2015年11月17日(火)開催 HC資産運用セミナーvol.095『インカム戦略とインカムプラス戦略』セミナーレポート
HCセミナー
■動画ダイジェスト
【インカムとは何か】
資産とはキャッシュフロー創出の源泉であり、投資とはキャッシュフローへ参画する行為なので、本来の資産運用はキャッシュフローの源泉を厳選することから始めるべきである。生み出されたキャッシュフロー(利息配当金)を総称してインカムと呼ぶ。インカムは可変的であり、インカムが増加(減少)すれば、その本源的価値の上昇(低下)に合わせて価格も上昇(下落)する。
酪農を例に挙げると、乳牛はキャッシュフローの源泉である。乳牛の価格は、牛乳の売却代金から飼育費を差し引いたもの(ネットの事業キャッシュフロー)の現在価値である。ところが牛乳価格が安定しないため、売却代金が飼育費を下回る危険が付き纏う。キャッシュフローを生み出すために良質の乳牛を買い、飼育技術を向上させるのは勿論のこと、資金調達の仕組みを工夫する必要がある。これに投資する側は、受け入れるリスクの種類・程度に応じてインカムが増減する。
【保守主義の原則とインカム戦略】
インカムの質(予測可能性の高さ)を追求するからこそ、厳格な条件を満たしたキャッシュフローの源泉を探し当てることが出来、結果としてインカムの量も得られる。これが保守主義の原則に基づく投資である。
HCのインカム戦略には保守主義の原則が徹底している。原則として、株価等の価格変動をキャッシュフローの源泉とは考えず、世界の債券市場における構造の歪みなどが作り出す非効率を投資機会として注目する。更に、管理不可能な市場リスクの影響を吸収できる程度のインカムを安定的に獲得するため、高度な専門家を厳選して起用し、分散方法にも工夫を凝らす。
【インカムプラス戦略】
インカムの質を徹底して追及すると、時折、フェアバリュー(本源的価値)よりも安く価格付けされたものを見付けることがある。インカムプラス戦略はインカム戦略を礎に、そうした割安な対象にも投資機会を広げている。この追加的投資機会(プラス)部分は、顧客毎にオーダーメイドできる。
市場価格が昨日より50%下落したからと言って、本源的価値も半分になったと言えるだろうか。本源的価値が毀損していないのであれば、市場は一定期間後にその評価の差を埋めてくるという信念に基づき、割安な評価をもたらした原因や割安解消までの道筋と時間軸を調査する。そうして厳選した対象をプラス部分に含めている。インカムプラス戦略において、明日の投資機会を考えることは、今日のリスクを考えることと同じである。
市場価格がフェアバリューへ戻ったときは売却し、それ以上の価格上昇は追わず、次の投資機会へ再投資する。もし割安で確信度の高い対象がないときは、プラス部分0%、インカム戦略100%の運用とする。
【リスク分散かリスク追加か】
単体で買うことを躊躇する銘柄であっても、インデックス運用に組み込まれているときは、漠然と買ってしまうことが多いのではないか。ある銘柄を組み入れたら、グループに内包する何らかのリスクを相殺し得ると考ると、特定のリスクを取っている自覚を稀薄化させる。その意味で、一般的なリスク分散の方法には弊害がある。
あるグローバル企業の株を買うとき、キャッシュフローの源泉にまで遡って考えているだろうか。その企業が英国に上場していたら、英国を取り巻く環境にばかり気を取られ、実は英国における収益よりも新興国で生み出される収益のほうが大きいことに気付かないのではないか。新興国リスクを既に相当取っているから、別途投資する先は相関の低いところにする、そこまで考えるのが本当の分散投資である。
新しいことをしたら、新しいリスクが発生すると考えなければならない。リスクは常に足し算だから、漠然と市場リスクをとるのではなく、特定のリスクを自覚して集中的にとり、他の安全性を高めるほうが良い。
以上
(文責:石田)
当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。
リスク・手数料などの重要事項に関するご説明
■セミナーで実施したアンケートの集計結果
Q1. 現時点で、世界の全ての投資対象を踏まえて、諸客観条件のもとで、最高度の創意工夫をしたとして、円ベース(為替へ全てヘッジ)のインカム戦略として合理的に期待できる水準(主観的な、また希望的な期待ではなく)は、どの程度でしょうか。ただし、全て流動的な資産だけで、構成するとします。
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Q2.上と全く同じ質問ですが、上とは全く逆に、全て非流動的な資産だけで、構成するとします。
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Q3.資産全体をインカム戦略で固めるとして、非流動的な資産の組み入れは、全体のなかで、どの程度の比率とすべきでしょうか。
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