2012/12/3開催 年金資産運用実践講座 第3回 セミナーレポート
HCセミナー
資産をどう配分するか、どう分類するか再考
現在、一般に言われている伝統的四資産について、改めて分類と配分を考えたいと思います。もともと、四資産と言われている日本株式、日本債券、海外株式、海外債券という分類以外にも適切な方法があるのではないでしょうか。
弊社ではポートフォリオの国別配分を、お客様の運用報告書に載せています。しかし、この分類では、正確に実態を示していない場合があります。たとえば、ロンドン上場の多国籍企業に投資しているファンドがあるとします。このファンドの国別配分としてはイギリスの割合が多くなりますが、個々の企業の売り上げは、イギリスのみに偏っていません。むしろ、分解すると、売り上げ構成は各国のGDP成長率に比例しているのではないでしょうか。このように、ただ上場している国で分類をすることは、実態を反映しない結果となります。こうしたことからも、分類方法を本質から考え直す必要があるのではないでしょうか。
中国、または他の新興国へ投資したいときに、敢えて新興国の株を買うのは、一般的にリスクが高いといえるでしょうが、先進国の株で中国の成長をとらえようとすれば、中国へ投資する、という目的が実現可能になります。このように、どんな目的で、どのような資産の持ち方をするのかを考えることが資産運用なのです。
6つの基本軸
資産分類には6つの基本軸があると思います。1)キャッシュフローの源泉の軸、2)資本構成の軸、3)地域(国と世界)の軸、4)流動性(パブリックかプライベート)の軸、5)常態における金融機能と非常時の金融機能、(6)オルタナティブの分解です。
キャッシュフローの源泉の軸は、キャッシュフローの源泉に応じて、どの事業(業種)に投資するか分類することです。次に資本構成の軸では、どの資本構成(株か債券か)に投資するか分類することです。地域(国と世界)の軸では、投資対象国の事情を理解し、キャッシュフローの源泉がどこの国なのか、どこの通貨なのか考えることです。流動性(パブリックかプライベート)の軸では、リスク管理の手法によって分類が異なります。常態と非常時の軸は、キャッシュフローが読み易い常態と、キャッシュフローが読みにくい非常時によって分類できます。オルタナティブの分解も、キャッシュフロー予測の確実性を考慮することで分類することが出来ます。これらの6つの軸にそって分類、配分を再考しますと、従来の分類方法にはない視点で資産分類を考えることが出来ると思います。
伝統的「四資産配分」の再構成
例えば、国内とグローバルという切り口で資産分類を考えるならば、グローバルの中に日本も一部含まれていますので、配分が変わってきます。グローバル株式の一部として日本株式を分類するのか、日本株式単体で分類するのかということです。このように分類が変われば、委託の構造(運用会社に対する期待)も変わることになります。
伝統的資産配分に替わる資産選択の再構築
資産の前提となるのは、キャッシュフローを生み出す事業の仕組みです。そして資産分類とは、キャッシュフローの源泉の違いに応じて分類することです。投資とは、こうしたキャッシュフローを生み出す本源的な力、つまり価値を内包した資産を保有することに他なりません。乳牛と牛乳の古い格言にも見られるように、まずはいい乳牛を買う、すなわちキャッシュフローの源泉の厳選が必要となります。次に、飼育技術の改善が必要になってきます。これはキャッシュフローの量と質を高めることであり、そのためには、保守主義の原則が重要となるのです。
ここでいう保守主義とは、①キャッシュフローの分配の地位の選択(資本構成選択)を厳格な条件のもとで行い、②事業キャッシュフローの源泉を厳選し、厳選した中で分散を行い、③可能な限り積極的な経営関与を行うことです。保守主義を実践することで、結果的に、キャッシュフローの安定が図られつつ、量の拡大が実現していくと考えられるのです。
現在、マーケットの将来はわかりづらいですが、分からないから何もしないのではなく、分かる範囲で保守主義を高めることで、キャッシュフローを高めていく、つまり資産価値を高めていくことは十分可能であると考えています。
当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。
詳細レポートをご希望の方は、下記アドレスまでお気軽にお申し付けください。
HCアセットマネジメント運用部:research@hcax.com
セミナーレポートは以上になります。
現在、一般に言われている伝統的四資産について、改めて分類と配分を考えたいと思います。もともと、四資産と言われている日本株式、日本債券、海外株式、海外債券という分類以外にも適切な方法があるのではないでしょうか。
弊社ではポートフォリオの国別配分を、お客様の運用報告書に載せています。しかし、この分類では、正確に実態を示していない場合があります。たとえば、ロンドン上場の多国籍企業に投資しているファンドがあるとします。このファンドの国別配分としてはイギリスの割合が多くなりますが、個々の企業の売り上げは、イギリスのみに偏っていません。むしろ、分解すると、売り上げ構成は各国のGDP成長率に比例しているのではないでしょうか。このように、ただ上場している国で分類をすることは、実態を反映しない結果となります。こうしたことからも、分類方法を本質から考え直す必要があるのではないでしょうか。
中国、または他の新興国へ投資したいときに、敢えて新興国の株を買うのは、一般的にリスクが高いといえるでしょうが、先進国の株で中国の成長をとらえようとすれば、中国へ投資する、という目的が実現可能になります。このように、どんな目的で、どのような資産の持ち方をするのかを考えることが資産運用なのです。
6つの基本軸
資産分類には6つの基本軸があると思います。1)キャッシュフローの源泉の軸、2)資本構成の軸、3)地域(国と世界)の軸、4)流動性(パブリックかプライベート)の軸、5)常態における金融機能と非常時の金融機能、(6)オルタナティブの分解です。
キャッシュフローの源泉の軸は、キャッシュフローの源泉に応じて、どの事業(業種)に投資するか分類することです。次に資本構成の軸では、どの資本構成(株か債券か)に投資するか分類することです。地域(国と世界)の軸では、投資対象国の事情を理解し、キャッシュフローの源泉がどこの国なのか、どこの通貨なのか考えることです。流動性(パブリックかプライベート)の軸では、リスク管理の手法によって分類が異なります。常態と非常時の軸は、キャッシュフローが読み易い常態と、キャッシュフローが読みにくい非常時によって分類できます。オルタナティブの分解も、キャッシュフロー予測の確実性を考慮することで分類することが出来ます。これらの6つの軸にそって分類、配分を再考しますと、従来の分類方法にはない視点で資産分類を考えることが出来ると思います。
伝統的「四資産配分」の再構成
例えば、国内とグローバルという切り口で資産分類を考えるならば、グローバルの中に日本も一部含まれていますので、配分が変わってきます。グローバル株式の一部として日本株式を分類するのか、日本株式単体で分類するのかということです。このように分類が変われば、委託の構造(運用会社に対する期待)も変わることになります。
伝統的資産配分に替わる資産選択の再構築
資産の前提となるのは、キャッシュフローを生み出す事業の仕組みです。そして資産分類とは、キャッシュフローの源泉の違いに応じて分類することです。投資とは、こうしたキャッシュフローを生み出す本源的な力、つまり価値を内包した資産を保有することに他なりません。乳牛と牛乳の古い格言にも見られるように、まずはいい乳牛を買う、すなわちキャッシュフローの源泉の厳選が必要となります。次に、飼育技術の改善が必要になってきます。これはキャッシュフローの量と質を高めることであり、そのためには、保守主義の原則が重要となるのです。
ここでいう保守主義とは、①キャッシュフローの分配の地位の選択(資本構成選択)を厳格な条件のもとで行い、②事業キャッシュフローの源泉を厳選し、厳選した中で分散を行い、③可能な限り積極的な経営関与を行うことです。保守主義を実践することで、結果的に、キャッシュフローの安定が図られつつ、量の拡大が実現していくと考えられるのです。
現在、マーケットの将来はわかりづらいですが、分からないから何もしないのではなく、分かる範囲で保守主義を高めることで、キャッシュフローを高めていく、つまり資産価値を高めていくことは十分可能であると考えています。
(文責:大橋理瑛/金田明)
当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。
詳細レポートをご希望の方は、下記アドレスまでお気軽にお申し付けください。
HCアセットマネジメント運用部:research@hcax.com
セミナーレポートは以上になります。
« prev | next » |