2014/10/29開催「第2回産業金融フォーラム」レポート(1)第1部・基調講演
HCセミナー

松永 明 氏 経済産業省 大臣官房審議官(経済産業政策局担当)
現在、経済産業省はグローバル化や人口減少といった内外の構造変化の中で、中期的な好循環構造を作り出すために日本経済を「グローバル経済圏」と「ローカル経済圏」の2つに区分し、それぞれの課題と処方箋について、「一国二制度」的なアプローチで検討を進めている。今回は、特に前者についてグローバルな競争下で、金融との関わりの中で我が国産業の収益力をいかに高めていくかを論じたい。

(1) 現在の我が国産業における問題点

(2) 新たな価値創造パターン

(a) グローバルニッチトップ型:高い技術力を活かし、「限定的」な専門事業分野において世界市場で高いシェアを獲得(例:村田製作所、堀場製作所等)。
(b) 開発・生産分離型:競争優位性の高い工程に特化し、生産は他に委託して効率化を図る(例:Qualcomm等)。
(c) ソリューション型:単に製造販売して収益を挙げるのではなく、その後のアフターサービスまで提供することで顧客を囲い込み、長期安定的な収益を獲得(例:コマツ製作所等)。
(d) マーケティング主導型:BtoC分野で製販一体又は連携によって、サプライチェーンに消費データを迅速にフィードバックすることによって、製品、価格支配力、サプライチェーンの効率化を実現(例:ユニクロ、GAP等)。
(e) ファンド型:自社内での技術開発にこだわらず、技術力と収益力を持つ他社の事業の買収等、事業ポートフォリオを最適化し、規模と収益双方での成長を実現(例:メガファーマ等)。
(f) プラットフォーム型:Googleのように、バリューチェーンの中で模倣できない基幹的なサービスを独占的に提供する一方、周辺サービスへの他社の参入・競争を促進することで、基幹的サービスの価値を向上根幹の収益を継続的に獲得。
上述が全てではないが我が国企業の収益力の向上を図る上では、このような「価値創造のパターン」に着目した取組みが求められている。ビジネスモデルの転換と「稼ぐ力」の向上には、企業自らの大胆な経営革新が必要であるが、同時に、収益性の向上は資本コストを意識することと表裏一体であることに鑑みれば、こうした企業の取組みを支援し適正なガバナンスを機能させる産業金融の役割も重要である。
(3) 変革の時代に向けた新たな技術潮流

(4) 我が国産業発展のために

一方で、グローバル競争力の拡充も重点課題だか、少子高齢化・人口減少の進展によって、地域の持続可能性は危機的状況にある日本経済において、地域ガバナンスの改革を通じて、より利便性の高いサービスを消費者へ供給していくことが必要であり、産業の新陳代謝が詳らかになり事業障壁に対してイノベーションが起きる環境を整備していく必要がある。
このようにローカル経済圏には人口減少に直面する地域経済の持続可能性をいかに確保していくか、グローバル経済圏には我が国産業の収益力をいかに高めていくか、を躬行実践する上で我が国産業が如何に稼ぐ力を産業と金融の一体的な改革の中で実現するかが求められる時代になっているのではないだろうか。
以上
(文責:HCアセットマネジメント株式会社)
◎レポート(2) 第1部 パネルディスカッション「創造が革新を生み、革新が成長を生む」はこちら≫
« prev | next » |