vol.43 インデクス運用の功罪
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インデクス運用は市場に追随することを目指す運用手法です。その理論的支柱として市場が効率的であることが前提になります。効率的な市場が形成されるには各自が自己の評価を個別銘柄にぶつけていく社会的責任を、市場に対して負うことが不可欠です。そのため、インデクス運用は、アクティブ運用が機能している限りでのみ意味があり、市場に対し責任を放棄しているといえるでしょう。本テーマではインデクス運用の功罪について論じます。
動画視聴用2023年度資料:https://www.fromhc.com/231003_HCseminar_28.pdf
テーマをよりご理解いただくために
●本テーマに関連した「森本紀行はこう見る」
「ベンチマークのベンチマークのベンチマークが良識ある専門家」(2022.11.24掲載)
投資の世界では、評価基準としてのベンチマークが重要な役割を演じています。ベンチマークとは、顧客が投資運用業者に委託するときに、投資対象として指定した範囲に対応するもので、責任の所在を明確にするものです。運用の腕前の良否判断の基準の一つとなりますので、投資運用業者の選択責任は顧客に帰します。この選択責任を放棄するのがインデックス運用です。また、資産配分はポートフォリオ全体の収益に影響を与えるため検証が必要であり、配分を評価するベンチマークは必要です。
「インデクス運用は、常識に照らして、まともな行為なのか」(2009.10.29掲載)
市場指数は証券の価格の平均値です。市場参加者が全員インデクス運用をめざしたならば、証券価格は変動しなくなります。インデクス運用は、アクティブ運用が機能している限りでのみ意味があることを論じます。
「リスク分散という誤謬について」(2014.5.29掲載)
リスク分散とは、まず投資銘柄を選択し、選択した範囲内で分散的に投資を行うことです。市場が効率的であり得るのは、投資家が自己の信念のもとで銘柄の選択を行っているからです。もし全ての投資家が選択を放棄すれば、市場の効率性は保証できなくなり、インデクス運用も意味を失ってしまいます。
●本テーマに関連した「読んで損しない本」
「ウォール街のランダム・ウォーカー」
この本はアクティブ運用者が一貫してインデクスを上回ることはできない、負けにくい投資法としてインデクス投資を推奨する本です。今回のテーマはインデクス運用の功罪ですが、アクティブ運用があってこそインデクス運用が成り立つことを念頭に読んでいただくと面白いと思います。
「投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識」
資産運用・投資を行う際の思考法について記載されています。「一次思考に留まることなくそこに洞察を加えた二次思考を重視」、「他の投資家を上回るためには市場に非効率性が必要」など、いままで漠然と認識されていたことを論じています。
講師・パネリスト紹介
森本 紀行
HCアセットマネジメント株式会社 代表取締役社長
東京大学文学部哲学科卒業。ファンドマネジャーとして三井生命(現大樹生命)の年金資産運用業務を経験したのち、1990年1月ワイアット(現ウィリス・タワーズワトソン)に入社。日本初の事業として、企業年金基金等の機関投資家向け投資コンサルティング事業を立ち上げる。年金資産運用の自由化の中で、新しい投資のアイディアを次々に導入して、業容を拡大する。2002年11月、HCアセットマネジメントを設立、全世界の投資のタレントを発掘して運用委託するという、全く新しいタイプの資産運用事業を始める。
ご視聴方法
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