2014年3月12日(水)開催 HC資産運用セミナーvol.075「資産配分から投資収益源泉の選択による機能配分へ」セミナーレポート
HCセミナー
■動画ダイジェスト
GPIF (年金積立金管理運用独立行政法人)の外部諮問会議である運用委員会の議案と議事録がウェブで公開されていますが、その中で、リスクの許容度を上げたらリターンが上がると言った意見が延々と述べられている一方、リスクの許容度からは投資方針は決定出来ず、リスクの検証は必要だが、そこからは答えは出てこないことを明確に官僚が答弁していることに驚かされます。まさに10年来、こういった場で主張して来たことを、官僚が述べる時代になって来ています。
GPIFが先月日本政策投資銀行とOMERS (加オンタリオ州公務員年金基金)とのインフラ投資に関する共同プロジェクトを発表しました。OMERSでは資産区分ではなく、まずプライベート(非公開、相対のもの)か、パブリック(公開、市場取引のもの)かに区分しています。OMERSはプライベート資産に対する配分について2017年を目途に現状の40%から47%に引き上げる方針を示しており、長期的に高いインカムが期待される予測可能なキャッシュフロー生む資産を持つことを重視しています。 GPIFの公表されている投資方針にはインフラの「イ」の字もありませんが、今回のインフラ投資を「安定したインカムを生む」資産として位置付け、ポートフォリオ上では「外国債券」に分類しました。
年金運用においては、これまで資産配分に関する不毛な議論が長年にわたって続けられて来ましたが、アベノミクスを背景に急激に変化して来ています。年金運用にふさわしい資産属性の定義が始まっています。GPIFは12%を外国株に配分していますが、これを日本株に振り向けて日本企業の企業統治を変えて行くべきだとの議論が出てきていますが、もし日本株が株式として投資できる属性を備えていないのであれば、日本株は逆に売るべきです。株か債券かの議論ではなく、その属性の問題が議論されるべきなのです。
予測可能なキャッシュフローを生む資産は、2つに分類することが出来ます。債券は”interest bearing asset”(決まった利息が生じる資産)、インフラは”income generating asset”(インカムを生み出す資産)として、その違いはインカムだけでなく、インフレ耐性+アルファをも生み出すことができるかにあります。株式は後者に分類されますが、”alpha generating asset”としてアルファ創出能力が重要視され、投資価値が高いと考えられます。
OMERSのパブリックな投資に関する考え方では、1.悪いものは買わない、2.よいものを安く買う、3.よいものが更に安くなったら、もっと買う、と言う方針を採用している様ですが、戦略を策定する際は資産配分そのものより、収益源泉を選択し、一時的な価格変動が本源的価値の変動に起因するものかを見極め、投資機会を見いだせるかが重要となります。 一律に株価が下がった際に、どういった条件を充足したときに株価が戻るか、そのカタリストを見極め、一時的な変動に過ぎないと判断されれば投資機会となります。一方、説明がつかないものには投資出来ません。
資産配分においては、運用能力や保守主義で上限は決まって来ると考えられますが、分からないものはやらないことも重要です。
以上
(文責:峯岸・佐藤)
当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。
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HCアセットマネジメント運用部:research@hcax.com
■セミナーで実施したアンケートの集計結果
Q1「国内債券・外国債券・国内株式・外国株式」という四資産分類は、次のどちらの歴史的経緯から生まれたとお考えでしょうか。どちらか近いほうをお選びください。
1.まず、債券と株式に二分割し、次いで、それぞれを国内と外国に分けた。
2.まず、国内と外国に二分割し、次いで、それぞれを債券と株式に分けた。
Q2 「国内債券・外国債券・国内株式・外国株式」という四資産分類は、次のどちらの理論的順序で行われるべきお考えでしょうか。どちらか近いほうをお選びください。
1. まず、債券と株式に二分割し、次いで、それぞれを国内と外国に分ける。
2. まず、国内と外国に二分割し、次いで、それぞれを債券と株式に分ける。
2.まず、国内と外国に二分割し、次いで、それぞれを債券と株式に分けた。
Q2 「国内債券・外国債券・国内株式・外国株式」という四資産分類は、次のどちらの理論的順序で行われるべきお考えでしょうか。どちらか近いほうをお選びください。
1. まず、債券と株式に二分割し、次いで、それぞれを国内と外国に分ける。
2. まず、国内と外国に二分割し、次いで、それぞれを債券と株式に分ける。
Q3 「仮にオルタナティブというような自由な枠を設けずに、全ての資産を「債券・外国債券・株式・外国株式」という四資産分類に振り分けるとしたら、例えば、国内株式のロングショート戦略は、どう分類されるでしょうか。どちらか近いほうをお選びください。
1. 債券代替として、国内債券。
2. 株式には違いないので、国内株式。
3. 無回答
2. 株式には違いないので、国内株式。
3. 無回答
Q4 「同様に、為替をヘッジした外国債券は、どう分類されるでしょうか。どちらか近いほうをお選びください。
1. 債券代替として、国内債券。
2. 外国債券には違いないので、外国債券。
2. 外国債券には違いないので、外国債券。
Q5 「長期的資産配分の長期とは、どういう意味でしょうか。どちらか近いほうをお選びください。
1. 一度決めた資産配分は長期間変えない(短期的には変えないので、結果的に不変)。
2. 長期の視点で変えるべきときは変える(短期的に変える意図はなくとも、結果的に変動)。
2. 長期の視点で変えるべきときは変える(短期的に変える意図はなくとも、結果的に変動)。
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