2018年1月16日(火)開催 HC資産運用セミナーvol.121『インカム戦略とインカムプラス戦略』セミナーレポート
HCセミナー
■動画ダイジェスト
資産運用は酪農に例えられます。将来に渡ってネットの事業キャッシュフローを得ることを目的とする乳牛への投資です。この投資の価値を高めるには、次の3通りが考えられます。1つは、牛乳(インカム)がたくさん取れる乳牛であればよいのですから、「いい乳牛を買う(事業キャッシュフローの源泉を厳選する)」こと。次に、酪農家の飼育の巧拙もまた、牛乳の生産量に関係することから、「飼育技術を改善する(飼料や飼育環境を工夫する)」こと。そして「資金調達(逆の立場からいえば乳牛投資)の方法を工夫する」こと。ここで言う、資金調達の提供(調達)の方法は様々です。酪農家の会社に対して出資すること(株式投資)や、乳牛を担保に酪農家にお金を貸すこと(融資)もできますし、乳牛自体を酪農家に貸し出すこと(レンタル等)も考えられるでしょう。
この酪農の例におけるリスクを考えます。このプロジェクトにおいてキャッシュフローの源泉として選択された「牛乳」とは、意図的に取りに行ったリスクであり、すなわちリスクテイクの対象です。しかし一方で、飼料代等の飼育費や設備費等の変動は、牛乳からのキャッシュフロー獲得に付随して生じたリスクであって、本来取るべきリスクではないことから、リスクマネッジの対象として最小化されなければなりません。このような枠組みで、リスクテイクの対象とリスクマネッジの対象とを明確化してこなかったことは、資産運用業界の発展を大いに阻害してきたと言えます。
投資とは顧客との共通価値の創造です。つまり、事業家と投資家の間では、共通のリスクを管理することになります。したがって、事業家と投資家それぞれが負うリスクの範囲は、自由にデザインすることができます。この酪農の例では、乳牛そのもののリスクを負うのは、酪農家でしょうか、それとも投資家でしょうか。投資家の立場として、出資を選ぶなら乳牛固有のリスクは負いませんが、その乳牛が担保であれば担保価値という点で影響を受けるでしょう。乳牛自体をレンタルとして貸し出すならば尚更です。一方で、レンタルを選択するならば、乳牛の貸出先は選ぶことができるため、酪農家のマネジメントリスクは負わずに済みます。このとき、得られるリターンは負ったリスクに見合ったものになるはずです。ただ、これらはあくまで牛乳が出る(インカムがある)ことを前提として成り立っています。インカムなきところ金融なし。インカム戦略とは、つまり金融そのものです。
さて、投資の本質は次の4点にまとめられると考えています。
まず、資産とはキャッシュフローを生むものであり、資産価値とはキャッシュフローの現在価値であるということ。単なる建物は資産ではなく、テナント収入があってこそ、資産となりうるのです。
そして、投資とは、第一に、資産から創出されるキャッシュフローを受け取ることであるということ。キャッシュフローを生み出す仕組みに対して、それを分配する仕組みが金融です。その分配の仕方は、酪農の例に挙げたとおり、さまざまに工夫の余地があります。
投資とは、第二に、キャッシュフローを生む力を守ることであるということ。
投資とは、第三に、将来キャッシュフローの量と質を改善する努力であるということ。資産価値の裏付けとなるのがキャッシュフローですから、その保全と改善が求められます。例えば不動産の場合、テナント政策や管理政策の工夫でキャッシュフローを生み出す仕組みを変えることができます。
そして、投資の第四の要素として、銘柄選択や資産選択において、より価値の高いものへ入れ替えること、それだけではなくて、価値と価格が異なり得るという前提に立てば、同じ価値なら、より価格の安いものへ入れ替えること。
今回のテーマは「インカム戦略とインカムプラス戦略」ですが、投資の本質のうち、上述の三点目までがインカム戦略に該当し、それに対するインカムプラス戦略の「プラス」部分は、第四の要素である、価格が価値を下回る状況への投資を考えます。
当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。
■セミナーで実施したアンケートの集計結果
資産運用は酪農に例えられます。将来に渡ってネットの事業キャッシュフローを得ることを目的とする乳牛への投資です。この投資の価値を高めるには、次の3通りが考えられます。1つは、牛乳(インカム)がたくさん取れる乳牛であればよいのですから、「いい乳牛を買う(事業キャッシュフローの源泉を厳選する)」こと。次に、酪農家の飼育の巧拙もまた、牛乳の生産量に関係することから、「飼育技術を改善する(飼料や飼育環境を工夫する)」こと。そして「資金調達(逆の立場からいえば乳牛投資)の方法を工夫する」こと。ここで言う、資金調達の提供(調達)の方法は様々です。酪農家の会社に対して出資すること(株式投資)や、乳牛を担保に酪農家にお金を貸すこと(融資)もできますし、乳牛自体を酪農家に貸し出すこと(レンタル等)も考えられるでしょう。
この酪農の例におけるリスクを考えます。このプロジェクトにおいてキャッシュフローの源泉として選択された「牛乳」とは、意図的に取りに行ったリスクであり、すなわちリスクテイクの対象です。しかし一方で、飼料代等の飼育費や設備費等の変動は、牛乳からのキャッシュフロー獲得に付随して生じたリスクであって、本来取るべきリスクではないことから、リスクマネッジの対象として最小化されなければなりません。このような枠組みで、リスクテイクの対象とリスクマネッジの対象とを明確化してこなかったことは、資産運用業界の発展を大いに阻害してきたと言えます。
投資とは顧客との共通価値の創造です。つまり、事業家と投資家の間では、共通のリスクを管理することになります。したがって、事業家と投資家それぞれが負うリスクの範囲は、自由にデザインすることができます。この酪農の例では、乳牛そのもののリスクを負うのは、酪農家でしょうか、それとも投資家でしょうか。投資家の立場として、出資を選ぶなら乳牛固有のリスクは負いませんが、その乳牛が担保であれば担保価値という点で影響を受けるでしょう。乳牛自体をレンタルとして貸し出すならば尚更です。一方で、レンタルを選択するならば、乳牛の貸出先は選ぶことができるため、酪農家のマネジメントリスクは負わずに済みます。このとき、得られるリターンは負ったリスクに見合ったものになるはずです。ただ、これらはあくまで牛乳が出る(インカムがある)ことを前提として成り立っています。インカムなきところ金融なし。インカム戦略とは、つまり金融そのものです。
さて、投資の本質は次の4点にまとめられると考えています。
まず、資産とはキャッシュフローを生むものであり、資産価値とはキャッシュフローの現在価値であるということ。単なる建物は資産ではなく、テナント収入があってこそ、資産となりうるのです。
そして、投資とは、第一に、資産から創出されるキャッシュフローを受け取ることであるということ。キャッシュフローを生み出す仕組みに対して、それを分配する仕組みが金融です。その分配の仕方は、酪農の例に挙げたとおり、さまざまに工夫の余地があります。
投資とは、第二に、キャッシュフローを生む力を守ることであるということ。
投資とは、第三に、将来キャッシュフローの量と質を改善する努力であるということ。資産価値の裏付けとなるのがキャッシュフローですから、その保全と改善が求められます。例えば不動産の場合、テナント政策や管理政策の工夫でキャッシュフローを生み出す仕組みを変えることができます。
そして、投資の第四の要素として、銘柄選択や資産選択において、より価値の高いものへ入れ替えること、それだけではなくて、価値と価格が異なり得るという前提に立てば、同じ価値なら、より価格の安いものへ入れ替えること。
今回のテーマは「インカム戦略とインカムプラス戦略」ですが、投資の本質のうち、上述の三点目までがインカム戦略に該当し、それに対するインカムプラス戦略の「プラス」部分は、第四の要素である、価格が価値を下回る状況への投資を考えます。
以上
(文責:杉本・大山)
当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。
■セミナーで実施したアンケートの集計結果
Q1. 現時点で、世界の全ての投資対象を踏まえて、諸客観条件のもとで、最高度の創意工夫をしたとして、円ベース(為替全てヘッジ)のインカム戦略として合理的に期待できるリターン水準(主観的な、また希望的な期待ではなく)は、どの程度でしょうか。ただし、全て流動的な資産だけで、構成するとします。
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Q2. 上と全く同じ質問ですが、上とは全く逆に、全て非流動的な資産だけで、構成するとします。
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Q3. 資産全体をインカム戦略で固めるとして、非流動的な資産の組み入れは、全体のなかで、どの程度の比率とすべきでしょうか。
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