度を貫ける組織的条件の崩壊、確信度の揺らぎなどは、おそらくは、絶対的な解約事由です。

委託の実務
選択は重要ですが、選択して委託するという、実行の技術的問題も、同じく重要です。ファンドの利用など、効率的な工夫が必要です。

過去の実績
実績は、測定期間や測定の基準を変えると、実績自体が動いてしまいます。しかも、過去の実績の再現性については、なんら具体的な保証があるわけではありません。実績で選ぶのではなく、実績で確認するしかありません。

過去の実績の再現性
過去の実績の再現性についての保証を求めるならば、それは、プロフェッショナルを活かす組織的条件以外にはあり得ません。


次回、2011年 第1回HC資産運用セミナーは『頑張れ、日本株アクティブ運用!』です。
2011年も毎月、第2水曜日にHC資産運用セミナーを開催いたします。
是非とも皆様のご参加をお待ちしております。

なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関するアンケート」の結果に関しましては、
「HCセミナー・アンケートレポート」にて公表予定です。