2013/4/9開催 「産業金融フォーラム」レポート(3)―パネルディスカッション②―

HCセミナー


 パネルディスカッション②では、経済産業省地域経済産業政策課長・岡田江平氏、農林漁業成長産業化支援機構執行役員・坂本忠弘氏、帯広信用金庫理事長・増田正二氏、広島県知事・湯﨑英彦氏が登壇。日頃紹介されない各地域での取り組み、官主導での施策などについて “官” 側と地方の現場、双方の意見が交わされるディスカッションとなりました。

■パネリスト(写真左から)
・経済産業省 地域経済産業政策課長 岡田江平氏
・農林漁業成長産業化支援機構(通称A-FIVE-J) 執行役員 坂本忠弘氏 
・帯広信用金庫 理事長 増田正二氏
・広島県知事 湯﨑英彦氏
・(コーディネーター) HCアセットマネジメント㈱ 森本紀行 

◎レポート(1)基調講演のレポートはこちら(2)パネルディスカッション①のレポートはこちら




経済産業省 地域経済産業政策課長
岡田江平氏:


 安倍政権のテーマのひとつ、“地域活性化”の推進が地域経済産業政策課の役割です。リスクマネー供給側と事業者側の間に、“資金と案件”どちらが問題かという議論がありますが、まだまだ事業アイデアは不足していると思われます。金融機関からすれば、ある程度立ち上った事業でないと出資は難しい。そのため直接金融の活用(ファンド)が重要ですが、日本では未だ、支援としての公的資金投入が必要な段階と考えています。


農林漁業成長産業化支援機構(通称A-FIVE-J)
執行役員 坂本忠弘氏:


 一次産業の市場規模は10兆円を切る一方、一次関連の二次・三次産業を含めると100兆円規模です。農林漁業成長産業化支援機構の設立趣旨は、補助金等中心の構造変革を目指したファンドの導入です。事業計画立案や一次と二・三次産業とのマッチングも行います。投資(支援)基準のポイントは、農林漁業者の主体性の尊重、対等な関係の構築です。バリューチェーンへの支援が大切と考えています。


帯広信用金庫 理事長
増田正二氏:


 地方にとって、成長資本を受け入れるのは時期尚早、夜明け前といったところでしょうか。信用金庫の役割は地域限定の共同型。仲介・決済機能に加えて、多様な機能強化を図ることが課題です。帯広信用金庫では、与えられたものを最大限に活かすという観点から、「とかち酒文化再現プロジェクト」というモデル事業を後押ししました。自立の意識やものづくりの機運が育ってきたなか、地方の取り組みにおける今後の指針になればと期待しています。


広島県知事
湯﨑英彦氏:


 人口減少に伴う医療・教育等のインフラ維持負担増やコミュニティの崩壊は、地域や日本の問題です。知識集約事業で付加価値を生むこと=イノベーションが課題です。広島県では、県の取り組みとして、一定規模の企業を更に成長させるよう徹底支援を行っています。事業案件も資金もあります。問題は実行力の有無です。与件をどう活かすかが大切なのです。



 地方への期待が高まる昨今、地域産業連関の視点は今や欠かせないものとなりました。現在、地域金融機関、県政、および国政と、様々な立場・視点で懸命な取り組みが行われている他、新たな資金供給形態であるファンド投資も注目を集め始めています。成長機会としての投資機会は、これらの多様な資本構成の取り組みの中に見出せると言えるでしょう。「産業の成長を金融面で支援する」という投資の本質にこそ経済成長の鍵があることを、我々は改めて認識しなければなりません。

(文責:HCアセットマネジメント株式会社)


◎レポート(1)基調講演のレポートはこちら(2)パネルディスカッション①のレポートはこちら





■セミナーで実施したアンケートの集計結果


Q1 「官民ファンド」の経済成長戦略における機能について、どのようにお考えでしょうか。一番近いものを、一つだけお選びください。

<クリックして拡大>
1. 大いに期待する
2. 期待する
3. 期待できない
4. 弊害のほうが大きい
5. 無回答

                                                                                                   
                 

Q2 経済成長戦略と成長資本の調達の関係について、何が重要だとお考えでしょうか。一番近いものを、一つだけお選びください。


<クリックして拡大>

1. 銀行等に対する規制改革等により、積極的に融資しやすい環境を作る
2. 資本市場の整備を徹底的に進める
3. 海外資本の導入を進める
4. 税制改革等により、富裕層等の国内資本の蓄積を進める
5. 年金等の運用改革を進める
6. 「官民ファンド」のように、政府系資金の投入を行う
7. 無回答




セミナーレポートは以上になります。