20180222 見ろよ青い空的な大きな言葉の効用について 難しい議論が白熱しているとき、突然、空を指し、見ろよ、青い空、白い雲、細かい話は、どうでもいいじゃないか、と軽く明るくぶち上げるのは、議論封じの戦術です。途方もなく大きなものに比較すれば、全ての差異は消滅するのです。差異にこそ意味があることを思えば、大きな言葉は常に空疎ですが、空疎だからこそ全てを無意味化する強力な働きがあるわけで、その濫用は甚だ危険であると同時に、その効用も絶大なのです。 金融行政方針
20180215 いかにして預金を減らすことができるか 金融庁にとって、また銀行等にとっても、最重要にして緊急の課題は、預金を削減することです。なぜなら、金融行政の課題は資本市場機能の強化にあって、そのためには個人貯蓄を預金から投資信託へ移転させることが必要であり、銀行等にとっては、運用先のない預金は収益の圧迫要因になっているからです。しかし、金融行政や銀行等の都合で国民の金融行動を変えられるはずもなく、さて、どうしたら預金を削減できるのか。 金融行政方針
20180208 瀕死の病人の水虫も治療すべきか 医療には昔から哲学的難問がつきまといます。例えば安楽死の問題です。生命の維持が医療の目的ならば、いかに苦痛を伴っても最後の最後まで可能な限りの手を尽くすべきですが、それでは生命を維持する目的に反することにならないのか。目的は、より大きな目的に拘束されるとしたら、瀕死の病人の水虫の治療は、医療の目的を喪失してはいないか。このように、目的の連鎖の先に究極の目的を考えることは、医療を超えて、どこでも常に難問を惹起するのです。 成長戦略
20180201 悪魔の経済計算と計算不能な価値の多様性による成長戦略 科学技術は無限に進化し、新領域を創造するでしょうが、同時に、多くの既存の領域では技術的に成熟していきます。その成熟のなかで、更なる技術の高度化により製品の品質や性能を改良しようとしても、それに要する限界費用は逓増していく一方で、改良の限界効果は逓減していかざるを得ず、どこかで費用を価格に転嫁することが困難になるはずです。このとき技術革新は意味を変えなくてはなりません。さて、成熟領域での新たな技術革新は、どうあるべきか。 成長戦略