2011/2/9開催 HC資産運用セミナーvol.038 セミナーレポート
HCセミナー
《 セミナーのまとめ 》
本源的収益
資産を所有することに必然的に付随してくる金融収益です。そもそも、債券・貸付金・預金等の金利、株式の配当、不動産の賃料などのように、利息配当金収入の期待値を内包しないようなものは、資産ではあり得ません。
本源的価値
本源的収益を前提にして資産の価格形成が行われている状態というのは、様々な資産が適正価格、即ち、価値そのもので、取引されている状態です。このときに、各資産の価値(本源的価値、あるいは適正価格)は、本源的収益の期待値の現在価値ということになります。
価値と価格
価値(本源的価値)と価格(市場時価)は一致しない場合が多いのです。理論は、価格の変化は、価値(市場参加者の評価の集積という意味での価値)の変化の反映であることを仮定していますが、現実は、市場の需給により勝手に価格変動することのほうが多いのです。
バリュー(value価値を下回る価格)
投資の世界では、バリューは価値そのものではなくて、価格と価値の差(価格を上回る価値の部分)のことです。そのような特別な意味をこめて、敢えて片仮名でバリューと呼ばれます。
バリュー投資
仮に適正価格(価値をそのまま体現した価格、いいかえれば、バリューがない価格)で資産を取得しても、投資収益はあります。それが本源的収益です。バリュー投資とは、適正価格を下回るところで投資をして、本源的収益を上回る追加的収益を挙げようとする試みです。
保守的運用としてのバリュー投資
バリュー投資は、本来は、価格が価値に対して割高になることまでを、想定するものではないのです。割安なとき、即ち、バリューのあるときにのみ投資し、バリューが解消してしまえば、配分をなくすか、本来の基本配分へ戻す、というのが基本です。
マージン・オブ・セイフティ(margin of safety 安全性の厚み)
価格が価値を下回る部分、即ち、バリュー部分が、価格の下落に対するクッションの役割を演じるという意味でも、バリュー投資は、保守的な投資といえます。
バリューの解消
バリューは自律的に解消する、と仮定するのが市場原理です。しかし、しかし、投資の収益率にとって決定的な要素は、時間です。時間を縮める働きをするのがカタリストです。投資家は、自律的なバリュー解消を待つよりも、積極的にカタリストの到来を要求する、あるいは要求すべきだと考えられてきたようです。
カタリスト(catalyst 触媒)
カタリストは、化学でいう触媒です。価格が価値に向かって動いていく、その価格の相対的上昇を化学反応に喩えた上で、その反応速度に影響する働きをするもの、を意味しています。
「万年割安」とバリュートラップ(value trap バリューの「罠」)
「万年割安」ということがあり得るのです。バリューがあるには違いないが、そのバリューが実現するまでの時間が読めない、つまり、カタリストが働かない状況があり得ます。このように、バリューのままで放置されることを、バリュートラップ(value trap バリューの「罠」)といいます。解消しないバリューは、見かけのバリューに過ぎないという意味で、まさに、罠であるわけです。
バリュー解消の道筋とカタリスト
バリューが生まれる原因を徹底的に考えることから、バリュー解消の道筋が見えてきます。要は、バリューになった原因を逆転させれば、バリューは解消するであろうと考えるのが、一番素直だからです。バリューになった原因を逆転させるきっかけがカタリストです。
グロースについて
価値自体の上昇をグロース(growth 成長)といいます。グロースを追求する株式運用は、バリュー運用と対を成すものです。しかし、バリューもグロースも、運用者の評価する価値が価格よりも高いことを前提とした運用であることは、同じです。違いは、価値評価におけるバリューの保守主義と、グロースの積極主義の差だけです。
日本の株式市場のバリュー
日本の株式市場には、バリューは、たくさんあるのでしょう。しかも、そのバリューが解消に向かう道筋についても、概ね、議論が尽きているのだと思っています。なのに、カタリストがない。カタリストがないのです。ここに、深刻な問題があります。
配当重視の投資戦略
一方で、バリューのままで何がいけないのか。これは、一考に値する問題です。バリューなものは配当利回りが高い場合が多いでしょう。高利回りを安定的に享受できるなら、それで十分なのではないか。バリューの解消、即ち価格の上昇は、あくまでも結果的に発生することが期待されるものであって、そのことが目的ではないのではないか。
いくらなんでも、確実に変革は進行する
カタリストを待ち望まない戦略は、結果として、カタリストを呼び込むのではないのか。そもそも、安定配当を継続できる会社は、良い会社です。良い会社は、適切な時期に適切な経営革新を行うはずなのではないか。企業の変革を促すような強い主張をもった投資、社会変革の視点に立脚した投資は、そのような自己変革に対して、建設的な助言として機能する、まさに変革の触媒(カタリスト)として機能するのではないか。
資産を所有することに必然的に付随してくる金融収益です。そもそも、債券・貸付金・預金等の金利、株式の配当、不動産の賃料などのように、利息配当金収入の期待値を内包しないようなものは、資産ではあり得ません。
本源的価値
本源的収益を前提にして資産の価格形成が行われている状態というのは、様々な資産が適正価格、即ち、価値そのもので、取引されている状態です。このときに、各資産の価値(本源的価値、あるいは適正価格)は、本源的収益の期待値の現在価値ということになります。
価値と価格
価値(本源的価値)と価格(市場時価)は一致しない場合が多いのです。理論は、価格の変化は、価値(市場参加者の評価の集積という意味での価値)の変化の反映であることを仮定していますが、現実は、市場の需給により勝手に価格変動することのほうが多いのです。
バリュー(value価値を下回る価格)
投資の世界では、バリューは価値そのものではなくて、価格と価値の差(価格を上回る価値の部分)のことです。そのような特別な意味をこめて、敢えて片仮名でバリューと呼ばれます。
バリュー投資
仮に適正価格(価値をそのまま体現した価格、いいかえれば、バリューがない価格)で資産を取得しても、投資収益はあります。それが本源的収益です。バリュー投資とは、適正価格を下回るところで投資をして、本源的収益を上回る追加的収益を挙げようとする試みです。
保守的運用としてのバリュー投資
バリュー投資は、本来は、価格が価値に対して割高になることまでを、想定するものではないのです。割安なとき、即ち、バリューのあるときにのみ投資し、バリューが解消してしまえば、配分をなくすか、本来の基本配分へ戻す、というのが基本です。
マージン・オブ・セイフティ(margin of safety 安全性の厚み)
価格が価値を下回る部分、即ち、バリュー部分が、価格の下落に対するクッションの役割を演じるという意味でも、バリュー投資は、保守的な投資といえます。
バリューの解消
バリューは自律的に解消する、と仮定するのが市場原理です。しかし、しかし、投資の収益率にとって決定的な要素は、時間です。時間を縮める働きをするのがカタリストです。投資家は、自律的なバリュー解消を待つよりも、積極的にカタリストの到来を要求する、あるいは要求すべきだと考えられてきたようです。
カタリスト(catalyst 触媒)
カタリストは、化学でいう触媒です。価格が価値に向かって動いていく、その価格の相対的上昇を化学反応に喩えた上で、その反応速度に影響する働きをするもの、を意味しています。
「万年割安」とバリュートラップ(value trap バリューの「罠」)
「万年割安」ということがあり得るのです。バリューがあるには違いないが、そのバリューが実現するまでの時間が読めない、つまり、カタリストが働かない状況があり得ます。このように、バリューのままで放置されることを、バリュートラップ(value trap バリューの「罠」)といいます。解消しないバリューは、見かけのバリューに過ぎないという意味で、まさに、罠であるわけです。
バリュー解消の道筋とカタリスト
バリューが生まれる原因を徹底的に考えることから、バリュー解消の道筋が見えてきます。要は、バリューになった原因を逆転させれば、バリューは解消するであろうと考えるのが、一番素直だからです。バリューになった原因を逆転させるきっかけがカタリストです。
グロースについて
価値自体の上昇をグロース(growth 成長)といいます。グロースを追求する株式運用は、バリュー運用と対を成すものです。しかし、バリューもグロースも、運用者の評価する価値が価格よりも高いことを前提とした運用であることは、同じです。違いは、価値評価におけるバリューの保守主義と、グロースの積極主義の差だけです。
日本の株式市場のバリュー
日本の株式市場には、バリューは、たくさんあるのでしょう。しかも、そのバリューが解消に向かう道筋についても、概ね、議論が尽きているのだと思っています。なのに、カタリストがない。カタリストがないのです。ここに、深刻な問題があります。
配当重視の投資戦略
一方で、バリューのままで何がいけないのか。これは、一考に値する問題です。バリューなものは配当利回りが高い場合が多いでしょう。高利回りを安定的に享受できるなら、それで十分なのではないか。バリューの解消、即ち価格の上昇は、あくまでも結果的に発生することが期待されるものであって、そのことが目的ではないのではないか。
いくらなんでも、確実に変革は進行する
カタリストを待ち望まない戦略は、結果として、カタリストを呼び込むのではないのか。そもそも、安定配当を継続できる会社は、良い会社です。良い会社は、適切な時期に適切な経営革新を行うはずなのではないか。企業の変革を促すような強い主張をもった投資、社会変革の視点に立脚した投資は、そのような自己変革に対して、建設的な助言として機能する、まさに変革の触媒(カタリスト)として機能するのではないか。
次回、2011年 第3回HC資産運用セミナーは『クレジット投資の魅力』です。
なお、本セミナーで実施致しました「セミナーテーマに関するアンケート」の結果に関しましては、
「HCセミナー・アンケートレポート」にて公表予定です。
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