2014年12月10日(水)開催 HC資産運用セミナーvol.084『「いい運用会社」とは』セミナーレポート
HCセミナー
■動画ダイジェスト
いい運用会社とは、「成績がいい会社」とも言えません。将来に対して何を期待するかということも考える必要があります。
個社の発展によって産業は発展していくものでしょうが、投資顧問業界について言えば、産業自体は発展していても、個社が発展しているかどうかは疑問です。日本は投資顧問業者が少ないほうですが、世界には1万社を超える業者がいます。それだけ多くとも、ずっと同じ事をやっているとなくなっていくでしょう。人の入れ替わりにより、運用手法も変わっていくでしょう。今後は昔のような稚拙な買収は減り、屋号は変わらずオーナーが変わるということになるでしょう。投資顧問会社を買うということは、人を買うということと同じことです。買収があった時に人が辞める可能性もあるでしょう。事業の売却先は必ずしも一番高い値段をつけるところではないですが、顧客にとっても従業員にとってもよい売却先となると大変に難しい。値段も結局は分かりません。
運用会社ですが、創業直後に投資をしたいですね。10年経って有名な会社になりました。小さなブティックが大きな運用会社になっている、これが理想でしょう。運用会社には人しかいません。組織は自然に大きくなり、自然に変わっていきます。運用の一貫性という問題がありますが、一貫していいものかどうかも疑問です。何を以て運用の一貫性というのでしょうか。何を変えていいか、何を残すべきかを判断するのは難しい話です。新しくなった「金融庁モニタリング方針」により、金融庁が各運用会社に一貫性を質問するとよいと思います。同じ哲学を一貫している会社はなかなかありません。出会えません。何故なら同じ哲学を一貫している会社は新規顧客をとらないからです。例えば集中株運用。銘柄増えない、人増えない、年はとる、となるとなくなるか、哲学の違う売却先への売却となるでしょう。
年金基金の運用会社選定における規律ですが、運用会社を選択するノウハウが育ってはいないのではないでしょうか。フィデューシャリー・デューティーの代表は医師、弁護士でしょうが、事業野心、「野望」のある医師、弁護士は何となく嫌でしょう。ERISA法の問題ですが、何故米国でコンサルが生まれたか。フィデューシャリー・デューティーは「専らに顧客の為」だけでなければなりません。とすると、原理的に運用会社は営業行為ができないことになります。顧客開拓は「専らに自己の為」となってしまうからです。年金基金は自己の経費で運用会社を探す必要があります。故にコンサルを採用して探してもらう。運用会社は自ら探すものです。選ぶものではありません。
確信度を固める為にリサーチをする。リサーチを最初にいくらしたところで確信は生まれないと思います。確信度は経験と分析の事実に基づいたものでしょう。リスク管理手法の1つのVaRは、心理的な弱さをそのまま数値化しています。5年のVaR。ちょうどリーマンショック後5年。VaRがよくなる。じゃあ買おう。同じ証券で同じリスクであるはずなのにこの判断はどうでしょうか。VaRを引き続き使うのなら、確信度を持ってリーマンショック時のデータを抜け、という話になります。このようなリスク管理では運用を無責任化する方向に行きます。
また、売手のことを考えなければバリュー投資は失敗します。自分の価値でやるからバリュートラップに陥ります。何故他人がその価格で売るのか、他人の視点に立つことができてバリュー投資はできるでしょう。
例えば世界的なエネルギーファンドでは、そういうレベルでの高度なリスク管理ができています。
ハイイールド専門で米国全体のクレジットが分かりますか。ディストレスト、ダイレクトレンティング等全て分析をしていないと、相対的な判断はできないでしょう。
1人で生きていけるような「プロ」が育っていかなければ業界自体が発展しません。預かり資産何百億円かでスタートできるようなプロにならなければ逆に駄目です。自動車業界や航空業界などでも、スキルのある人間は産業の中で居場所を必ず見つけられると思います。「野望」に委託するのではなく、「プロ」に委託する企業年金が、フィデューシャリー・デューティーを基に増える必要があります。
以上
(文責:広川)
当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。
■セミナーで実施したアンケートの集計結果
Q1 運用会社を選定するための決め手とすべきなのは、どの要素でしょうか。 決定的要素とお考えのものを一つだけお選びください。
1. 過去の運用実績
2. 運用戦略の合理性や、それを支える組織人材の質
3. 窓口となる担当者
4. 運用会社の知名度(規模、歴史等)
5. コンサルタント等の推薦
6. 口コミ等の評判
7. その他
2. 運用戦略の合理性や、それを支える組織人材の質
3. 窓口となる担当者
4. 運用会社の知名度(規模、歴史等)
5. コンサルタント等の推薦
6. 口コミ等の評判
7. その他
Q2 現実に、運用会社を選定するための決め手となっているのは、どの要素だとお感じでしょうか。 決定的要素と見られるものを一つだけお選びください。
1. 過去の運用実績
2. 運用戦略の合理性や、それを支える組織人材の質
3. 窓口となる担当者
4. 運用会社の知名度(規模、歴史等)
5. コンサルタント等の推薦
6. 口コミ等の評判
7. その他
8. 無回答
2. 運用戦略の合理性や、それを支える組織人材の質
3. 窓口となる担当者
4. 運用会社の知名度(規模、歴史等)
5. コンサルタント等の推薦
6. 口コミ等の評判
7. その他
8. 無回答
Q3 一定の評価期間を経過した後で運用成績が悪いときに、以下のそれぞれの場合ごとに、どのような対応をとるべきだとお考えですか。決定的要素とお考えのものを一つだけお選びください。
Q3-A 運用方法・組織・人材に基本的変化が見られないとき。
1. 実績は実績なので、解約もしくは減額をする。
2. 何もせずに様子をみる。
3. 市場環境に照らした運用戦略の妥当性を再検証する。
4. 運用が一貫している以上、将来への回復が見込めるので、むしろ積極的に増額する。
5. その他
6. 無回答
1. 実績は実績なので、解約もしくは減額をする。
2. 何もせずに様子をみる。
3. 市場環境に照らした運用戦略の妥当性を再検証する。
4. 運用が一貫している以上、将来への回復が見込めるので、むしろ積極的に増額する。
5. その他
6. 無回答
Q3 一定の評価期間を経過した後で運用成績が悪いときに、以下のそれぞれの場合ごとに、どのような対応をとるべきだとお考えですか。決定的要素とお考えのものを一つだけお選びください。
Q3-B 運用方法・組織・人材などについて、積極的な改善の努力を しているとみられるとき。
1. 実績は実績なので、解約もしくは減額をする。
2. 何もせずに様子をみる。
3. 市場環境に照らした運用戦略の妥当性を再検証する。
4. 運用が一貫している以上、将来への回復が見込めるので、むしろ積極的に増額する。
5. その他
1. 実績は実績なので、解約もしくは減額をする。
2. 何もせずに様子をみる。
3. 市場環境に照らした運用戦略の妥当性を再検証する。
4. 運用が一貫している以上、将来への回復が見込めるので、むしろ積極的に増額する。
5. その他
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