2019年2月19日(火)開催 HC資産運用セミナーvol.134『ポートフォリオ管理の理論』セミナーレポート

HCセミナー
■動画ダイジェスト



 投資とは、文字通り資金を投じることであるが、投じた資金はリターンとして戻ってこなければ意味がない。よってその本質とは、資産により創出されるキャッシュを受け取ることにあり、より正確にはキャッシュフローを生み出すものに資金を投じる行為と言える。ゆえに、その行為が投資であり続けるためには、資産のキャッシュフローを生む力が維持されなければならない。それだけではなく、将来キャッシュフローの量と質を改善することも大切である。ただし、資産の属性によっては、資産価値の向上に限界があるものもある。その場合でも、価値と価格が異なり得るという発想に基づき、より価値の高いものと入れ替えることが重要である。

 キャッシュフローの創出力は、その原点の事業性によって規定されるため、良質な事業キャッシュフローの源泉を厳選することが重要である。それは、当該事業に必需性があり、産業基盤を築いていることや、キャッシュフローの予測可能性が高いこと等が該当する。
加えて、資本構成上の上位に投資することも大切である。資本構成とは、事業キャッシュフローを資金提供者に配分するときに、優先順位を定める仕組みであり、上位であるほど、事業キャッシュフローの変動の影響を受けにくい。こういった要件を充足することは、投資の保守主義の原則であり、安定的なインカムの稼得に利する、インカム戦略と呼ばれる。

 インカム戦略のリスク管理には、管理できないマクロリスクの最小化が大切である。これには、ガバナンスリスクなどが含まれ、エンゲイジメントによって制御可能とする。マクロリスクが抑制され、インカムの源泉が厳選されていることで、自然とニッチな領域へ分散されることになる。さらに、非流動的なインカムの源泉を加えることで、分散効果は大幅に上昇する。インカム戦略の要諦は、資産価値の維持と増殖であるが、資産価格の変動は、市場原理によって不可避なものである。資産価格が下落した際、その背景に価値の毀損がないことを確信できるかどうかが運用の本質である。ただし、資産価値の毀損とその可能性が認められたときは、厳格な規律による対応が必要である。




以上

(文責:宮内、大山)

当日配布資料をPDFでダウンロードすることが可能です。






■セミナーで実施したアンケートの集計結果


Q1. 現時点で、世界の全ての投資対象を踏まえて、諸客観条件のもとで、最高度の創意工夫をしたとして、円ベース(為替全てヘッジ)のインカム戦略として合理的に期待できるリターン水準(主観的な、また希望的な期待ではなく)は、どの程度でしょうか。ただし、全て流動的な資産だけで、構成するとします。

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Q2. 上と全く同じ質問ですが、上とは全く逆に、全て非流動的な資産だけで、構成するとします。

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Q3. 資産全体をインカム戦略で固めるとして、非流動的な資産の組み入れは、全体のなかで、どの程度の比率とすべきでしょうか。


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